有名経営者やクリエーター、アスリートなど、一流と呼ばれる人はみんな食事にこだわりを持っている。脳科学者の茂木健一郎氏は、「ろくな食事もしないでお菓子ばかり食べ続けている『成功者』など、ほとんどいない。食事とメンタルの関係は、案外ばかにできない」と語る――。

※本稿は、茂木健一郎『最強メンタルをつくる前頭葉トレーニング』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

バランスのとれた食事
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食事とメンタルはつながっている

メンタルと身体は、密接な関係にあります。

ストレスが大きすぎて「心が病んでいる」場合には、その不調は身体にも出てきます。頭痛や目眩めまい、不眠、湿疹、寝ても疲れが取れないなどの裏には、心因性の原因が潜んでいることも多いのです。反対に、体調不良がメンタルに与える影響もあります。風邪や病気、怪我や事故、加齢などから身体が思うように動かない。そんな時には、どうにも気分的に調子が上がらないものです。

その関連性がわかっているからこそ、企業の経営者やクリエーター、アスリートなど一流と呼ばれる人は、みんな食事にこだわりを持っています。ろくな食事もしないでお菓子ばかり食べ続けている「成功者」など、ほとんどいません。

食事とメンタルの関係は、案外ばかにできません。落ち込んでいる時に、美味しいものを食べたら元気になったという話はよくあります。失恋して、さめざめと涙をこぼしていた人間が美味しいものを食べた途端、元気になったというようなことです。

「失恋して、物が喉を通らない」、こんな言葉もありますが、それはちょっと違うのではと思っています。「元気がないから、食べられない」のではなく、「食べたら元気になってしまう」から食べないのです。失恋の痛手を負っている本人にしてみたら、今くらいは悲しみに浸っていたいというのが心情です。今は「元気になりたくない」から、「食べない」。もっとも、短期間ならそういう時間があっても僕はいいと思いますけどね。