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任天堂が「人材に対する考え方」公開 世界的エンタメ企業が求める人材像とは?
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産業医として人的資本経営や人材にも多く関わりますが、大事なことは「明確であること」と「誰もに浸透させること」だと思います。
正直言葉だけなら美辞麗句を並べることは簡単です。大問題を起こした某中古自動車販売業でも「お客様のニーズ」「社員の生活」などと謳っていましたが、重度のパワハラ構造やそれによる問題で会社事態の存続に関わる事態になりました。
このような言葉・指標はまさに「DNA」であり、それを全て意識しつつ細かな成果指標や取り組み、採用に結びつけていくことでやっと実効性を持ち、かつ常に「その言葉の通りに実行できているか?」と批判的に吟味することで、自分たちの行動を振り返り、また次のステップにつながっていくのではないでしょうか。
その意味で具体的な項目まで落とし込んだものを公開し、結びつける形で「出社すること」「フレックスであること」に言及しているのは興味深いといえます。
突き詰めれば、出社しなくて良くて、フルフレックスで、社員の自由裁量が大きく、福利厚生が充実していれば、良い企業かもしれません。しかしそこに「社員共通の意識・目標」がなければ、ただのやりたい放題になり、組織は崩壊します。
出社させるにしても、不要にしても、「なぜ」が突き詰められているのは重要で、そこに「便利だから」「なんとなく」でない理由が示されているからこそ、意味があるものだと言えるのでしょう。
なぜ「雑居ビルの一等地」を無料開放しているのか…都内で急増する「民営の無料喫煙所」儲けのカラクリ
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
非常に面白い取り組みですね。この喫煙所が成立する背景には、日本の規制が「徹底的にダメ」か「なぁなぁで良い」かの二択になり、「適切に区分して規制する」という考え方がなかなかできないということがあるように感じます。
確かに喫煙は健康に良くない、それは明らかなエビデンスがあります。しかし使用に法規制のない嗜好品である以上、あくまで吸うかは本人の自由です。その反面、副流煙など周囲への健康影響もあり、本人の自由だけで言い切ることもできません。
オリンピックなどで大幅に規制される前は、病院など合理的な理由のある場所を除き、「なぁなぁに認める」というやり方で多くの場所がやっていました。吸う人にとってはなんとなく認められている、という状況ながらも、吸わない人も不満を感じやすく、そこからの衝突も少なくなかったと言えます。
この流れが健康増進法で大きく変わり、「あちらこちらで喫煙がダメ」という状態になり、一気に規制が厳しくなりました。
どれだけ規制を厳しくしたって、喫煙をする人がゼロになることは(そのモノ自体を禁止しない限り)ないでしょう。「吸うことは認めるのに、吸える場所はどんどん減る」という状態だと、結果として隠れて吸ったり、煙草店の前で路上喫煙するなどの事態を招き、予想しない影響を及ぼすのです。
こういうときに本来は「適切に区分して規制する」という考え方が必要でした。適切な火元管理・排気環境が整備された喫煙所を作り、ここでなら自由に吸うことができるとする。まさに「マナーを守って楽しく吸う」という考えです。こうすれば喫煙家は場所は限られるものの快適に吸えますし、周囲は健康被害を気にしなくて良くなります。
これがこのような形で実現したことで多くのニーズを集め、そこに自販機があったことで、収益につながったのでしょう。
もちろん「喫煙していると飲みたくなる」のもあるかもしれませんが、単に人が多く滞在する空間を作り、そこに自販機を置いたからこそ売上が跳ね上がったとも言えます。
改めて「制限の仕方」、考えたいところです。
【最新版】あなたは大丈夫?実例で学ぶ「ハラスメント判例」
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
ハラスメントに関わることも少なくない産業医ですが、大体裁判や労務問題になるようなハラスメントは、例に挙げられているように
・同意なく/抵抗しているのに身体に接触する
・過剰にプライベートに関与する、相手が関与することを要求する
