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【猪瀬直樹】「精神病床数世界一」を改革せよ
NewsPicks編集部
野村 照幸さいがた医療センター 心理療法士(公認心理師・臨床心理士),博士(ヒューマン・ケア科学)
猪瀬さんが精神科医療の問題を取り上げてくださって本当にありがたく思いました。 日本の精神科病床数が多いことについて、日本は私立病院が9割であるため、思い切った政策的な転換がしにくいところがネックになっているのは確かだと思います。そのため、退院支援に診療報酬を付け始めており、国もなんとかしなければならないという意識はあるのでしょう。 しかしながら、私立の病院があることで政策転換できないのはもう一つ理由があると思います。それはそれらの病院の院長クラスが入っている組織と政治との関係があるからだと思っています。 入院病床を減らすということは病院にとってのビジネスの転換を迫ることでもあります。そうなるときに、当然自分の病院は守りたいと考えるのは致し方ないと思います。そして、痛みを伴うような改革をするよりは現状維持が続いてきたと考えます。一方で、私立病院が担ってきた役割も過小評価することはできないと思っています。日本の歴史として、精神障碍者を包摂するよりも除外してきたこと、その受け皿としての機能を担ってきたともいえます。 グループホームなどの施設への転換が挙げられていますが、これを私立病院がビジネスとできるような改革が必要と考えます。同時に、国民の精神障害に対する考え方にもアプローチする必要があると思います。私は「多様性の乏しさ」という日本の文化的背景によって精神障害者が非常にマイノリティーとして、また危険な存在として認知されやすいと感じています(報道の仕方も大いに問題があると思いますが)。うつ病はずいぶんと認知されていますが、統合失調症や双極性障害などの慢性精神疾患はなかなか理解されていないように思います。 私立病院のビジネスの転換を後押しすること、また教育の段階から精神疾患への理解を深める機会を作ることなどを総合的に取り組む必要があると考えます。
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東大も認める「中卒異才児」、進学を諦めた母の苦悩と才能の伸ばし方
Diamond Online
野村 照幸さいがた医療センター 心理療法士(公認心理師・臨床心理士),博士(ヒューマン・ケア科学)
私にも子供がいますが、学校がえんぴつの数や筆箱の柄などを指定するのを目の当たりにすると、画一的な一端がよく表れていると感じます。一方で、特別支援や特別支援までではないけれど、個別的な支援が必要な児童・生徒を少人数で教えてくれる場所も提供しており、そういった意味では個別化が進んできた面も伝わってきます。 私が思うのはこのケースにおいてお母さんの樹さんへの理解と学校に行かないという選択肢を支持する姿勢の素晴らしさと勇気、そして東大のプロジェクトの存在です。ただ、プロジェクトがあってよかったなぁと思う一方で、選抜して新たな組織を作ることは新たな排除を生む面もあるということです。もしかすると、樹さんは自分の能力を発揮できる場を見つけた一方で、学校に通っている子たちから冷やかにみられていた可能性もあります。「ああ、あの変わった子たちが行くところね」というような。 だからといって東大のプロジェクトが否定される必要はないと考えます。大切なのはそういったアクションが東大だけにとどまらず、地方にもできてくることです。そのようにして資源の1つとして当然に位置づけられることが重要と考えます。さらにはもはや学校だけでなんとかしようとしない取り組み、地域の資源にいかに開かれていくかということが求められると思います。具体的に言えば、学校の総合学習など、自由度の高い授業については地域の活動で置き換えることが可能といったことです。 学校はマスに教育をする場となっているので、無理もない面がありますが、そのなかでいかに「個」に対応するかが課題と思います。それが個別学習をICTで支援することかもしれませんし、地域資源を教育として利用することかもしれません。 ともあれ、樹さん、お母さんの葛藤から日本の教育を考える機会をいただいています。樹さんの活躍を心より応援いたします!
