女性が立ち姿勢で排泄する器具、新型コロナで大ヒットに

SHEWEE|urbanbuzz / Shutterstock.com

 日本では、非常時、野外活動時、長距離ドライブ中などに使う簡易トイレが普及しているので注目されないが、欧米では、女性用の排尿器具が市場に出回っている。キッチン用品のじょうごや、ホースのような形で、これを使うと衣類を着けて立った姿勢で排尿できる。この排尿器具が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、爆発的に売れている。

◆コロナ感染が不安……便座に座りたくない
 2013年から発売のイギリス発のSHEWEEはよく知られている。開発者は、大学で工業デザインを専攻していたサマンサ・ファウンテンさん。当時、バックパッカーとしてヨーロッパを回ったときの経験がもとになり、1999年にデザイン賞を受賞して製品化に至り、アウトドア向けの便利商品として定着した。また、病気や術後などで便座に座るのがつらい人にも好評を博している。妊娠時に使っている人もいる。

 英ガーディアン紙によると、このSHEWEEがロックダウン開始時から700%も売り上げが伸びている。

 理由は、公衆・公共トイレで便座にふれて、新型コロナウイルスがうつってしまうかもしれないという不安だという。記事には、30歳の女性の「コロナ禍のなかで、立ったまま用を足すほうが安全だと感じます。実際にはそんなことはなくても、座らない方が衛生的だと思ってしまうのです」とのコメントが寄せられている。

 ほかにも、仕事上、必要に迫られてSHEWEEを購入した人もいるだろう。食事宅配サービスの女性配達員たちが、注文先のレストランがトイレの使用を拒否したために、公共のごみ箱の陰で用を足すことを強いられたというエピソードも同紙に載っている。

 SHEWEEのほかに、医師たちが作ったという使い捨てのThe Pee Pocketが病院やクリニックで患者たちにも好評だという。同紙によると、こちらも売り上げが800%アップした。

 アメリカの公共ラジオ、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)では、アメリカで同じような不安をもつ人たちが増えているようだと伝えている。使い捨て(リユースも可)のSaniGirlは今春の売り上げが前年比の3倍まで近づいたと、設立者のスーザン・トンプソンさんがNPRに語っている。

Text by 岩澤 里美