米国は「ビースト」、日本はメルセデスの「マイバッハ」…首脳外交支える「最強」防弾車の世界

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「即位礼正殿の儀」で、各国来賓の送迎にはメルセデス・ベンツのマイバッハなどが使用された=東京都千代田区で2019年10月22日、吉田航太撮影
「即位礼正殿の儀」で、各国来賓の送迎にはメルセデス・ベンツのマイバッハなどが使用された=東京都千代田区で2019年10月22日、吉田航太撮影

 米大統領専用車両(米ゼネラル・モーターズ製のキャデラックをベースとする特別仕様車)は「ビースト」(野獣)の愛称で知られ、「地球上で最強の車」と言われる。日本にも「最強級」の車がある。独ダイムラー社のブランド「メルセデス・ベンツ」の最高級車「マイバッハ」の防弾車だ。外国賓客の送迎用で、華々しい外交の舞台を支える裏方だ。

 11月17日午前5時。まだ薄暗い羽田空港で外務省職員が要人の受け入れの最終準備に追われていた。

 間もなくモリソン豪首相が専用機で到着した。新型コロナウイルスの感染拡大後初来日の外国首脳となったモリソン氏は、外務省所有のマイバッハに乗り込んだ。

 1979年に日本初開催の主要国首脳会議(サミット)の際に、7台の防弾車をゼネラル・モーターズ社に特注した。2000年の九州・沖縄サミット前にも買い替えた。

 近年は、テロリストの武器が高性能化。国際的に「強い車」のニーズの高まりを受け、防弾車も進化している。日本政府は次の買い替え時期にマイバッハを選定した。

 防弾車には国際的なガイドラインがあり、強度に応じたグレードがある。マイバッハは自動小銃でも大丈夫だと言われる最高グレード「VR10」。

 17年に3台、18年に1台を購入し、現在4台ある。1台約7000万円、計約2億8000万円。国際的には安全とされる日本で、こんな「高い買い物」は必要なのか。

 「最強車」を購入したのには、相手国の事情がある。

 外務省によると、首脳外遊の際に一定基準以上の防弾車を使用する…

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