月収20%減、夏の賞与は半減
「コロナのなかで、こんなに頑張っているのに何で? 病院は、国は、私たち医療職の生活を守ろうと思っているのだろうか」
夏の賞与が半減すると聞いて、看護師の田畑陽子さん(仮名、56歳)は、落胆する。他の同僚のモチベーションの低下も著しく、いつ看護師たちが辞めると言い始めるか分からない状態だという。
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陽子さんは、名古屋市内の民間病院が運営する訪問看護ステーションで働いている。
3月、救急搬送で病院に運ばれた患者に新型コロナウイルスの感染の疑いがあり、PCR検査を行うと陽性反応が出た。それを受け、病院は2週間の外来診療の停止を行い、検査や手術も延期したことで約3億円も収入が減った。
その後も患者数は戻らず、月々の収入が前年同月比で約20%も減り続けたため、職員の賞与カットが断行されようとしている。
賞与が減ると分かったのは4月の終わり頃。本稿執筆時点では、夏の賞与について労使交渉の最中にある。
例年、賞与は夏と冬にそれぞれ基本給が2ヵ月分、支給される。とはいえ、陽子さんの勤め先は基本給が少ない。
看護師歴が36年目というベテランの陽子さんでも、基本給は20万6400円、それに職種手当が12万7500円ついて月給が約35万円。そうして低く抑えられた賞与が満額出たとしても約40万円なのだが、それが半減して10万円になるというのだ。