・周囲の面前で叱責する(SNS含む)
・感情的な言動・行動を行う
に加え、
・訴えてももみ消そうとする、穏便に済ませようとする
といった会社の「まずい対応」が重なって起きます。取り上げられているのは2-1などはときどき見られ、2-2はむしろ会社が適切に対応していた例ですが、他はかなり極端な例であり、「一億総コンプラ違反」と書くのは考えものではないでしょうか。
もちろんハラスメントそのものを起こさないようにすべきですが、より重要なのは「ハラスメントを曖昧に取り扱わない」ということです。ここが「グレー思考」の日本は甘いのです。
日本企業でよく見るのは、ハラスメントと思しき問題に対し、「なかったことに」しようとして、例えば上司に対しては軽く口頭で注意し、部下を異動させて事なきようにしようとする例です。本来ハラスメントを受けた部下が異動する、というのはおかしな話であり、異動or降格させられるべきは上司でしょう。結果として「そんなつもりはなかった」が続き、いよいよ裁判案件になっていくのです。
ハラスメント防止法においても書かれているように、「きちんと事実関係を確認」し、「事実なら被害者をレスキュー」し、「加害者に措置を取る」ことが重要です。
逆に「すぐに上司をハラスメント扱いする部下」もおり、このような部下を異動させても延々上司をハラスメント扱いし続けるだけです。ハラスメントが認められないなら、当然誰にも何も対処しない、というのが原則で、ここでも「なぁなぁの異動」はいい結末を招きません。
なおよく勘違いされますが、ハラスメントそのものは法律違反ではありません。企業の義務は「ハラスメントの防止措置」であり、これを行わないのは違反とされますが、ハラスメント行為自体は(他に法律に抵触する行為がない限り)あくまで個人間の問題であり違法ではありません。
例えば職場で女性のお尻をさわればそれはハラスメントと同時に公然わいせつ罪であり、違法ですが、ハラスメントだから違法なのではなく、その行為自体が違法だから違法なのです。
日本は米・韓より「偽情報にだまされやすい」、事実確認をしない人も多く…読売3000人調査
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
これを見出しだけ受け取って「これだから日本人は」と思ってしまう方ほど気をつけて欲しい、「大ブーメラン記事」だと思います。
調査自体は興味深いですが、私はこのデータで「偽情報にだまされやすい」と結論付けるのは安易と感じました。この見出しで出す本記事にまず疑問を持つべきいう、高度なギャグを試されている気がします。
調査本体がおそらく未公開なので、この記事から読めることしか言えないのですが、せっかく新聞社として調査したなら、レポートとしてもある程度は出して頂けることを期待したいですね。
さて、問題点を整理しましょう。
①意図的に認知度の差がありそうな言葉を選んだ「日本人知らない」ムーブ
→そもそもこれらは輸入語であり、アメリカと日本で認知の差があるのは当たり前です。言語自体の理解しやすさ・入りやすさが異なるこれらの用語を比較して「日本人は騙されやすい」ということは些か検証が甘いと言わざるを得ないでしょう。(韓国の高さは色々理由がありそうです)
②一次情報のリンクも一覧もつけない新聞が「一次情報見てない」(この記事すらもない)
→これはさすがに大ブーメランと言わざるを得ません。本調査のデータが初公開であればその旨を述べるべきで、そうでないなら調査のサマリや論文のリンクや情報を付記すべきですが、それをしていない、つまりこの記事そのものが「一次情報がない記事」なのです。
それで記事一段落目に「情報の事実確認をしない人が多く」と書かれても、「媒体が一番の問題では」と言われかねないです。なお医学・科学記事もよく読みますが、とにかく日本のメディアは元となるデータの出典を示す癖がないので、元を辿るのに大変苦労します。
③「正しい」「わからない」「誤り」の選び方に国民性が出る可能性
→日本人は不確実性を回避する傾向が強く、アンケート回答においても「中間回答傾向」が強く「極端回答傾向」が弱いとされます。つまり「確信が持てないと『わからない』と選択する」可能性があります。「誤り」と見抜けた割合がこれにより低く出る可能性があり、6~13%の差を「偽情報にだまされやすい」と結論づけるのはいかがでしょうか。
