東芝半導体入札 政投銀、革新機構は参加せず きょう受け付け締め切り 米企業と共同出資を検討

米原発事業の巨額損失などで苦境が続く東芝の本社ビル=東京都港区(本社チャーターヘリから、桐原正道撮影)
米原発事業の巨額損失などで苦境が続く東芝の本社ビル=東京都港区(本社チャーターヘリから、桐原正道撮影)

 日本政策投資銀行と官民ファンドの産業革新機構は、経営再建中の東芝が分社化して設立する半導体新会社「東芝メモリ」の入札に参加しないことを決めた。29日に出そろう応札企業の顔ぶれや出資額を見極めた上で、日本の安全保障の重要パートナーである米国の企業と共同出資する案を軸に検討を進める。

 「日米同盟」で東芝を支援し、半導体技術の海外流出に一定の歯止めをかけられるかが焦点となる。

 東芝メモリの入札は29日に受け付けを締め切り、海外から10陣営程度の参加が見込まれる。米国からは、東芝と、四日市工場(三重県四日市市)を共同運営する半導体大手のウエスタンデジタル(WD)やマイクロン・テクノロジー、ファンドのシルバーレイク・パートナーズ、ベインキャピタルが応札する見通しだ。

 このほか、台湾からも電子機器受託製造サービス大手の鴻(ホン)海(ハイ)精密工業、半導体受託製造大手の台湾積体電路製造が応札する意向。ただ、鴻海の郭台銘会長は中国本土の指導部ともパイプを持っており、日本の政府や経済界は、技術流出を懸念している。

 東芝の社外取締役を務める経済同友会の小林喜光代表幹事は28日の記者会見で、「(東芝は)米国の会社と提携しているのだから、そこでブロックしていくべきだ」と米企業への売却が妥当との見解を示した。

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