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 仕入れ先を利用して元従業員のプライベートカンパニーに資金が流出、得意先に預けたプール資金を流用して不正な原価付け替え――。ネットワンシステムズで4度目となる不祥事が明らかになった。

 ネットワンは2020年12月16日、従業員による資金流用や原価付け替えの疑義に関する調査結果を公表した。外部機関の指摘を受け、11月2日に外部調査委員会を設置し調査していたものだ。調査に時間を要することから、同社は当初10月27日に予定していた2020年4~9月期の連結業績の発表を延期する事態となっていた。

ネットワンシステムズは2020年12月16日、外部調査委員会による「調査報告書」と、発表を延期していた2020年4~9月期の連結業績を公表した
ネットワンシステムズは2020年12月16日、外部調査委員会による「調査報告書」と、発表を延期していた2020年4~9月期の連結業績を公表した
(撮影:日経クロステック)
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 ネットワンを巡っては2019年から2020年にかけて、複数のIT企業が絡んだ合計1000億円超もの循環取引が明らかになったばかりだ。同社は2020年3月12月に調査最終報告書を公表し、不正行為は組織的に実行されたものでなく、元従業員X氏(今回の調査報告書ではB氏として登場)単独によるものだと結論づけていた。

 だが驚くべきことに今回発覚した不正に関わっていたのは別の人物だった。A氏やC氏らの不正行為が新たに明らかとなった。

 12月15日に懲戒解雇されたA氏は仕入れ先企業に見積額の上乗せを要求するなどして案件を水増しし、ネットワンから2億円超を不正に流出させていた。自身のプライベートカンパニーへの入金が確認されており、沖縄県に約7600万円分の不動産を購入していたことや、約2年間で1500万円超のクレジットカード利用があったことなどが調査報告書で明らかになった。

 一方、C氏は原価付け替えに手を染めていた。別案件で取引先に預けていたプール資金を流用するなど関係者を巻き込み原価付け替えを実施。C氏を含め、「(原価付け替えに)関与していた従業員は7人いる」(広報)。ただしC氏らについては個人的な着服の事実が確認されなかったことから懲戒解雇とせず、「懲罰委員会にかけて処罰する方針」(荒井透社長)という。