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【必見リスト】社会を良くして稼ぐ、凄いスタートアップ10社
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
自然環境に興味を持ち、自分の信念で、まだ誰も目をつけていない環境問題にチャレンジするスタートアップに投資をして成功させた点は、まさにアントレプレナーシップそのものだと思います。
解決しなければならない大きな課題に対して、パッションとテクノロジーを武器に挑むのはどのスタートアップ企業も同じかもしれませんが、社会課題の場合はその時間軸が長いことが他の分野と大きく異なる点かと思います。そのため「持続可能性」が重要だと思いますが、SDGsを背景にこのトレンドは今後どんな分野でもメインストリームになるのではないかと思います。
パッションとテクノロジーと持続可能性をかけ合わせてわれわれは、「便の有効活用」に取り組んでいます。腸内環境の重要性は昨今メディアでも大きく取り上げられていますが、腸内環境の情報が詰まっているのが便です。今はただ廃棄物として捨てられていますが、その「茶色い宝石」としての価値を高めることが、社会課題の解決につながると信じています。
いまの日本で「科学的にものを考えて生きていく」とはどういうことか
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
科学者による研究成果は、その全てが人類にとって大きな価値だと考えています。一方、その価値の基準には時間軸が存在するので、直ぐに役立ちそうなものは評価されやすく、将来何かの役に立つかもしれないが現時点ではよくわからないものは評価が低くなってしまうのが現状です。
私は腸内細菌の研究を20年以上続けており、同時にバイオベンチャー企業を経営して6年になります。科学的思考がビジネスに役立つこともあれば、ビジネスで学んだことが研究で役立つこともありますので、双方向に重要だと思います。また科学とビジネスには共通項も多く、例えばどちらも最初の一歩はcuriosity-drivenであったり、成功の裏側にはどちらもチームや仲間が重要であったり。
「アマチュアの心で、プロの仕事をする」もとても重要なことで、まさにcuriosity-drivenであるための心構えであり、かつプロとして形にする責任を持つということだと思います。
米ファイザー、ワクチン保管温度緩和をFDAに申請 接種円滑化
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
ファイザー社製の新型コロナウィルスワクチンはmRNAワクチンであるため、mRNAを分解してしまうRNA分解酵素(オートクレーブ滅菌処理でも完全には失活できないため、製造過程でその混入をゼロにするのは非常に難しい)による分解を防ぐために、その保管には−80℃が必要ということでした。
今回新たに-25℃でも2週間は安定であるという要件変更申請があったとのことなので、ここからmRNAワクチン製造工程の厳格な生産管理と安定性試験の結果に裏付けされていることが読み取れます。−25℃であれば病院などに常設してある冷凍庫でもワクチンの保管ができるようになりますので、広くワクチンが使われるようになるための大事な申請だと思います。
最古のマンモスDNA解読 100万年以上前、シベリア凍土の歯―国際チーム
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
マンモスの歯からDNAを取り出してゲノム解析を行ったということで、大変素晴らしい研究成果だと思います。
個人的にはこういう唯一無二の貴重な環境サンプルからきちんとゲノムDNAを取り出し、シーケンス解析を実施した実験担当者の方のプロフェッショナルさに脱帽です。もちろん、マンモスを発見した調査チームや、ゲノム解析を行ったバイオインフォマティクス専門家など、様々な研究者が力を合わせてこのような成果につながったのだと思います。チームが重要なのは研究もビジネスも一緒ですね。
状態の良いマンモスが見つかったら是非腸内細菌叢のメタゲノム解析を実施してみたいものです。

【人工知能】未来のアルツハイマー患者を「作文」から判定
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
絵の内容を説明させた文章のパターンをAIで解析し、75%の精度でアルツハイマー病の発症が予測できたとのことです。AIの進化には目を瞠るものがありますが、文章を書くだけでアルツハイマー病の予防ができるのであれば、画期的な技術になりますね。
実は、アルツハイマー病などの脳疾患は腸内細菌叢の乱れとも関係する可能性が示唆されています。脳と腸は迷走神経でつながっていますので、腸内環境が乱れていると、その影響が脳にも出てしまいます。腸内環境を整えるには食事内容が重要なので、文章を書いてアルツハイマー病のリスクをチェックしつつ、食事内容にも気を配ることで病気を予防するといった、些細ではあるかもしれませんが、画期的なリスクマネジメントができる時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。

