自民党総裁選 告示 石破・菅・岸田氏が立候補
安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選は8日午前、告示された。石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長の3氏が立候補した。14日に都内で開く両院議員総会で新総裁を選出する。16日に召集する臨時国会で実施する首相指名選挙で新首相を選ぶ。
3候補は党所属国会議員20人の推薦人名簿など立候補に必要な書類を党総裁選挙管理委員会に届け出た。この後、それぞれの出陣式で総裁選への意気込みを語った。
石破氏は「政治は納得と共感が必要だ。新しい日本をつくるため全身全霊を尽くす」と訴えた。
菅氏は「政治空白をつくることはできない。日本のかじ取り役として働かせていただきたい」と支持を呼びかけた。岸田氏は「国民が何を求めているか判断し、変えていくものは変えていく」と強調した。
3氏は午後に立会演説会と共同記者会見に臨み、次期首相の座をかけた論戦が本格化する。
総裁選は14日に投開票される。全国一斉の党員・党友投票は見送り、党大会に代わる両院議員総会で決める。党所属の国会議員票394、都道府県連に3票ずつ割り振った地方票141の計535票で争う。
菅氏は党内7派閥のうち最大勢力の細田派、第2派閥の麻生、竹下両派、二階派、石原派が支持する。全ての所属議員が派閥の方針に従うとは限らないものの、国会議員票で優位に立つ。菅氏に近い無派閥議員の一部からの支援も受ける。
47都道府県連が各3票を投じる地方票の配分は各地方組織が決める。日本経済新聞の取材によると44都府県連が党員投票を取り入れた予備選を実施する。このうち8割が候補者の得票数に応じて票を割り振る「ドント方式」を採用する。
総裁選初出馬となる菅氏は安倍政権の政策を継承する意向を示す。大規模な金融緩和や全世代型社会保障の実現、新型コロナウイルス対策などを引き継ぐ。
「デジタル庁」の設置検討など行政の縦割りの打破、中小企業や地域金融機関の再編などで独自色も打ち出す。
石破氏は4度目の総裁選挑戦だ。「地域分散型の内需主導経済」を唱え、東京一極集中の見直しを主張する。必要な税財政政策に集中的に取り組む担当相を置く方針だ。
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石破氏は安倍政権と距離を置いてきた。学校法人「森友学園」問題に関する財務省の公文書改ざんなどを巡る安倍首相の政治姿勢にも異論を唱えてきた。現政権の不満の受け皿になるのを狙う。
菅氏と同じく初めての出馬となる岸田氏は「分断から協調へ」を理念に掲げる。安倍政権の経済政策「アベノミクス」を評価しつつ格差是正の必要性を訴える。中間層に手厚く配分すべきだとの立場で、公費による教育費負担や住宅費負担の軽減策を具体策に挙げる。
行政や産業のデジタル化を進める「データ庁」や「政府デジタルトランスフォーメーション(DX)推進委員会」の創設も掲げる。
3氏とも日米同盟を基軸とする外交を維持し、異次元の金融緩和も当面続ける構えだ。