会見する東京都医師会の猪口副会長

　東京都は6日、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けたモニタリング会議を開催された。その後に開かれた記者会見で、同会議に医療の専門家として参加している東京都医師会の猪口正孝副会長は都内の現在の医療提供体制について、病床数より患者数が増えているという意味での医療現場のひっ迫は起きていないと述べた。

　一方で、新型コロナ患者の入退院には手続き、検査、消毒などで通常の患者以上に時間がかかると説明。その上で「（患者と医療機関の）マッチングをして、都内100病院くらいのところに入院させる調整が追い付かなくなってくる。追い付かなくなると、新規感染者を待機させないといけなくなる。この状態がひっ迫しているという感覚は確かにある」と述べた。 　入院調整が難航する中、「入院先医療機関が決定した上で、症状の改善や患者の希望でキャンセルする事例が1割程度発生している。入院の施設に入浴施設がないとか、Wi-Fiがないとかそういう事情で入院をキャンセル、拒まれる方がいるということも事実。調整機能がひっ迫するのはスピードの問題だけでなく、こういう効率的でない部分がある。都民のみなさんの理解と協力が必要となっている事態だ」とも語った。他にも、「家にペットがいるから帰りたい」「仕事が気になる」などの理由で入院をキャンセルした事例があるという。 　猪口副会長は「入院が急に決まることを僕らは『不本意入院』という言葉を使う。救急で入院する患者やこういうこと（新型コロナウイルス）で急に入院する方は準備ができていないので、色んなことが気になる。やっぱり精神的に動揺している状況だからそういうことが起きやすいなと思っている」と述べた。