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 新型コロナウイルス対策に従事した兵庫県と神戸市の職員計約700人(管理職を除く)のうち5人が、3、4月の両方またはいずれかの時間外勤務(残業時間)が200時間を超えたことが、県などへの取材で分かった。過労死が危惧される80時間を超えた職員は延べ109人。ある県職員は「3、4月は(職場が)崩壊寸前だった」と話し、県や同市などでは感染拡大の第2波に備えた人員体制強化が急務になる。(藤井伸哉)

 残業時間の最多は、県庁で入院患者の把握や感染予防の施策立案、保健所との調整を担った県職員の246時間(3月)だった。総労働時間は400時間を超え、休みなく1日平均13時間以上働いた計算になる。この職員は4月も残業207時間で、2カ月間を通して休みがゼロだった。

 同じ部署の県職員1人も、3、4月とも200時間を超えた。他に200時間を超えたのは、対策方針の策定などを担った部署などの県職員2人と、保健所で患者の聞き取りなどを担当した神戸市の保健師1人だった。

 80時間を超えたのは県38人、神戸市71人の計109人(いずれも延べ)。前年同時期の計14人に比べて大幅に増えた。介護施設や病院で集団感染が発生した神戸や阪神間の保健所職員や、疾病対策を担う部署の職員が大半だった。

 県は3月中旬から、感染者が出た地域の保健所などに4~5人を増員したほか、宿泊療養施設の運営や医療用資材の確保などを他部署が担うなど態勢を強化。神戸市も150人を超す応援人員を派遣した。

 県職員の一人は「応援をもらったが、幅広い業務で多忙を極めた。体調不良を訴えた職員もいる。第2波に持ちこたえられるか不安だ」と吐露する。第2波への備えについて、県は「検討中」とし、神戸市は保健師の採用増や前倒し採用などで対応するという。

 県や神戸市の職員数は、阪神・淡路大震災以降の行財政改革で軒並み減った。2019年度、警察や県教育委員会などを除く県の一般行政部門は1995年度から約4割減、神戸市も正規職員数が3分の2に。いずれも平常時から余裕のある体制がとりづらい状況も透ける。

 県の担当者は「緊急時はより率先して県民に貢献すべきで、(長時間勤務は)ある程度はやむを得ない部分がある」とする一方で、「3、4月の経験を生かし、職員の健康に影響が出ないような体制をつくりたい」と話した。

【過労死ライン】脳や心臓の疾患による過労死を認定する際の厚生労働省の基準では、発症前の1カ月間に約100時間、または2~6カ月間に1カ月平均80時間を超える残業があったことを目安の一つにしている。兵庫県や神戸市は、通常時の残業時間を規則で最大45時間などと設定。ただし、災害などの緊急事態には上限を撤廃する特例を設け、コロナ対応でもこの規定を適用している。

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