新型コロナウイルスの感染者が増え、人通りが減った木屋町(17日午後6時4分、京都市中京区木屋町通蛸薬師交差点付近)

新型コロナウイルスの感染者が増え、人通りが減った木屋町(17日午後6時4分、京都市中京区木屋町通蛸薬師交差点付近)

 年末年始の書き入れ時を迎えた京都市内の居酒屋やバーが、再び夜の時短営業を迫られる。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて京都府は17日、市内の酒類提供店などを対象に、21日~来年1月11日の営業時間を午後9時までに短縮するよう要請。繁華街の店舗からは、諦めや不安の声が上がった。

 深夜まで営業する飲食店が密集する京都・木屋町エリア。年末になると忘年会に参加する人々で連日にぎわうが、17日夜の人出はまばらだった。

 木屋町で営業する鉄板居酒屋「虎亭虎亭(こてこて)」(中京区)の店長長島英基さん(52)は府の時短営業要請に対し、「素直に従う」と淡々と語った。例年この時期は夜遅くまで客の出入りが絶えないが、「今は感染を心配しながら来るお客さんも多い。対策を徹底しつつ、要請を守った方が信頼も得やすい」と強調する。

 酒類の提供をメインとするバーの影響は深刻だ。100種類以上の清酒を取りそろえる日本酒バー「あさくら」(同区)では2軒目以降の利用客が多く、来店が増え始めるのは午後9時以降という。店主の朝倉康仁さん(45)は「時短要請を知った時はショックだった」と肩を落とす。

 木屋町通の人通りは師走に入って激減したといい、「ただでさえ厳しい時に時短営業は痛い。売り上げは4、5月の緊急事態宣言期間中くらいまで落ち込むのではないか」と不安をこぼす。一方で府が1日4万円を支給する協力金については「ありがたい」とし、要請に応じる予定だ。

 「現状では要請に従えない」と打ち明けるのは、別のバーを経営する女性。忘年会や外国人観光客の蒸発で、今月の集客は例年より3~4割減った。「12月の後半は書き入れ時だし、バーやスナックは夜9時以降が勝負。時短営業しても店の状況は上向かない」

 府飲食業生活衛生同業組合の牧野順二理事長は「要請するなら事前に業界の意見も聞いてほしかった」と訴える。感染拡大を食い止めるには必要な措置と理解を示しつつも、「飲食業全体に影響が出るのは間違いない」と心配する。