ジョコ・ウィドド大統領(写真:AP/アフロ)

(PanAsiaNews:大塚 智彦)

 インドネシアで、テロ対策に関して大きな動きがあった。国家警察の対テロ特殊部隊「デンスス88」を中軸とする対テロ捜査機関は、11月6日から7日にかけてインドネシア国内の複数の場所で2大テロ組織メンバーの自宅などを急襲して、テロリスト7人を逮捕したのだ。

 最近はテロ事件や爆弾騒ぎが起きていなかったインドネシアだが、イスラム教系テロ組織による活動が今なお水面下で続いていることが改めて明らかになった。今回のテロリスト7人逮捕は地元メディアでも大きく取り上げられ、テロは依然として「今そこにある危機」であることを国民に改めて印象付ける結果となった。

悪名高きジェマ・イスラミアのメンバー5人を一気に拘束

 警察発表によると、逮捕されたのはインドネシアのテロ組織「ジェマ・イスラミア(JI)」のメンバー5人と「ジェマ・アンシャルット・ダウラ(JAD)」のメンバー2人。

 JIは国際的テロ組織「アルカイーダ」と関連があるとされ、JADは中東のテロ組織「イスラム国(IS)」と関連する組織で、いずれもインドネシア国内ではテロ組織の指定を受けて活動禁止となっている「2大テロ組織」という位置づけだ。

 JIのメンバー5人はジャワ島西部のバンテン州とスマトラ島南部のランプン州の複数の場所で行われたデンスス88などによる「先制攻撃捜査」で逮捕されたという。

 逮捕者の中にはJIのバンテン州ルバック県支部の指導者、アハマッド・ザイニ容疑者が含まれていたほか、残る4人もJIバンテン州組織のメンバーとされ、そのうち3人は武装闘争訓練チームに所属していたと警察ではみている。