総じて国際比較調査は言語の使い方や設計に注意が必要とされます。そこを考慮せずに短絡的な結論を書くメディアこそ問題と自ら言っている様な気がしてなりません。
「女性が軸を持って選択できる環境が必要」POLAが卵子凍結を福利厚生に導入、美容部員の「一つの手立て」に
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
最近話題になることの多い「卵子凍結」。産婦人科医として不妊治療の現場に立ち、そして産業医として企業の人事労務・福利厚生に携わる人間として、このテーマは注目しています。
卵子凍結は東京都の助成の話もあり、近年かなり浸透してきた印象です。ただどうしても、このようなメディアの取り上げ方が「卵子凍結」に偏っているのが気になるところです。
純粋に医学的な見地から言えば、子どもを持つうえで「若いうちの妊娠出産」以上の選択肢はありません。卵子凍結は卵子の老化は止められますが、保存と融解に伴う破損や劣化、母体の高年齢化に伴う妊娠合併症の問題などを避けられるわけではなく、数あるソリューションのうちの1つでしかありません。
また卵子凍結は長い妊娠・出産・子育てのうちの、本当に最初の「妊娠」に対するソリューションでしかありません。どれだけ卵子凍結に手厚かったところで、子育てする親のキャリアが妨げられる会社であれば産み育てにはつながりません。
ではなぜ、「若いうちの妊娠出産」ではなく「卵子凍結」がソリューションとして話題になるのか。確かに「若いうちに妊娠出産できるか」は、経済状況や個人の意向など1企業がコントロールできる範囲を超えているかもしれません。しかし若いうちはキャリアにフルコミしないと登れない階段など、地味ですが解決すべき課題はあるはずです。このような話題についても、様々な取り組みを進め、発信いただくのが重要ではないでしょうか。
選択肢が増えること自体は素晴らしいことです。このようなテーマを機に、「女性の妊娠・出産とキャリア」について目を向けることは非常に重要ですが、卵子凍結だけが独り歩きしている現状には、同時に危機感も抱いています。
その気になれば、会社にあるべき福利厚生は星の数ほどあります。しかし会社の資源は有限であり、全てのテーマにお金を出すことはできないでしょう。卵子凍結への補助、というのが本当に会社としてすべきことか、という問いはあるべきだと考えています。
【新常識】効果抜群。「男性育休」はカネで解決できた
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
まさに男性育児支援を専門的に活動している産婦人科医・産業医として、これらの企業の取り組みには非常に着目しています。(代表を務める一般社団法人Daddy Support教会では、行政や企業での実態調査や育児参画・育休取得支援を行っております)
しかし同時に、このような流れに抱いている危機感として、「育休取得」が【目的】になっていることがあります。
もちろん、育休取得率は上がるべきですし、取得期間も長くなるべきです。しかし育休の目的はなんでしょうか?「男性も育児に参画する」ことが目的のはずです。育児は1ヶ月でも、1年でも終わりません。基本的生活の自立までですら5年ほどはかかります。1年取っても、その後育児できなければ意味がありません。
「とるだけ育休」なんて言葉もあるように、取得しても実際の育児参画を促すことができなければ、むしろ逆効果にすらなりません。
真の育児参画のためには、慢性的な長時間労働や育児に伴うキャリアロスにも目を向ける必要があります。育休取って1ヶ月給与もらえても、育児参画してキャリアが止まれば長期的にはマイナスです。
確かに経済的支援を行うことは育休取得には前向きの効果がありますが、あくまで一面でしかない。その中で「取ること」だけが盛り上がることで、本来の目的である「育児参画」がやや置き去りにされている、そんな危機感を私は抱いています。
是非その辺りも調査したり、取り上げて頂きたいところです。
有害物質まみれの猫、行方不明に 広島県
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
ちょっと驚きのニュースです。
六価クロムは産業衛生上は「特定化学物質」に指定され、使用にあたり適切な防護が行われなければ人体に重大な有害性がある物質です。
安全データシート(SDS)にこのような有害性は書いてありますが、記事に紹介している経皮のみならず、粘膜接触や摂取の有害性も示されています。
