中国モメンタが自動運転タクシー レベル4、試験運行
【北京=多部田俊輔】中国の自動運転技術開発のスタートアップ、モメンタは30日、10月をめどに自動運転タクシーの試験運行を始めると発表した。人が操作しない自動運転の「レベル4」に相当する。当初は安全を確保する「安全員」を運転席に配置し、2024年までに安全員なしでの運行をめざす。
モメンタは米マイクロソフトや画像認識技術の商湯科技(センスタイム)で経験を積んだ曹旭東・最高経営責任者(CEO)が16年に創業した。独ダイムラーや中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)が出資している。米半導体大手のエヌビディアなどに続き、20年にはトヨタ自動車と戦略提携した。企業価値は10億ドル(約1080億円)を超えているとされる。
自動運転タクシーの試験運行は江蘇省蘇州市で始める。24年に損益を黒字化させ、28年に各地で大規模な運営に移行する構想を描く。
30日の発表では、自動車メーカーへの技術提供を通じてデータ蓄積を加速する方針も示した。自動駐車や、高速道路など限られた条件下で自動運転をする「レベル3」の車両向けに画像認識などの自社技術を提供し、自動車メーカーからは走行データを受け取って「レベル4」などの開発に役立てる。
曹旭東CEOは日本経済新聞のネット経由のインタビューで「我々は自動運転の『頭脳』になる」と事業目標を説明した。自社での試験に加え自動車メーカーとも連携することで「早ければ25年には1千億キロの走行データを得られるだろう」と述べた。
モメンタは自動車に搭載したカメラなどで得た情報から、ディープラーニング(深層学習)の手法を使って、10センチメートル単位の高精度な地図を自動生成する技術を持つ。自動運転車では走行車両や標識などの周辺環境を把握するのに使う。
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