【最新版】混乱しないための「ワクチン」7つの疑問
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
新型コロナウィルスワクチンは、免疫細胞に新型コロナウィルスに対する「IgG」抗体を作らせることで感染した際に迅速に免疫応答ができるようにしておくものですが、合わせて新型コロナウィルスが体内に侵入する前に感染をブロックして予防することも大事。
体内と体外を隔てる粘膜面で感染を防いでくれるのが「IgA」抗体です。これらのIgA抗体やIgG抗体の産生を増強してくれるのが、実はお腹の中に住んでいる腸内細菌が作る短鎖脂肪酸という成分。これは腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を分解することで作ってくれますので、ワクチン接種に加えて、お腹の中にいる腸内細菌たちも元気にしておくことが重要ですね。
ゲノム解析をより高速かつ安価に、日本発半導体ベンチャーの挑戦
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
人間の全ゲノムを明らかにするための国際プロジェクトであるヒトゲノム計画は2003年に終了しましたが、その間に遺伝子解析装置が開発され、その技術を活用することで腸内細菌叢のメタゲノム解析が始まり、今日までに病気との関連など多くの発見が報告されています。
本技術はがんゲノム診断のために開発されているとのことですが、このような技術がまた腸内細菌叢解析に活用される未来はすぐにやってくるでしょう。人間のゲノムに加えて、ヒト第二のゲノムとも称される腸内細菌叢ゲノムも合わせて調べることが、次世代の医療・ヘルスケアの基盤になると考えています。

【新潮流】「妊活スタートアップ」が今盛り上がる理由
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
妊活も重要ですが、その後の出産も重要だと思います。仮に高齢出産となった場合、帝王切開での分娩の確率が増加しますが、実は帝王切開で生まれた赤ちゃんは、自然分娩で生まれた赤ちゃんと比べて最初に腸内に定着する菌が異なることが分かっています。
自然分娩で生まれた赤ちゃんの腸内には、母親の産道にいる菌や腸内細菌が最初に定着しますが、帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内には、母親の皮膚にいる菌が最初に定着します。帝王切開で生まれた赤ちゃんはアレルギーになるリスクが高い傾向があることも報告されていますので、これからはいかに妊娠するかだけでなく、出産やその先までを見据えた妊活が重要になってくるでしょう。
なお、帝王切開で生まれた赤ちゃんに母親の膣にいる菌や腸内細菌を口に付着させると、自然分娩で生まれた赤ちゃんと同じような腸内環境になることも分かっていますので、将来的にはこういった赤ちゃんの腸内環境を考慮した分娩方法も実施されるようになるかもしれません。
日本発のアルツハイマー予防薬、発症前の人対象に国際共同治験
福田 真嗣メタジェン代表取締役社長CEO / 慶大先端生命研特任教授
アミロイドβを標的としたアルツハイマー病新薬候補の国際共同治験が開始されるとのことだが、重要なポイントは治療薬ではなく予防薬という点。つまりこの新薬候補が仮に承認されたとしても、アルツハイマー病を発症してしまってからの投薬では遅いということ。
アルツハイマー病の新薬候補という意味で昨年注目されたのが、中国の上海緑谷製薬が開発したSodium Oligomannate(GV-971)。軽度から中等度のアルツハイマー病患者の認知機能を改善するとして、2019年に中国で条件付きで承認されており、昨年FDAが国際的多施設第3相臨床試験実施に関するIND申請を承認している。今後2024年には臨床試験が終了する計画だが、特筆すべきはこの新薬候補Sodium Oligomannateは海産褐藻類から抽出したオリゴ糖であること。前臨床試験の結果から、この作用機序は腸内細菌を介したものであることが報告されている。
アルツハイマー病と腸内環境との関連について、その分子メカニズムは完全には解明されていないものの、今後アミロイドβに代わる新たな治療標的になるかもしれない。

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