これらの多くは動物実験で示されてもいるものであり、猫への有害性の詳細までは存じませんが、無害ということはありません。
歩いている猫に触れるのは現金ですが、目撃がないことを考えると、すでになくなっている可能性も否定できません。誤って子供が触れたりする危険性はあり、しばらくは注意が必要です。
【ゼロからわかる】現代男性の新常識?「PMS」の超基本
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産婦人科・産業医として、職場でも潜在的に問題になりやすいこのPMS。是非正しい知識を知って、正しい対応をして頂きたいものです。
まずPMSは病態的にはホルモン、特にプロゲスチンという女性ホルモンの1種の作用が非常に大きく関与するものと考えられています。
しかし、PMSを「ホルモンだけ」で片付けてしまうのも考えものです。ほとんど全てのメンタルヘルス問題は、本人の身体的状態(Bio)-精神的状態(Psycho)-社会的状態(Social)が多角的に関与して成立しています。
例えPMSが投薬治療で改善しても、職場でハラスメントを日常的に受けていれば(社会的状態が良くない)、当然にメンタルヘルス不調を引き起こしかねません。特にこの"Social"の背景に、記事にもあるように日本社会が抱えている、「男女の身体差を考慮していない設計」があることは忘れていはいけません。
つまり、このような記事を読んだ時に「PMSの女性がみんなアプリを使ったり婦人科にかかれば解決する」のような捉え方をしてしまうと、本筋を見逃します。もちろんそれは大きな解決の一助になりますが、これに気付きにくい、ケアしにくい社会も変えていかなければ、本当に「不調による労働損失」をなくしていくことはできないのです。
ケアミーのアプリは自己対処やパートナーとの共有では素晴らしいですが、当然これが会社で上司に情報共有されるわけではありません。このような取り組みが広がると同時に、周囲がしっかり男女の身体的性差についても理解し、潜在的に生じている格差を埋めていくことが不可欠、というのは忘れないでください。
【14選】ジェンダーを理解するために、映画や本に触れよう
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
拙著をお取り上げ頂き、ありがとうございます。一番最後に載っている「ポストイクメンの男性育児」の著者で、産業医/産婦人科医の平野翔大です。(この3月のタイミングでプロピッカーにも選出頂きました)
その他の書籍も非常に面白いものと感じます。是非一度、「食わず嫌い」せずに、先入観なく読んでみてください。小説系が受け取りやすいですが、解釈に受け手の考え方が多分に含まれてしまうので、できれば論述系も読んでいただくと良いかなと思います。
さて、せっかくなので「男性でも読みやすい3冊」の1冊としてご紹介頂いた拙著のポイントをご紹介させて頂きます。
本書は題名の通り、「男性育児・育休」にスポットを当てた本です。育児・介護休業法が改正され、大企業には取得が強く促進されていますが、これは「男は仕事、女は家事育児」に対する大きなパラダイム・シフトだと考えています。
しかし男性の育休は「男性自身が育児参画を望んで進んだ」というより、「女性の社会進出や少子化の問題の処方箋」として進められたという背景がある、ここに私は焦点を当て、「男性が家事育児をすべきだ」ではなく、「男性が家事育児をできるようになるためには、社会的に何が必要か」を紐解きました。
実はこの流れにおいて参考になるのが、女性の社会進出の流れです。つまり男性の家庭進出と逆の流れであるからこそ、女性の社会進出で生じている諸問題を考えるこは、今後男性の家庭進出で起きる問題を予測するのに重要なのです。そして何より、この問題は男性が当事者になりますから、男性にとって以前よりは捉えやすいものになるはずです。
このような問題に取り組むことは、最終的には男性にも女性にも、皆が生きやすい社会につながる、というのを本書ではご紹介しています。
この話題はどうしても男性対女性の二元論になりがちです。しかしフラットな目線で見れるようになると、決して対立論ではなく、多くの同一の問題を抱えていることがわかります。
是非拙著を皮切りに、根強い問題であるこの問題への知識を広めて頂ければ幸いです。
【DE&I】プルデンシャルが「男性中心」から変わる。なぜ?
