ニッポン放送のアナウンサー・吉田尚記さんは、平日深夜の帯番組のメインパーソナリティを担当する傍ら、自らの趣味でもあるアニメなどのイベント司会を年間100本超もこなす、「日本一忙しいラジオアナウンサー」として知られる。
さらにこの9月には、コミュニケーションをテーマにした書籍としては通算4冊目となる『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(アスコム)を上梓した。
多方面で大活躍する吉田さんはなぜ、「コミュニケーション」にこだわり続けるのか。
(取材・文:小泉なつみ、写真:飯本貴子)
「コミュ力の鬼」の過去
「マスクはしてないほうがいいですか? ラジオブースが空いてればそこでも撮影できますよ。その方がラジオ局のアナウンサーっぽい写真が撮れますよね」
開口一番がコレという、気遣いの方である。相手の求めることを瞬時に察し、最大限で応えようとしてくれる。「元コミュ障」の片鱗も見えないどころか、言わずとも我々の希望を察してくれる「コミュ力の鬼」といった感じだ。しかし吉田さんは、「アナウンサーとしては壊滅的にできなかった」と言う。
「だいたいどの番組でもゲストをお呼びしますよね。そうなると相手の話を聞けないとダメなわけですが、僕はそれがまったくできなかったんです。ディレクターからは『聞き上手になれ!』ってしょっちゅう怒られました」