米大統領選まで2カ月

郵便投票開始へ 投票日消印まで有効 「当確」遅れる可能性

トランプ大統領(左、AP=共同)とバイデン前副大統領(ロイター=共同)
トランプ大統領(左、AP=共同)とバイデン前副大統領(ロイター=共同)

 【ワシントン=平田雄介】11月3日の米大統領選で、南部ノースカロライナ州は4日、全米のトップを切り、事前申請のあった不在者投票用紙の配送を始める。今年の大統領選は新型コロナウイルスの感染予防のため、不在者投票を含めた郵便投票の利用が大幅に増える見通し。ただ、投票日の消印まで有効とする州が多く、2016年の前回選では投票日の翌日未明に速報された「当選確実」が遅れる可能性がある。

 米ABCニュースによると、ノースカロライナ州での不在者投票の申請数は前回選と比べ約11倍で、既に31万3千人超が申請を済ませた。前回選で郵便投票の利用者は全人口の4%だったが、今年は30~40%程度に急増する見通し。

 ただ、郵便投票の締め切りは「投票日の消印有効」となっており、一部の票の即日開票が難しくなりそうだ。同州は共和党候補のトランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領が僅差で競り合い、大統領選の勝利の行方を左右するとされる激戦州の一つ。同州での集計作業の遅れは、大統領選全体の結果の確定の遅れにつながりかねない。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、投票日の消印が有効なのはノースカロライナを含めた16州と首都ワシントン。投票前日の消印まで有効とする州も中西部アイオワなど4州ある。

 米大統領選は各州や首都ワシントンの一般投票の勝者がそれぞれに割り当てられた選挙人を獲得する仕組みだが、投票前日の消印まで有効とする州も合わせた20州と首都ワシントンの選挙人の総数は289人に上り、全選挙人538人の半数を上回る。

 この中には、米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が激戦州とみなす5州の選挙人計83人が含まれる。全ての激戦州の選挙人は計211人。選挙人ベースで4割近い激戦州の票が投票当日に出そろわない可能性がある。

 遅配による混乱を避けるため、米郵政公社は経営改善のための経費削減策を大統領選後まで先送り。有権者に「締め切りの1週間前までに郵便投票を済ませて」と呼びかけている。

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