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産業医・産婦人科医としてこの領域に多く携わっていますが、「女性活躍のカギは、トップの腹落ち感」、これ本当にその通りで、本質を捉えた記事だな、と感じました。
トップの取り組みとか発言ではなく、「腹落ち感」これが凄く大事なのです。社会的に必要だから、求められているから、受動的にやる、という空気感が決して少なくないこの分野において、トップ自ら腹落ちできるまで理解を深め、その上で取り組む。そこまでしなければ、実効性のある取り組みにはなりません。
実際に2008年に多様化推進チームが立ち上がっていましたが、取り組みが進んでいなかったのが記事にも書かれています。2021年から再度取り組まれましたが、腹落ちするために必要なのは、分野に関する理解と、きちんとした基礎調査・データ=ファクトを出すこと。プルデンシャルでは「獲得率」はたしかに男性優位なものの、「継続率」に女性の強みがあることも認識しておられ、これをどう活かすか?という点からアプローチがされています。
当然男性と女性は異なる性であり、それにより強みも異なります。これをステレオタイプとして誰しもにあてはめてしまうのは問題ですが、異なる強みを認知した上で、活かすための方策を考えるのは結果として「多様な強みを認識し、活かす」ということにつながります。
結果、最後に書かれていますが、こういう取り組みは「男女問わず多様な生き方を促す」ことにつながります。ここに至るために、今男女格差があるなら女性に力を入れて進める必要がある、この考え方こそが真の「DE&I」ではないでしょうか。
自らも研修に取り組んだにもかかわらず、女性社員からアンコンシャス・バイアスを指摘されてしまったという赤裸々な経験含め、「いいこととしてのダイバーシティ」ではなく、「必要なこととしての、挫折も含めたダイバーシティ」の共有。本当に価値のある記事だと感じます。
「やせ薬」の副作用に悩む人の駆け込み寺、TikTokが映すブームの裏側
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産業医かつ医療ジャーナリストとして、医療発信や広告規制も専門にしていますが、皆さんに是非知って頂きたいのが「医薬品の広告」についてです。
特に肥満薬などの自由診療分野ではこのような広告規制を逸脱したものが見られやすく、より注意が必要です。
当然にこのような逸脱をする事業者は遵法意識が低いということになりますから、もし使用者に副作用など有害な事象が起きたとしても、適切な対応は期待できません。結果困るのは利用者の皆さんであり、広告規制について知り、逸脱しているような事業者のサービスは利用しないことが身を守るためにも重要です。
この記事は海外のものですが、日本では医薬品・医療機器の広告に対しては、薬事法による広告規制がされており、国よりガイドラインも出されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
日本では医薬品の広告について、
・効能効果について、客観的に認められたもの以外を示してはならない(顧客満足度、成功率、日本一などの表記は誇大広告になる)
・口コミ、体験談などの表示をしてはならない
・価格について他と比較したり、不当に安く見せてはならない
・芸能人などとの関係を過度に強調してはならない
というようなものが定められています。
これらに該当するような事業者は利用しないほうが賢明といえます。
実は離職の一因? 経営層も女性も知っておきたい「男性更年期」の事実
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産婦人科医・産業医としてこの手の話は相談もよく受けますし、講演などの依頼もあります。「男性の更年期」はキャッチーで最近よく語られますが、上手く活かせば有用なものの、少し注意して扱いたい内容だと感じています。
まず病態としては確かに男性もホルモン(テストステロン)の減少はありますが、その減少スピードは女性に比べ遥かに緩やかです。女性が閉経(=排卵の集結)という明確なラインがあるのに対し、男性にはありませんし、女性の更年期はほてりや精神症状以外にも、脂質異常症や骨粗鬆症など多くの病態に関わっています。
