日韓が「自由貿易協定」でつながった
11月15日、日本、中国、韓国、ASEANの10カ国、オーストラリア、ニュージーランドの合計15カ国は、世界の人口、GDP、貿易額のそれぞれ3割を占める巨大なFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)であるRCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership:地域的な包括的経済連携)に署名した。
これまで、日本と韓国の2カ国間にはFTAは締結されておらず、さらに日韓両国を含んだマルチのFTAも存在しなかったことから、批准など各国の国内手続きを経てRCEPが発効すれば、日韓もFTAでつながることとなる。
〔PHOTO〕Gettyimages
FTAについてはその推進のスピードには日韓で大きな差がついていた。1990年代において、韓国は日本と同様にWTOを重視しており、FTAの締結には消極的な立場をとってきた。しかし、通貨危機によるショックが一段落した1999年頃から韓国はFTAに対して積極的な姿勢に転じていった。今回は、韓国のFTAの締結戦略についてみていきたい。
日本では2002年11月にシンガポールとのFTA(ちなみに日本は一般的にFTAと呼ばずEPA<Economic Partnership Agreement:経済連携協定>としているが、実質的にFTAと同じである)が発行したが、韓国では2004年4月にようやく最初のFTAである韓・チリFTAが締結された。
またチリとのFTAの署名後である2003年8月に、韓国政府はFTAロードマップを策定した。ロードマップにおいて、短期的には、日本、シンガポール、インド、メキシコ、カナダ、EFTA、ASEANと、中長期的には、アメリカ、中国、EUといった国・地域とFTAを締結する戦略が示されていた。