ECBラガルド総裁 環境対策に量的緩和活用表明

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁=2月(ロイター)
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁=2月(ロイター)

 【ロンドン=板東和正】欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、国債や社債を購入し資金を市中に供給する量的金融緩和政策を環境問題への対応に活用する考えを表明した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)が8日付で、ラガルド氏のインタビューを報じた。英メディアによると、量的緩和を環境問題への対処に活用することになれば主要中銀で初めて。

 ラガルド氏は、環境保全対策の資金調達のために発行する債券「グリーンボンド」(環境債)の積極的な購入を検討しているとみられる。FTによると、環境保護運動家らはECBに対し、環境債の購入を増やすよう求めてきた。ラガルド氏はFTに「気候変動と戦うために利用可能なあらゆる手段を模索したい」と強調した。

 環境問題への対応をめぐっては、ラガルド氏は今年1月にも「気候変動と戦うことは全員の責任だ」と語り、積極的な対応を行うことを示唆していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大への対応を優先するために、ECB内の議論が延期されていたという。

 一方、ECBは新型コロナの感染拡大による欧州経済への悪影響を防ぐため、量的緩和を大幅に拡大した。ラガルド氏は「(金融市場は)非常に落ち着きを取り戻した」と評価し、量的緩和について「有効性を実証した」と述べた。

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