また忘れてはならないのは、女性の更年期も「ホルモンだけのせい」ではなく、心理社会的な要因(子供の巣立ち、職務役割上の変化、親の病気、自身の病気など)が多分に関与して成立しているということです。特に精神的な症状はホルモンだけで一元的に説明するのではなく、その周囲の環境にも目を向ける必要があります。
男性の更年期とされる症状も「精神的な症状」「身体的なほてり・筋力低下」「性機能の低下」とされますが、当然にうつや加齢でも生じる症状です。特にメンタルヘルスの問題は、女性でも挙げた様に役職によるものや、体力の低下によりハードワークしにくくなること、子供の巣立ちによる家庭環境の変化なども多分に関連します。また記事にあるようにストレスがテストステロンに影響を与えることもあります。(これも女性と同様)
つまり、色々と「男性更年期」だけで語ってしまうと危ういものであり、当然に40-50代は様々な病気も起こしやすい時期であることを踏まえた対応が必要なのです。
これらの要素を無視して、「男性更年期」という言葉が独り歩きするのはやや危なさがあります。更年期と思い込んでいたら何か身体的な病気やうつが隠れていた、という事態もありえますから、自己診断により放置してしてしまうのは危険です。
ただ男性はこのような精神身体的な悩みを、打ち明けたり相談するのがやや不得手とされています。このような男性更年期が話題になることで、「自分の悩みを診てもらう」という選択肢が増えることは望ましいことですので、是非「自らの心身に向き合うきっかけ」としつつ、悩んだら早めに医師に相談頂ければと思います。
女性の働きやすさ、日本は29カ国中27位 英誌エコノミスト
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
この手のランキングは色々と読み方に注意が必要で、ランキングそのものより計上した内訳を見るのが大事です。とは前置きするものの、この評価は妥当と言わざるを得ない数字が並びます。
記事でも触れられていますが、まず大きく影響したのが「女性管理職の割合」で最下位、そしてもう1つは女性役員の割合、更に性別の平均賃金も指摘されています。
これらは以前から問題視されており、また相互に相関し合う問題です。未だに扶養制度などが制度的に残っていること、社会的キャリアで存在する差が埋められていないことなどが原因となっているのではないでしょうか。
これを「女性の意欲」などと語る向きもありますが、労働基準法上の女性保護規定(女性は深夜残業をしない、など労働上の扱いが異なった)が撤廃されたのは1999年。25年というと長いかもしれませんが、その時の新卒世代がやっと役員などになる時代が今、ということです。法律によりすぐに待遇が改善されたわけではありませんから、この影響を早期に是正しようとするならかなり強力なキャリア上のアクションが必要ですが、「男性差別」などを理由に、男性中心社会が持続されてしまっているのが今の日本です。
皮肉にも、この手のランキングで下位にある日本・韓国で少子高齢化が進んでいる、というのは、因果関係では明らかでないにしても何かしらの相関はあると言えるでしょう。
入学式カメラマン約100人をXで募集、「正直怖い」と批判続出 撮影会社は中止発表&謝罪「軽率だった」
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
ぜひ皆さんに知っていただきたいのは、小児性犯罪と言うのは、想像より遥か近いところに存在するということです。
webなどでは日々様々な盗撮画像がやり取りされています。最近では某予備校で発生した、正社員講師複数名による盗撮も話題になったタイミングでした。
このようなタイミングで、(自身も父親であるという)この方が、さも素性の知れない方を集めるように見えてしまい、非難を呼んだ格好です。
本人は100人どうしても集めねば、という思いでエントリーしやすいように応募条件を設定したのかも知れませんが、これが「身元や素性の確認が甘い」と見られてしまいました。
実際に盗撮目的の方が紛れ込んでいたのかは分かりませんが、予備校の件などから分かるように、社会的には一見普通の子供好きを装うことも少なくなく、面接をしたとしても排除は容易ではありません。(小児性犯罪にグルーミングがつきものというのも覚えておくと良いです)
これを機に是非「子どもの写真を性的対象として消費する」ということがあることを認識し、このような事案のみならず、SNS等での子どもの写真の使い方、自分で防護するための教育などを改めて重要視していただきたいところです。
