ファッション

新型コロナとレンタル エディターズレター(2020年8月27日配信分)

※この記事は2020年8月27日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

新型コロナとレンタル

 「レンタル」「サブスク」「リセール」はこの10年で消費を変えてきたと思いますが、新型コロナウイルス感染拡大の猛威は、米ファッション業界きってのユニコーン企業(評価額が10億ドル以上で非上場のベンチャー企業)にも大きなダメージを与えていますね。

 ファッションレンタルのサブスク市場を切り開いてきたレント・ザ・ランウェイが全店舗撤退です(1番目の記事参照)。会員が選んだ4アイテムが月に1度送られてきて、気に入らなければ1回交換可がベース。「マルニ」や「3.1フィリップ リム」などのデザイナーズブランドも扱い、“ランウエイで発表されるようなドレスやアクセサリーが安価で気軽に楽しめる!”と2009年の創業以来、米国の都心に住む女性たちの心をつかんで急成長してきました。

 基本的にオンラインで完結できるサービスなので、試着や実物を確認するための店舗はなくても成立します。とはいえ3月中旬の休業要請とイベント自粛要請は、特にパーティー需要が高かったレント・ザ・ランウェイにとって大きな打撃になりました。彼らにとって明らかに苦しい環境ですが、“全ての女性のクローゼットをクラウド化する”という野心ある企業なので、これを糧にさらに成長してほしいと思います。

 また、同じく波に乗っていたファッションレンタルのサブスク企業ル・トートは、老舗百貨店ロード&テイラーを買ってしまったために破綻するという皮肉な結果になりました(2番目の記事参照)。リアル店舗38店を運営することでさらに事業とサービスを拡大しようという挑戦が、まさにアダとなってしまいました。ただでさえ結構チャレンジングだったのに、タイミングが悪すぎました……。

 そんな中、「おぉ、新しい!」と思ったのが、「リーバイス」とデンマーク発のファッションブランド「ガニー」が協業したデニムコレクションをレンタルのみで扱うというニュースです(3番目の記事参照)。“多くの人に着られ、誰にも所有されない。デニムへの愛を皆でシェアしよう”というコンセプトのもと、「リーバイス」のビンテージデニムや再利用デニムを「ガニー」がアップサイクル。レンタルで多くの人が着ることでデニムを“育てて”、その履歴も含めて次の利用者にシェアすることでデニムへの愛も引き継ごうというものです。レンタルの特性を最大限に生かしたプロジェクトで、思わず「これ、レンタルなの!」と周囲に明かしたくなりますよね。

 小さいながらも今を象徴するようなこうした試み、ピックアップしていきたいと思います。

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