電機8社決算、コロナ禍でも明暗 IT事業でNEC、富士通好調

 電機大手8社の令和2年3月期連結決算が5日、出そろった。新型コロナウイルス感染拡大の影響などでNECを除く7社が減収となり、最終損益もこの日に決算を発表した東芝が赤字、日立製作所など5社が減益となった。一方、IT関連事業が好調な富士通とNECは増益となっており、明暗が分かれた。

 東芝は最終損益が1146億円の赤字(前期は1兆132億円の黒字)となった。米液化天然ガス(LNG)事業の売却損などが響いた。売上高は前期比8・2%減の3兆3898億円だったが、本業のもうけを示す営業利益は構造改革の効果などで約3・7倍の1304億円となった。新型コロナの影響で中国向け半導体製造装置の設置が遅れるなどして、営業利益が203億円押し下げられた。

 東芝以外でも新型コロナの影響は大きく、特に家電製品や自動車関連の事業を抱える電機メーカーは深刻だ。パナソニックはロックダウン(都市封鎖)など各国政府の感染防止措置を受け、海外の工場の稼働が停止し、テレビやエアコン、洗濯機、パソコンといった幅広い製品に影響が出た。シャープも液晶パネルなどを納入する工場の稼働率が低下し、テレビの生産や販売が停滞。三菱電機は自動車機器事業が大幅な減収減益となった。

 一方、ITサービスが好調なNECは新型コロナの影響は限定的で、企業などのIT投資が堅調に推移したことが寄与し、最終利益が23年ぶりに過去最高を更新。富士通も国内のITサービスが好調で、売上高に占める営業利益の割合(売上高営業利益率)は5・5%と、24年ぶりに5%台に乗せた。減収減益だった日立製作所とソニーも売上高営業利益率はそれぞれ7・5%、10・2%と高水準を維持した。

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