75歳以上医療費2割負担 年収別に5案提示 厚労省

厚労省が開いた社会保障審議会の医療保険部会=19日午後、東京都千代田区
厚労省が開いた社会保障審議会の医療保険部会=19日午後、東京都千代田区

 75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担をめぐる問題で、厚生労働省は19日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会を開き、1割負担の人を2割に引き上げる所得基準に関し、単身の年収「155万円以上~240万円以上」の間で5つの選択肢を示した。紹介状なしで大病院を受診した患者から窓口負担とは別に5千円以上を徴収する定額負担制度について、徴収額を2千円以上増やす案も提示した。

 厚労省が示した基準のうち最も低いのは「155万円以上」で、住民税の負担能力が認められる水準という。後期高齢者の44%を占め、対象は約605万人。最も高い240万円以上は20%を占め、対象者数は約200万人。介護保険制度で2割負担の対象を同じ20%としていることを踏まえた。

 部会では「収入の少ない人に負担をかけるのは間違いだ」「新型コロナウイルス禍の中でこの議論を急ぐべきなのか」などの慎重論が出る一方、「現役世代に偏った負担を見直し、公平性を高めるのが重要だ」などの意見も出され、引き続き議論することになった。

 75歳以上の人口は約1815万人。後期高齢者の医療費は現在、単身で年収383万円以上の現役並み所得の人は自己負担3割で、7%を占める。それ以外の93%は1割負担で、政府は一定所得以上は2割負担に引き上げる方針を固めている。年内に所得基準を決める方針だ。

 75歳以上の窓口負担を除く医療費は、現役世代が拠出する「支援金」で約4割、公費で約5割を賄う。厚労省は財政に与える影響も公表し、現役世代からの支援金は、「240万円以上」を2割負担とした場合で470億円、「200万円以上」で880億円、「155万円以上」で1430億円、それぞれ軽減効果がある。

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