賞味期限が迫ったり、過ぎたりした商品を手に取り、買い物を楽しむ来店者(大津市萱野浦・エコイート大津瀬田店)

賞味期限が迫ったり、過ぎたりした商品を手に取り、買い物を楽しむ来店者(大津市萱野浦・エコイート大津瀬田店)

 賞味期限が迫ったり、切れたりした食品を低価格で販売する「エコイート大津瀬田店」が今月、大津市萱野浦の商業施設「レイクサイドガーデン」内にオープンした。食べられるのに廃棄される「フードロス」の削減と地域貢献を掲げ、売り上げの一部は滋賀県内の社会福祉協議会などに寄付する。

 エコイートは、NPO法人日本もったいない食品センター(大阪市)が「フードロス削減」の専門店として全国で運営し、大津瀬田店は、9店舗目。同法人の会員で、大津市でIT企業を経営する橋本広宣さん(43)が滋賀での出店を熱望し、京滋初の店として9日にオープンした。

 約200平方メートルの売り場には、メーカーなどから買い取ったり、引き取ったりした飲み物や菓子、レトルト食品など約300種が並び、定価の1~5割ほどで売られている。

 中には、パウチ包装のタケノコなど賞味期限が5カ月以上過ぎた商品もあるが、従業員がメーカーでの保存状況や食品の成分、酸化しにくい包装かどうかなどを確認し、試食をしてから陳列する。来店者が不安そうな表情をしていたら、従業員が積極的に声をかけ、安全性を説明する。無料で賞味期限の切れた菓子などを配布するコーナーもある。

 経費を除いた売り上げは寄付に充て、すでに大津市社会福祉協議会に菓子を贈った。今後は、子ども食堂やデイサービス施設など、寄付先も広げていく方針だ。

 京都市山科区から訪れた男性(71)は、ビスケットなどを購入し、「買うことでロス削減や寄付に協力できてうれしい」と話した。橋本さんは「目標は、多くの方がフードロス削減の意識を高め、自分で期限切れの食品のにおいや色を確認してもらうようになること。一人一人の努力で解決に向かうと伝えたい」と話す。午前10時半~午後7時。水曜定休。問い合わせは077(548)6804。
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 消費者庁によると、賞味期限は「正しく保存した場合、品質が変わらずに食べられる期限」として製造者が記載する。「賞味期限が切れても、すぐに食べられなくなるわけではなく、見た目やにおいなど五感で消費者が判断し、無駄な廃棄を減らすことも重要」としている。