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 経済産業省と東京証券取引所が2020年8月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2020」。「日本の先進DX」といえる受賞企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。鹿島建設は多様な建設ロボットを開発し、現場への展開を進めている。

 鹿島建設はDXの一環で、さまざまな建設作業を自動化するロボットを、機械メーカーなどの協力を得て積極的に開発している。作業員の高齢化と人手不足が進むなか、きつい繰り返し作業をロボットが担うことで生産性向上と働き方改革を目指す。

 その1つが、コンクリート打ちの仕上げ作業を自動化する「NEWコテキング」だ。作業者がタブレットでパラメーターを設定すると、Wi-Fiでデータが送信され自動で動作する。既に現場への展開を進めている段階で、AIによる制御機能を新たに開発中だ。完成すれば、仕上げ作業の生産性をさらに高められるという。

 鹿島建設が機械メーカーなどと共同で開発するロボットはこれだけではない。建物の立体モデル「BIMデータ」のデータを活用する「耐火被覆吹付ロボット」を開発し、鉄骨表面に耐火被覆材を吹き付ける作業を自動化した。従来、被覆材が飛散する吹き付け作業は防護服が必要で、熱中症の危険もあった。耐火被覆吹付ロボットはBIMデータに基づいて高さ5.5メートルまでの吹き付け作業を自動で行う。2020年5月から、このロボットを建設作業に適用している。

鹿島建設が機械メーカーなどと共同開発する建設ロボットの例
鹿島建設が機械メーカーなどと共同開発する建設ロボットの例
(出所:鹿島建設)
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 さらに並行して新たなロボットも開発中だという。