高野 慎一

「課の目標は大きく達成したけど、課長はメンバーから評価されていない」という現象と同じでしょう。 この現象が起きる時の典型例は、 -------------------- 課長（指導者）の指示が曖昧だったり、的外れだったりする中、メンバー（医療従事者・エッセンシャルワーカー・一般国民）はそれぞれの現場で工夫し、使命感と貢献意欲によってそれを実行し、結果（感染者数・死者数抑制）を出している。 一方、課長は、自分がやると言ったことができていなかったり（各種補助金、PCR検査数増等）、できたことも的外れだったり（アベノマスク、星野源との勝手にコラボ等）している。 その結果、課の目標は大きく達成しているのに、課長はメンバーから尊敬も信頼もされないから評価されない。 加えてここに、他の部署の評論家のような人々（マスコミ）が、課のメンバーに対して課長を批判するような発言を繰り返し吹き込むため、メンバーの課長に対する反感が補強されている。 --------------------

分析には同意。 でも、僕はもうひとつ付け加えたいなあ。 僕はその文化のおかげで、高い目標を掲げるようになったし、他人の成功を素直に喜べる人になれた。褒めようとするから、まずその人の長所に目が行くようになり、他人の長所に気づく能力が身についた。長所に気づき、それを褒めているうちに、他人の個性を尊重し、リスペクトするようになった。 僕の人生にとって、これはとても重要なことだった。

若手を育てる肝、目的意識についてわかりやすく解説してみました。

リクルート出身者の多くは何事にも当事者意識を持って、主体的に取り組みます。 リクルートがどのように若手の主体性を育ててきたのかを、私自身の経験をもとに綴ってみました。

元リクが評価されるとき、多くは「主体的に行動できる」ことが評価されているように思います。 私がリクルートやリクルートコスモスで育てられ、育てた経験を思うままに書いてみようと思います。経営者や人事担当者にとって「主体的に行動する社員の育て方」のヒントになり、そしてベンチャーで働く若者にとっても指針になれば幸いです。

リクルートの女性活用について、私が江副さんから直接聞いた話を書きます。 私がリクルートの人事課採用担当から広報室に異動した頃の話（1984年頃）です。 江副さんに、なぜリクルートを男女変わらない仕事、男女同一賃金（←当時珍しいことでした）にしたんですか？と尋ねました。 江副さんの答えは以下のものでした。 「僕は男女同権なんていう理想を持ってやったんじゃないよ。だって僕の奥さんは専業主婦でしょ（笑）」 大学を卒業と同時に起業して、だんだん仕事が増えていった。それまではアルバイトしてくれている学生を口説いて採用していたけど、間に合わなくなってきて、新卒を募集しようということになった。男子学生募集の広告を打ったが、応募者はほとんどいなかった。 その時、東大時代の同級生の女性たちが、力を発揮したくても公務員や教員以外に就職先が無いと嘆いていたのを思い出した。（←当時は今で言う総合職は男性の仕事、一般職は女性の仕事と言うのが常識だった。だから総合職志向の）女子学生を募集したら競争も少ないから優秀な人材が採れるかもしれないと思って、男子学生用の募集広告の「男子」を「女子」に変えただけで、そのまま広告を出した。それで男女同一賃金になったんだ（笑）。その時に入社してくれた女性たちが本当に優秀だったんだよ。それ以来、女性を積極的に採用するようになった。この会社は、女性が大きくしてくれたようなものだよ、と。 脚色もジョークも入っているかもしれません。 が、これが私が江副さんから直接聞いた、リクルートのダイバーシティ文化の始まりです。