英実質GDP 11・3%減 20年見通し 300年以上ぶりの落ち込み

 【ロンドン=板東和正】英国のスナク財務相は25日、2020年の実質国内総生産(GDP)が11・3%減になるとの見通しを発表した。新型コロナウイルス感染症の拡大防止策の実施により、経済活動が抑制されたことが要因。英メディアによると、大寒波に見舞われた1709年以来、300年以上ぶりの落ち込みとなる。

 英予算責任局は実質GDPは2021年に5・5%増、22年に6・6%増となると予測した。ただ、22年10~12月期までは、英国の経済規模が新型コロナ危機以前の19年10~12月期の水準を回復することはないともしている。

 スナク氏は今月25日の演説で「(新型コロナの)収束が見えない中、経済危機はまだ始まったばかりだ」と述べた。

 同局の予測は英国とEUの自由貿易協定(FTA)が締結されるという想定に基づいている。難航している交渉が決裂した場合は、景気回復はより遅れる可能性がある。英自動車工業会(SMMT)は24日、FTAを締結できなかった場合、2025年までに554億ポンド(約7兆7000億円)の損害があるとの試算を発表した。

 英中央銀行イングランド銀行(BOE)は今月5日、20年の実質GDPは前年比11%減になるとの予測を示した。8月時点の見通しである9・5%減から下方修正したが、より厳しい内容となった。

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