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現金流通高の二極化が進んでいる。低金利の下で自宅に現金を保管する「タンス預金」が増えたことなどから、1万円札の発行高は過去20年で2倍となった。一方、キャッシュレス決済の普及で1円と5円硬貨は減少傾向にある。
日本銀行によると、今年10月末時点で世の中に流通している1万円札は約106兆円と、2000年10月末時点の約2・1倍だった。
日銀が大規模な金融緩和を始めた13年4月以降、増加ペースは加速している。13年4月までの7年間で1万円札の発行高は約8兆円の増加にとどまったが、その後の7年間では約26兆円も増えた。
大規模緩和による金利低下により、銀行の定期預金に付く利息はほぼゼロとなり、タンス預金が増加したとみられる。
一方、政府が昨年10月にキャッシュレス決済へのポイント還元制度を始めたことを受け、1円と5円硬貨の流通高の合計は4億円程度減少した。人手不足を背景に飲食店などで券売機の普及が進んでいることから、100円や50円の流通高はほぼ横ばいで推移している。
ニッセイ基礎研究所上席エコノミストの上野剛志氏は、「キャッシュレス決済の浸透で少額硬貨は減っていくだろう。低金利政策でタンス預金は今後も増え、高額紙幣の増加傾向は続くとみられる」と話している。