Picks
47フォロー
22302フォロワー


病院で寝泊まり?コロナ禍で変わる「医師の生活」
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
コロナ禍で変わる医師の生活について。今週の連載3本目です。
ニューヨークでの生活、東京での生活、それぞれに触れました。しんどい時間が長く続きますが、力を合わせて乗り切りましょう。
英コロナ変異種、死亡リスク高い恐れ ワクチンは有効=首相
重症者施設2割で専門医ゼロ 首都圏、コロナ入院困難
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
集中治療専門医自体の不足は免れない事実だと思いますが、現実として感染流行の前にもそういった施設で重症者の管理は行われていたわけであり、必ずしもその施設で重症患者を管理する能力が欠如するということを意味しないと思います。
地域性もありますが、日本では集中治療に長けた麻酔科医師や救急科医師、呼吸器内科の医師もおり、必ずしも集中治療専門医の数で医療機関のキャパシティや能力を測れないところがあると思います。
だからといって集中治療専門医を育成しなくていいということを意味するわけではないですが、その育成には何年もの年月を要し、一朝一夕で解決するわけではありません。
いずれにせよ、表面的な数字の付け合わせによる評価は間違います。このニュースを読み解く上で、「専門医がいない=集中治療のキャパシティがない」ではないという理解は必要かと思います。
緊急事態宣言 1カ月程度の延長案も
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
過去のエビデンスを参考にすると、緊急事態宣言の延長をただ行っても、その効果は減弱する可能性が高まります。
よって、感染症の更なる抑制を目的として行う場合には、ただ延長するだけではなく、政策における強化も求められると考えます。
規制の中で生きなければならない厳しい日々を送った先に、緩和の道を探りたいところですが、現状で緩和できるほどの改善を見ていないことから、緩和の道を探るのもなかなか難しい状況です。
ワクチンの接種開始は翌月に迫ってきましたが、「接種開始」には感染抑制を期待できず、「十分な普及」から1ヶ月ほど経過するまでは効果を見込むのが難しいと考えられます。
まだまだ長期戦が見込まれますので、各企業単位でも長期的な視点で戦略を練っておく必要があるでしょう。
米、COVAXへの参加を検討=ファウチ氏
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
パンデミックでは、病原体を世界中で共有しているという基本に立てば、「自国にだけ有効なワクチンが普及すれば良い」では、自国を含めてその解決にはつながりません。
実際、多くの国には十分なワクチン供給を受けるだけの資金力がありません。
ワクチンの比較的公平な普及を目指した国際的な取り組みであるCOVAXは、これまでトランプ政権が断固として参加を拒絶してきたものですが、風向きが変わるかもしれません。
資金力、ワクチンの開発力などを含めても、米国の参加の意義は非常に大きく、パンデミックの収束に向けて大きな前進のステップとなりうるのではないかと思います。
COVAXの詳細:https://www.who.int/initiatives/act-accelerator/covax
東京 職場内感染が過去最多 全国で5600人超が感染
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
ここから学ぶべき点は、「職場内感染が最多」→「職場は感染リスク」では必ずしもないと思います。それでは、結局同じことの繰り返しになってしまうのではないかと思います。
実際こちらの報道によれば、都内の新規陽性者が1471人、職場内での感染者は67人。それほど、他の場面で感染している人が多いのです。
場所が職場であれ、飲食店であれ、自宅でのホームパーティーであれ、感染者と非感染者が病原体を交わす機会が増えれば増えるほど、感染伝播は増えます。
これは、必ずしも場所が規定するわけではありません。感染伝播のリスクは、その場所にいる人が規定しています。
マスク、手指消毒、ソーシャルディスタンス、換気。英国で見つかったB1.1.7株では、KN95マスクやN95マスクが必要になるかもしれないとの議論まで欧米諸国で始まっています。
場所にとらわれず、人と人の間でどう感染伝播を防ぐかにより焦点を当てて、知恵を絞っていかなければいけません。
コロナワクチン 当初「6月末」で合意もファイザーとの正式契約は「年内」に
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
ファイザーのワクチンの流通遅延については、すでに米国でも問題が生じており、こちらニューヨーク市でも今週だけで2万3000人の接種予約のキャンセルが生じ、あと2-3日で供給分がなくなることが市長から表明されています。
日本のワクチン契約はファイザーの他にもアストラゼネカ、モデルナ、ノババックス(未だ第3相試験中)もあることから、本当に遅延が発生した場合には、モデルナやアストラゼネカのワクチンの入手と分配を先行する形になるのかもしれません。
