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レッドソックス・上原浩治、歓喜のワールドシリーズ制覇!───フォトグラファー・田口有史が振り返るスポーツ名場面 Vol.18

新型コロナウイルスの影響で世界中のスポーツの試合が中止を余儀なくされるなか、GQでは歴史的瞬間も含めて、フォトグラファーの田口有史が切り取ったスポーツの名場面を蔵出し紹介する。第18回は2013年にワールドシリーズを制覇した上原浩治。
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2013年10月30日、マサチューセッツ州ボストン「フェンウェイパーク」にて

中継ぎ投手としてレッドソックスに加入した上原浩治投手は、4勝1敗13ホールド21セーブ、防御率1.09という素晴らしい内容で、シーズン途中からクローザーに昇格していた。さらにポストシーズンでは13試合に登板して防御率0.66。リーグチャンピオンシップでは1勝3セーブとすべての勝利に貢献。圧倒的な投球でMVPに輝いた。

迎えたワールドシリーズ。3勝2敗と王手をかけて地元フェンウェイパークに戻ったレッドソックスは、95年ぶりとなる本拠地でのワールドシリーズ制覇を狙う。

3回と4回に3点ずつ奪って優位に試合を進めていくレッドソックス。そして6対1で迎えた9回、クローザーの上原投手がマウンドに立つと歴史的瞬間が近づいてくる。最後の打者カーペンターを伝家の宝刀スプリットで三振に仕留め、日本人投手としてはじめてワールドシリーズを締めくくった。

優勝決定の瞬間、メジャーリーグの場合、日本のような監督の胴上げなどはない。バッテリーが抱き合い、そのマウンド周辺に選手が駆け寄って抱き合うだけだ。そのためバッテリーを中心に駆け寄ってくる選手が入るように横位置でカメラを構える場合が多い。だがこのときは、日本人投手であることはもちろんだが、チームへの貢献度の高さもあって、上原投手をメインで切り取ろうと、あえて縦位置で狙ったのだ。

キャッチャーのデビッドロスに飛びついて、さらに右手人差し指を突き上げて喜びを爆発させた上原投手。しかも顔はわたしのカメラのほうを向いている! 縦位置で狙って大正解だった。

写真、文・田口有史