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日銀デジタル通貨、デフレ脱却の有望なツールに-渡辺東大教授

  • CBDCにマイナス金利適用すれば需要刺激しデフレ解決できる
  • コロナ拡大で現金使用を嫌がる人が増加、まさに導入のチャンス

日本銀行出身の渡辺努東京大学教授は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)がマイナス金利の活用などを通じて日本経済をデフレから脱却させる有望なツールになり得るとの見解を示した。

  渡辺氏は13日のインタビューで、日銀が大規模な金融緩和を長く続けてもデフレ脱却が実現しないのは「銀行券の金利がゼロというところに制度的な制約がある」と指摘。CBDCを導入して現金自体にマイナス金利を適用すれば「早く使わなければいけないと思うので需要の刺激ができ、デフレも解決できる」と主張した。

日銀は流通量が拡大する銀行券に金利を適用できず

  日銀は2021年度の早い時期にCBDCの実証実験を開始すると9日に発表。黒田東彦総裁は13日、現時点でCBDCを発行する計画はないとしながらも、環境変化に的確に対応するため「従来よりも一段ギアを上げて検討を進めている」と語った。

日銀によるCBDCの実証実験に関する記事はこちらをご覧ください

  渡辺氏は、中国がデジタル人民元の発行に向けて既に実証実験に入っている中で「日本もぼやぼやしていられない」とした上で、新型コロナウイルスの感染拡大で「現金の使用を嫌がる人も増えてきている。まさにデジタル通貨導入のチャンスだ」と語った。

  CBDCへのマイナス金利適用は特に年金生活者からの強い反対に遭う可能性が高いが、デフレは放置すべきではないと指摘。「デフレは真綿で首をしめるようにじわじわと経済を殺していくが、まさにそういうことが起きている」と新型コロナの影響によるデフレ再燃に懸念を示した。

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