故・中曽根氏の合同葬 文科省が国立大に弔意の表明を求める

2020年10月14日 20時44分

中曽根康弘元首相=2007年、千代田区の砂防会館で

 17日に実施される内閣と自民党による故中曽根康弘元首相の合同葬に合わせ、文部科学省が全国の国立大などに、弔旗の掲揚や黙とうをして弔意を表明するよう求める通知を出したことが、分かった。13日付。識者からは政府の対応に疑問の声が上がっている。
 政府は2日、合同葬当日に各府省が弔旗を掲揚するとともに、午後2時10分に黙とうすることを閣議了解。同様の方法で哀悼の意を表するよう関係機関に協力を要望することも決めた。加藤勝信官房長官は2日付で、萩生田光一文科相にも周知を求める文書を出した。
 文科省はこれに基づき、国立大や所管する独立行政法人、日本私立学校振興・共済事業団、公立学校共済組合などのトップに対し、加藤長官名の文書を添付して「この趣旨に沿ってよろしくお取り計らいください」と記した通知を出した。
 都道府県教育委員会には「参考までにお知らせします」として加藤長官名の文書を送付。市区町村教委への周知を求めた。
 総務省も7日付で都道府県知事や市区町村長に「政府の措置と同様の方法により哀悼の意を表するよう協力をお願いいたします」との文書を発出している。
 日本大の広田照幸教授(教育学)は「今の時代にそぐわない。通知に強制力はなく、各国立大学法人が判断すべきだ。政治家の葬儀で政府がここまでやる必要があるのか、広く議論することが求められる」と指摘した。
 合同葬の費用は国と自民党が折半する方針で、総額は2億円近くに上る。政府は2020年度予算の予備費から約9600万円を計上し「高額すぎる」などの批判が上がった。加藤長官は「新型コロナウイルス対策に万全を期す観点から積み上げた。必要最小限だ」と説明している。(共同)

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