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【哲学】トイレットペーパーが「贈与」になるとき
NewsPicks編集部
近内 悠太知窓学舎 講師
『世界は贈与でできている』著者の近内悠太です。本書について、少しだけご紹介させてください。 本書は、人間と社会の本質である「お金で買えないもの」の正体を明らかにすること目指しています。 お金で買えないもの、お金には換えられないものは、誰かから手渡されることで僕らの手もとにやってくる。文化人類学者や哲学者は、これを「贈与」と呼んできました。なじみの薄い用語かもしれませんが、贈与は英語では「gift」。つまり、贈り物、プレゼントです。ただしここでいう贈与とは、与えたり与えられたりする具体的な「モノ」だけでなく、たとえば親子や恋人間の「愛」、献血やボランティアなどの「利他的行為」も含みます。 そして、この贈与というものは、実に不思議な挙動をするのです。贈与は時に僕らに圧倒的な生命力を与え、時に僕らの思考と行動をきつく縛る「呪い」にもなる。本書ではその両面を明らかにしていきます。 しかし本書で語っているものは、贈与をめぐるファクト(事実)である以上に、贈与をめぐるナラティブ(物語)でもあります。なぜなら、本書で語っているものが贈与の原理だからです。どういうことか。 実は、経済学における「限界効用逓減の法則」も、理科で習ったニュートン力学の基本法則である「作用・反作用の法則」も、それ自体確かめられた法則ではありません。そうではなく、「こんなふうに世界を眺めてみませんか」というお誘いなのです。この法則に基づいて世界を眺めてみたら、驚くほど多くの現象が説明できる――。「原理」とはそのような機能を持っているもののことなのです。 「贈与という視座から、この世界を眺めてみませんか」。 本書はそのようなお誘いの本となっています。そしてこの視座に立ったとき、僕らは、仕事や人生を営む上で見落としていた大切なものに気づき、この世界と出会い直すことができるのです。 読んでいただける機会があれば、感想をSNS等でお寄せいただけましたら、著者として嬉しく思います。
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