「一人っ子政策」捨てた中国 社会はどう変わり、どこへ向かうのか

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
マスクをつけた子どもを抱く女性=北京で11日、AP
マスクをつけた子どもを抱く女性=北京で11日、AP

 人口14億人の中国では一人っ子政策が2016年に廃止され、すべての夫婦が子どもを2人まで持つことが認められた。だが、当初の予想ほど出生数は増えていない。国家による強制的な人口抑止政策が緩和されたことで、中国社会はどう変わり、どこへ向かうのか。小浜正子・日本大文理学部教授(アジア史)に聞いた。【聞き手・岡村崇】

――一人っ子政策は「強制的な政策」という印象があります。

 ◆日本を含む多くの先進国では、「リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)」の前提の下、国家は国民がどれだけの子どもを持つかの決定に関与すべきではないと考えられています。しかし、中国では国が子どもの数を決めることが当然とされてきました。一人っ子政策導入前の1950年代、人口増加を緩和するために出産を抑制する「計画出産」が都市部で始まり、70年代には中国全国の農村でも推進されました。その結果、71年に5・44だった合計特殊出生率は、79年には2・75と急激に低下しました。70年代末に改革開放政策が開始されると同時に、50~60年代に出生したベビーブーム世代が出産年齢に入ることから、一人っ子政策が導入されました。

――中国社会にどのような影響を与えたのでしょう。

 ◆一人っ子政策導入後に出産した経験のある女性たちに聞き取り調査をしたことがあります。やはり、子どもを…

この記事は有料記事です。

残り1121文字(全文1692文字)

あわせて読みたい

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月