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カインズがシステムの内製化に向け、データ活用環境の刷新を推進している。「部品庫」と呼ぶAPI群を設け、必要なデータをすぐに使える環境を整備。これを活用して短期間にシステムを次々と開発するなど成果を上げている。

(写真:村田 和聡)
(写真:村田 和聡)
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 「システムを内製する日本で数少ない事業会社をつくる。そのための最も重要な施策といっても過言ではない」――。ホームセンター最大手カインズの池照直樹デジタル戦略本部長は、2019年の中ごろから取り組んできた社内のデータ活用環境の刷新についてこう語る。

 2020年2月期に売上高でDCMホールディングスを抜き、初めてホームセンター業界で首位となったカインズ。次なる成長に向け、現在最も力を注ぐのが「デジタル戦略の強化」だ。

 2019年に外部から招かれ、デジタル戦略本部の責任者になった池照本部長が目指したのは「ベンダー依存から脱却し強い内製組織をつくり上げること」だ。それまでのカインズは顧客向け会員アプリを除き、全て開発をベンダーに丸投げしていた。「米国企業はエンジニアを社内で抱え開発を内製化するのが当たり前。開発をシステム開発会社に委託していては時間もコストもかかってしまう。迅速にデジタル施策を打てる強い小売業を目指すには内製化が不可欠だ」(池照本部長)。

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