米ゴールドマン、中国合弁を完全子会社化へ 外資系初
【ニューヨーク=宮本岳則】米金融大手ゴールドマン・サックスは8日までに中国金融当局に対し、投資銀行業務を手掛ける現地合弁の完全子会社化を申請した。承認されれば外資系で初となる。米中対立が続くなか、中国政府は金融市場の開放を国際社会にアピールしており、米銀には追い風となっている。
デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)らゴールドマン経営陣が社員向けメモで明らかにした。合弁相手の北京高華証券から持ち分をすべて買い取ることで合意し、中国当局との手続きに入ったという。ソロモンCEOはメモの中で「中国では資本市場改革が進んでいるほか、高い経済成長が続いている」と指摘、完全子会社化を機に中国への投資を拡大すると表明した。
ゴールドマンは2004年に中国現地法人、高盛高華証券を設立した。中国有力企業の上場支援やM&A(合併・買収)助言などを手掛けている。ゴールドマンの持ち分は当初3割だったが、今年3月に51%まで引き上げていた。中国企業は海外進出や成長投資を加速しており、同社の得意とする投資銀行業務は拡大余地が大きいとみる。
中国政府は証券業務について18年から外資の51%出資を認め、20年4月以降は全額出資が可能になった。トランプ米政権はかねて規制の全面撤廃を求めており、米中貿易協議の「第1段階の合意」を経て、撤廃の時期が早まっていた。米中対立の長期化が見込まれるなか、市場開放の内外にアピールし、海外からの成長投資を呼び込む狙いがある。
中国の方針転換は米国の金融機関にとって追い風となっている。米銀最大手JPモルガン・チェースは先物取引の100%子会社が認められたほか、米資産運用大手ブラックロックも個人向け投資信託を販売する完全子会社を設立した。ウォール街は米政府や議会に太いパイプを持っており、中国政府は米中関係の「橋渡し役」として米金融関係者に期待している面もある。
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