サムスン、中国PC工場閉鎖 ベトナムへ移管検討
【ソウル=細川幸太郎】韓国サムスン電子が中国江蘇省にあるパソコン工場を閉鎖する。8月にも生産を終了し、一部施設をパソコンの研究開発拠点に転換する。人件費高騰などを背景に中国でのパソコン生産から撤退し、ベトナムの既存工場への移管を検討する。
この工場を運営する蘇州三星電子電脳は2002年に設立された。パソコンの組み立て工程を担い、主に韓国や北米、中国で販売してきた。サムスンは工場閉鎖について「競争力を勘案して決めた」と説明している。
7月末に従業員向け説明会を開き、生産停止と人員削減の概要を報告した。韓国メディアによると、従業員数は最盛期に6500人いたものの、現在は1700人程度まで減っていたという。
米ガートナーによると、19年の世界パソコン出荷台数は前年比0.6%増の2億6123万台だった。首位は中国レノボ・グループ(24.1%)で2位は米HP(22.2%)。以下、米デル、米アップル、台湾宏碁(エイサー)、台湾華碩電脳(エイスース)と続く。サムスンは下位に甘んじ、シェアは数%程度とみられ、劣勢が続く。
部品を買い集めて組み立てるコモディティー(汎用)商品のパソコンは市場占有率が収益に直結する。上位寡占が続くため、日本勢も相次ぎ撤退を決めてきた。サムスンは生産移転などでコストを削減し、パソコン事業を継続する方針だ。
サムスンは19年末までに、中国に3カ所あったスマートフォンの組み立て工場もすべて稼働を中止し、ベトナムの自社工場や外部委託に切り替えている。
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