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日本代表の「レジリエンス力」。なぜ惨敗から立ち直れたのか
NewsPicks編集部
野村 照幸さいがた医療センター 心理療法士(公認心理師・臨床心理士),博士(ヒューマン・ケア科学)
教育とスポーツは非常に関係が深いと思います。 藤原和博さんの言う、「情報処理力」と「情報編集力」から考察します。 監督の言ったことを忠実にこなすのは「情報処理力」です。これを体現できる選手に求められるのは言われたことを適切に行える能力です。 しかしながら、全ての状況を事前に準備することはできません。そこで、自分たちで判断せざるを得ない状況が出てきます。そこで求められるのが「情報編集力」です。つまり、答えのない状況に対して、いかに納得できる解を導き出せるかということです。 結局のところ、納得解を得るためにはメンバーでディスカッションしながらアイデアを出しては仮説を立て、検証していくプロセスになると思います。その「ディスカッション」が重要です。 教育も今後、情報編集力を高めるためにアクティブラーニングを進めていくと思います。話し合いながら納得解を導き出せるような情報編集力が高まることは以上のことからスポーツにおいても重要であり、強くなるうえでの基礎になると思います。 今回、ブラジル戦のあとに「いやになるほど話し合った」というプロセスはこの情報編集力をベースとした納得解を得るためのプロセスと考えられます。 ただし、サッカーの強い国と教育についてきちんと検討しなければ、この仮説も適切かわかりません。私なりにその点をデータと共に考えていきたいと思います。
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生活保護世帯の貧困大学生、借金・アルバイト漬けの暗闇
Diamond Online
野村 照幸さいがた医療センター 心理療法士(公認心理師・臨床心理士),博士(ヒューマン・ケア科学)
これって高卒後に大学に行くことを前提に書かれていますよね。 まぁ確かにそれが一般的ですが、「仕事をしてから大学に入る」というルートをもっと作っていく必要があると思います。そのためには大学もそうですし、企業側もそのようなルートの大学生であっても(年齢がストレート学生よりもだいぶ上でも)採用するという形でルートを一般化できるといいと思います。アメリカなどはそのようなルートが十分認知されていますよね。 仕事をしてお金をある程度蓄えた上で、アルバイトに時間をとられすぎずに大学での学問に集中するのでもよいのではないでしょうか。大学生の間は大学生だからこそ享受できる恩恵を十分享受すべきです(先生からの指導や仲間とのディスカッションなど)。 私は修士に入る前に仕事をし、博士課程は何年も仕事をしてから入学したのですが、社会人経験者の方が学問に使える時間のありがたさをわかっているので、概してモチベーションが高いように思います。そのような点でも社会人を経験してからの大学入学が広がれば、大学にとってもメリットがあるでしょうし、ストレートの学生にとっても多様な人材に触れる機会が広がってよいと思います。
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男性が女性よりもカウンセリングを嫌がる理由
Diamond Online
野村 照幸さいがた医療センター 心理療法士(公認心理師・臨床心理士),博士(ヒューマン・ケア科学)
現在の社会人の若手が中学生だった頃にはスクールカウンセラーが配置されていたので、30代後半の方よりも20代の方がカウンセリングに対する抵抗感は低くなったと思います。 とはいえ、カウンセリングの敷居は人によっては高いもの。 援助をもとめることについての研究を「援助要請行動研究(help seeking research)」と言います。 この記事の内容で「自尊心」は一つの重要な関連要因かと思います。 “自尊心が高い=カウンセリングは自尊心を低める行動”ということで、男性がその傾向が強いという研究結果があります。一方で“自尊心が低い=カウンセリングはより自尊心を低める行動”ということで、男性がその傾向が強いという研究もあります。ですので、一概に“男性=自尊心が高い=カウンセリングを受けない”という単純な話ではなく、困難を抱えて自尊心が低下することでよりカウンセリングを受けなくなる場合もあるわけです。 …と話はずれて、カウンセリングの1つの問題は、“提供するもの”が見えにくいことが挙げられると思います。「話をするだけ」という印象を持たれる方も多いのですが、“どんな場面で”,“どんなふうに考え”、“どんな感情になり”、“身体はどう反応し”、“どう行動したか”、”ということを分析し、適切な考え方や行動を探していく方法もあります(認知行動療法)。 トラウマの治療には眼球運動を用いるEMDRという方法もあります。 このようにさまざまなサービスがあるので、それをわかるように提示することで、サービスの受け手側と実施側のずれが小さくなるように思います。意外とこれがなされていない。 あとは男性で仕事をしているとどうしても帰りが遅い方がいます。そういった方はカウンセリングを受けたくても受けられない(特に問題を抱えた初期)ことがあります。ですので、サービスの提供時間、方法(メールやスカイプなど)も関係してくると思うのです。 というわけで、単に自尊心などの心理的な問題やサービスの理解不足と仮定して、「受けてよかったです」的なことを情報提供しても、受けることが難しい群はいるわけで、“ユーザー”、“カウンセラー”、“テクノロジーや物理的要因”それぞれについて考える必要があると思います。 ちなみにAIカウンセラーが登場したらおもしろいな~と思っています。
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スマホのしすぎで頭が悪くなる?長時間勉強しても学力上がらず
news.livedoor.com
野村 照幸さいがた医療センター 心理療法士(公認心理師・臨床心理士),博士(ヒューマン・ケア科学)
こういう系統の記事って、必ず疑ってかからないといけないと思います。だいたい、条件付きの結果を一般化することが多いので。 まず、「勉強時間」を変数にしていますが、それは適切なんでしょうか。次に勉強時間が30分未満群と2時間以上群の群分けは適切なのでしょうか。そもそも、群分けした時点で学力の差はないのでしょうか。それから、「スマホ」のせいなんでしょうか。他のものとの比較をしたのでしょうか。 スマホが気になって集中できないということは確かにあると思いますが、たとえばアプリの種類によっては前頭葉機能をかなり使うものもあります。プランニングしたり、集中したり、ルールを理解したり。また、脳機能が低下した方の回復プログラムにパソコンを使ったプログラムが効果を発揮していることは確かなので(NEARなど)、スマホ=前頭葉機能の低下というのはいかがなものでしょうか。 私が思うのは、スマホを自由に使える環境を与える家庭的な要因が大きいと思っています。つまりは家族内でのリミットセッティングができる家庭であれば、スマホを持たせない、あるいは時間を短くするという設定をすると思います。そのくらいの設定ができる家庭では、学習習慣もつきやすいので、30分未満でも2時間勉強している人よりも学習効果があるというという、交絡はないのだろうかと思いました。 元の研究にあたってみた方がよさそうですね。
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