ただ、ここまでのところいずれのワクチンも良好な有効性、安全性データを示していることから、バックアッププランは持ちやすい状況にあると思います。
米コロナ死者、40万人に 1か月余りで10万人増加
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
死亡者のカウントの増加には目を覆いたくなりますが、希望もあります。これから多くの命を救う可能性のある、ワクチンの接種も確実に進んでいます。
世界でのワクチン接種は、ここのところ1日200万回接種のペースで進んでおり、全世界ではすでに4400万回の接種が完了しました。
うち、1400万回を米国が占めます。まだ人口の4.5%しかカバーできていませんが、この数字の増加は私たちに希望を与えてくれるものだと思います。
参考:
https://www.bloomberg.com/graphics/covid-vaccine-tracker-global-distribution/
一般へのワクチン接種5月想定と政府関係者
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
「接種開始を5月ごろと想定している」と「政府関係者が明らかにした」という非常に曖昧な報道ですので、どこまで信憑性のある情報なのかが定かではありません。
少なくともオペレーションを担当する河野大臣は、自身のtwitter上で「まだ想定していない」ことを明らかにしています。
https://twitter.com/konotarogomame/status/1351527811475931136?s=20
厚労省が公表している資料によれば、5月というのが現実的な時期とも思いますが、こちら米国でもそうですが、マンパワーの状況などによる遅れも「想定」しておくべきでしょう。
こちらでは、オンライン予約システムの機能停止やバックアップとしてのコールセンターの機能停止もすでに生じており、引き続いて供給停止が起こるなど混乱が起き続けています。
すでにニューヨーク市ではワクチン接種予約や情報検索が一括でできるアプリも使用されており、さすがの速さだなと感心していますが、現場はそんなに整然としているわけではありません。
日本では開始が少し遅れる分だけ、他国の反省を生かせるものと思いますが、様々なトラブルに対するプランBをあらかじめ計画しておくことが肝要と思います。
静岡の3人、国内で変異種感染か 英国滞在歴なし、新型コロナ
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
水際対策には、最善でも病原体の流入を「遅らせる」効果しか期待できず、流入を「防ぐ」効果はそもそも持たないことを過去の経験からも学んできたと思います。この事例報告から、水際対策の「甘さ」を議論する意味はあまりないと思います。
静岡で報告されたとのことですが、地域ごとの封鎖を行っていない以上、これは「見つかっているか見つかっていないか」の差であって、「存在するかしないか」の差では必ずしもないと捉えるのが妥当だと思います。
すでに各地域で広がりつつあり、身近にも感染力が高いウイルスが存在すると仮定して、行動変容を起こすべきフェーズに入っていると思います。
ただし、仮に感染性が高まっているとしても感染伝播の様式が変わったわけではありません。特別な感染対策が新たに必要になるというわけではなく、その遵守率を高めることが重要になります。
新型コロナワクチン接種後の死亡者が増加-ノルウェーの高齢者
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
「新型コロナウイルスのワクチン接種後に死亡した」ことは、必ずしもワクチンが直接的な原因となったことを意味するわけではありません。
接種対象者となっているケアホームの居住者は、ワクチンにかかわらず1週間で平均400名程度が命を落とすとノルウェー当局から報告されています。そのような報告を知ると、少し立ち止まって考えられるかもしれません。
例えば、ワクチン接種後の帰宅途中に不運にも事故にあって命を落とした例を考えてみてください。このケースもワクチン接種直後に命を落としたことになりますが、ワクチンの副反応で死亡したと考える方は誰もいないはずです。
ただし、ワクチン接種後に高熱が1日や2日出現する例は珍しくないため、若者ではそういった高熱がなんともなくとも、高齢者では持病の心臓や脳の疾患に悪影響を与えるという可能性は考えられます。このように、例えばワクチンの副反応が間接的に影響した可能性は十分考えておく必要があります。
今後もこのようなケースを慎重に蓄積し、分析していくことは極めて重要です。実際に、米国や英国でも同様のケースがないかの調査や分析が開始されています。
なお、ノルウェーからの医学誌BMJへの報告では、“There is no certain connection between these deaths and the vaccine.”(死亡とワクチンの関係は明確ではない)とされていて、このBloombergの報告とは食い違います。
早合点して、ワクチンで死亡者が多数出た、と因果関係について扇動するSNSでの拡散が目に浮かびますが、冷静に解釈する必要があると思います。
引用文献:https://www.bmj.com/content/372/bmj.n149

NORMAL