ラグビーの関西大学リーグは29日、天理大が同大を54-21で下して、5年連続12度目の優勝を果たした。
終了のホイッスルが鳴った瞬間、天理大フィフティーンは静かに喜びをかみしめていた。新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)の発生を乗り越え、関西5連覇を達成。FB松永は「意味のある優勝」と胸を張った。
序盤からFWを軸にして主導権を握り、同大を圧倒した。アタックを果敢に仕掛け、同大自慢のバックス陣に対し、防御で粘る。前半を無失点で折り返し、「準備してきたことが前半で体現できたのは自信になる」とフランカーの松岡主将。合計8トライの猛攻で関西王者としての存在感を改めて知らしめた。
チームは8月のクラスターで約1カ月活動を中止し、誹謗中傷も受けた。「それでも前を見ることだけを意識し続けた」と松岡は言い、選手らは「多くの方の支えで乗り越えてこられた。感謝の気持ちだけでは足らない」と口をそろえる。関西王者は通過点。松岡は「日本一という結果を残して恩返ししたいと思う」と気を引き締め直し、全国選手権を見据えた。(嶋田知加子)