不妊治療のつらさ、スタートアップの技術が軽減-フェムテックで成果
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
ヘルスケアスタートアップ複数社を外部支援する産婦人科医としても、この領域には注目しています。
紹介されている子宮内フローラ検査やデジタル化の取組は素晴らしいと思いますし、特に技術は高くてもオペレーション面に問題を抱えがちな日本の医療制度においてデジタル化の為す意味は大きいです。
しかし「フェムテック」という言葉の定義については、一度立ち止まる時がきているのではないでしょうか。
ここで紹介されている子宮内フローラについては、臨床現場で用いられる研究開発技術の1つとすれば、これまで発明されてきた様々な技術と本質的な違いはありません。ICT技術を高度に用いているわけではなく、やや「フェムテック」という用語が広範に用いられている印象を受けます。
確かにこのような素晴らしい技術が「フェムテック」とされることはあまりデメリットもないのですが、最近「フェムテック」と付ければ何でも良い、のような風潮もあり、「猫も杓子もフェムテック」のような状態にもなりつつあります。明らかに妥当なエビデンスを欠く妊活関連グッズが「フェムテック」と名乗るような事例も少なくありません。
わかりやすいアイコンとして「フェムテック」という言葉は認知度拡大に寄与しましたが、安易に使われるようになったのも現実です。
伊藤忠、全役員の女性比率30%以上目指す-男性育休も必須化
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
産業医・産婦人科医として男性育休・女性の健康経営などを専門にする立場として、非常に大事なことと感じます。
伊藤忠商事は「社内出生率」の公表など、以前からかなり先進的な取り組みをしてこられた総合商社です。既に21%というのもかなり高いですが、日本国内ではなく世界に目を向ければまだまだ低いとのことで、女性役員比率を上げる目標を更に引き上げました。但し同社HPではまだまだ社内取締役は全員男性、常務以上も1名のみと、相対的には男女差が見えられる状況です。ここがどうなるのかは注目です。
また男性育休の必須化も、有給で取れるようにして金銭的なデメリットをなくす方向に動いており素晴らしい取り組みと思います。
(なお有給の企業独自休暇は正確には「育児休業」ではなく「育児目的休暇」と呼ばれます)
卵子凍結についても、駐在による妊娠・出産・子育ての問題は多くで問題視されており、一つのソリューションとしては良いと考えます。
なおこのような「アファーマティブ・アクション」については批判もありますが、積極的な逆措置が必要なことはこれまでの歴史からも示されています。長い社会的歴史が作ってきた差は数年で是正できるものではなく、一度意図的に手を入れない限り、このような格差は再生産されやすいのです。
有名な例として、昔は「黒人は知能が低い(※意図的に差別用語を使用しました)」ということが、科学的データに基づく形で事実として語られていた時期がありました。しかしその後、人種で生物的な知能としての差があるのではなく、社会や教育がこのような差を生み出していたということが判明した、というものがあります。社会的な差が早期に是正されることが重要であることが示された一例と言えるでしょう。
【新プロ・オーナー】国際女性デーこそ「みんな」の経験談を
平野 翔大Daddy Support協会 代表理事 産業医・産婦人科医・医療ジャーナリスト
「国際女性デー」というタイミングで、男性に特化した活動を行う医師として選んで頂いたこと、面白いご縁と感じております。産業医・産婦人科医であり、男性の育児・育休の支援活動を行っております、平野翔大と申します。
実は2019年からpickはしており、約3年近くpickerからは離れておりました。当時は一人の臨床医として医療関連の発信をしておりましたが、今では産業医や社会活動家という側面に加え、2022年には単著「ポストイクメンの男性育児」を出版した医療ジャーナリストとしても発信活動をしております。広く社会に関わるヘルスケア領域の情報を、皆さんにわかりやすくお届けしたいと思っておりますので、是非フォロー頂ければ幸いです。
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