サイバー攻撃者が日本の「弱点」に狙いを定めている。ここ3年の間に、東京大学や大阪大学などの国立大学でメールシステムへの不正侵入や研究データの流出といった事故が相次ぐ。企業に目を向ければ、大企業を真正面から攻略することを避け、取引先の中小企業を攻略してから大企業に侵入する「サプライチェーン攻撃」の脅威が増している。世界の攻撃者に弱点をさらし続ける実態に日本の関係者は対応できているのか。独自調査と取材から明らかにする。
特集
サイバー攻撃 日本の弱点
目次
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日本の弱点は大学、世界のサイバー攻撃者が狙う
政府は国立大学でのセキュリティ事故の多さを認めた。中小企業は攻撃の実態を把握できていない。世界の攻撃者が日本の「弱点」を狙っている。
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3割がサイバー攻撃で実被害、国立大で相次ぐ情報漏洩
国立大がサイバー攻撃にさらされている実態が日本経済新聞との共同調査で分かった。8割以上が攻撃を受け、うち約3割で情報漏洩や業務停止といった被害が発生した。「学問の自由」が一律のセキュリティ対策を難しくしている。
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取引先がサイバー攻撃の踏み台に、サプライチェーン攻撃に備えよ
中小企業を大企業侵攻の踏み台として悪用する攻撃が増えている。自助努力を待つだけでは危機が高まるばかり。委託元や国などによる支援が欠かせない。