米欧の制限解除の基準は 「第2波」警戒で再開も

 世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続く一方、欧米はすでにそれぞれの判断基準などに従い、外出や経済活動の制限緩和に向けて動き出している。「第2波」への警戒は怠れず、制限を再開する基準を設けている事例もみられる。

 米国で新型コロナの被害が最も深刻な東部ニューヨーク州は、3月下旬から全域で実施してきた営業規制を15日から一部地域で緩和する。経済活動再開の前提として州内10地域ごとに、感染者1人から平均何人にうつるかを示す「実効再生産数」を1・1以下に維持することを求めている。

 その上で、病院の空き病床が30%以上で、入院患者数や死者数が14日間連続減少するなど7つの基準を設定。すべてを満たした地域から、業種別に4段階に分けて再開する流れだ。7基準を満たした人口密度の低い北部や西部の4地域は15日以降、製造業などを再開することが可能だが、大都市であるニューヨーク市の再開時期は見通せない。

 クオモ州知事は再び感染が拡大することを警戒し、「経済活動のバルブはゆっくり開く。(感染が再燃すれば)バルブを閉める」と慎重に進める考えを強調。再生産数が1・1を上回った場合には、企業活動を停止させる方針だ。

 ドイツではゼーホーファー内相が13日、3月半ば以降封鎖していた周辺国との国境について、16日からルクセンブルクとの間で開放し、フランスやスイスなど他の国との国境管理も緩和する方針を示した。

 ドイツは6日、感染対策をとることを条件に全店舗の営業再開を容認したが、その後、数日連続で再生産数が1を超えることもあった。感染の第2波の到来を防ぐため、7日間で人口10万人当たり新感染者が50人超出た自治体については制限を再開する方針だ。

 11日に約2カ月間の外出禁止令が解除されたフランスは、集中治療室の稼働状況や新規感染者の数などに基づき、国内の地域を2分類した上で、制限の緩和対象に差を設けている。

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