巨人・岡本、重責全う 長嶋氏から続く「4番・三塁」の務め果たす

【プロ野球巨人対ヤクルト】 9回 内野安打を放つ巨人・岡本和真 =東京ドーム(撮影・中井誠)
【プロ野球巨人対ヤクルト】 9回 内野安打を放つ巨人・岡本和真 =東京ドーム(撮影・中井誠)

 十回表のヤクルトの攻撃を無失点に抑え、巨人のセ・リーグ連覇が決まった。場内に優勝決定がアナウンスされ、岡本はほかのナインや原監督らとともに、ベンチから出て、ファンの大きな拍手に両手を振って応えた。勝利で花を添えられなかったが、「言葉では言い表せない喜びを感じている」。充実感がにじんだ。

 一発でチームを勇気づけた。1点を追う三回2死二塁、内角低めの直球に素早く腰を回し、最後は左手一本で左翼席に放り込む28号2ラン。「走者をかえすことだけ考えていた。本塁打になって良かった」。ベンチ前で白い歯がこぼれた。

 長嶋茂雄、原辰徳とチームに脈々と続く「4番・三塁」の系譜を受け継ぎ、チームを優勝に導く原動力となった。開幕前、原監督は自身と同じ「若大将」の愛称を与え、「4番・三塁」に固定すると明言。「『将』という言葉をしっかりと守ってもらいたい」と中心選手としての責任と自覚を求めた。同じく中軸に据えた坂本や丸の打順は状況に応じて組み替える一方、岡本は腰の不調で欠場した2試合を除き、全戦で4番に据え続けた。

 開幕から首位を快走したチームを牽引(けんいん)した。最初の10試合は5割近い高打率で5本塁打。指揮官が「若大将のごとくチームを引っ張ってくれている」と評したこともある。調子が落ち始めた8月には早出特打を繰り返し、9月の復調につなげた。自身に成長の可能性を見いだし、突き詰める作業を続けた。

 4番に求められる本塁打と打点を量産し、ともにタイトル争いの渦中にある。10月は優勝争いも同時進行する初の経験に苦しみながら、並み居る強打者を抑えて現状2冠王に君臨する。

 ポジションが変わる負担が減ったこともあり、守備の貢献度も高まった。鍛えてきた強靱(きょうじん)な下半身を武器に球際は格段に強くなり、周囲の評価を変えた。攻守の中核として連覇を達成。「チーム一丸となって日本シリーズを戦っていく」。昨季果たせなかった日本一へ突き進む。(小川寛太)

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