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テレ東・大江麻理子キャスターらマスク着用 「緊急事態宣言受け決断」
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
社会的学習理論とは、人が自分自身の体験だけでなく、他者の行動を観察することによっても学習する、とする理論です。
暴力の映像が暴力を生む、マスクをしろと命令する人がマスクをしていないと聞く側が命令に従わなくなる、などがその例として挙げられます。
テレビの出演者がマスクを着用することには、こうした社会的学習理論の狙いがあると考えられます。
マスクの浸透率が既に高い場合には、あまり変化は期待できないかもしれませんが、番組視聴者にまだ改善の余地がある場合には、視聴者が意識的でなくても一定の効果が期待できるかもしれません。
静岡の3人、国内で変異種感染か 英国滞在歴なし、新型コロナ
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
水際対策には、最善でも病原体の流入を「遅らせる」効果しか期待できず、流入を「防ぐ」効果はそもそも持たないことを過去の経験からも学んできたと思います。この事例報告から、水際対策の「甘さ」を議論する意味はあまりないと思います。
静岡で報告されたとのことですが、地域ごとの封鎖を行っていない以上、これは「見つかっているか見つかっていないか」の差であって、「存在するかしないか」の差では必ずしもないと捉えるのが妥当だと思います。
すでに各地域で広がりつつあり、身近にも感染力が高いウイルスが存在すると仮定して、行動変容を起こすべきフェーズに入っていると思います。
ただし、仮に感染性が高まっているとしても感染伝播の様式が変わったわけではありません。特別な感染対策が新たに必要になるというわけではなく、その遵守率を高めることが重要になります。
新型コロナワクチン接種後の死亡者が増加-ノルウェーの高齢者
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
「新型コロナウイルスのワクチン接種後に死亡した」ことは、必ずしもワクチンが直接的な原因となったことを意味するわけではありません。
接種対象者となっているケアホームの居住者は、ワクチンにかかわらず1週間で平均400名程度が命を落とすとノルウェー当局から報告されています。そのような報告を知ると、少し立ち止まって考えられるかもしれません。
例えば、ワクチン接種後の帰宅途中に不運にも事故にあって命を落とした例を考えてみてください。このケースもワクチン接種直後に命を落としたことになりますが、ワクチンの副反応で死亡したと考える方は誰もいないはずです。
ただし、ワクチン接種後に高熱が1日や2日出現する例は珍しくないため、若者ではそういった高熱がなんともなくとも、高齢者では持病の心臓や脳の疾患に悪影響を与えるという可能性は考えられます。このように、例えばワクチンの副反応が間接的に影響した可能性は十分考えておく必要があります。
今後もこのようなケースを慎重に蓄積し、分析していくことは極めて重要です。実際に、米国や英国でも同様のケースがないかの調査や分析が開始されています。
なお、ノルウェーからの医学誌BMJへの報告では、“There is no certain connection between these deaths and the vaccine.”(死亡とワクチンの関係は明確ではない)とされていて、このBloombergの報告とは食い違います。
早合点して、ワクチンで死亡者が多数出た、と因果関係について扇動するSNSでの拡散が目に浮かびますが、冷静に解釈する必要があると思います。
引用文献:https://www.bmj.com/content/372/bmj.n149
ワクチン接種、全国1万か所拠点に…氷点下75度の超低温冷凍庫を配備
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
こちらでの経験から、やはり最大の課題はマンパワーの確保になるのではないかと思います。
通常の診療に加えての、この史上最大級のワクチン事業。ワクチン接種のマンパワーのみならず、予約管理や人の誘導、副反応の相談や対応などといった周辺業務も多く、すでに感染者対応にフル回転で診療を行なっている医療機関にとっては、とても厳しい負担になる可能性があります。
こちらでも、予約や相談の窓口となるコールセンターに全く電話が繋がらない状態が続いたり、予約が取れても1時間以上の待ち時間が発生するなど、すでにいくつもの問題が生じています。
ただし、同時にこのパンデミックに対する最善の解決策となりうる可能性も持ちますので、感染者を診療する科や施設以外で可能な限り対応するなど、なんとか落とし所を見つけなければなりません。
米ファイザー、コロナワクチン出荷遅延へ 接種計画に打撃
病院でクラスター発生 入院患者31人死亡 感染310人 埼玉 戸田
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
医療機関では、患者の診療にあたり、至近距離での接触、会話が増えるため、どうしても「濃厚接触」が増えます。前提として、避けるのが難しい院内感染があることは、理解しておかなければなりません。
このような事例は、典型的には陽性と分かっている患者から生じるのではなく、むしろ検査で「陰性」と確認された患者や症状のない患者から生じます。そこから感染が知らぬ間に職員に広がり、医療機関内で感染拡大が生じるのが典型的です。この感染症には潜伏期間がありますので、症状が出始め、気がついた時にはもう感染が広がっているのです。
こちらの施設での実際のところは分かりかねますが、何より学んでおかなければならないことは、「検査陰性」を安心材料にしないことです。
これは医療機関のみではなく、あらゆる方が知っておくべきルールです。検査陰性の的中率は、感染拡大が広がれば広がるほど低下します。そのことを肝に銘じておく必要があります。検査陰性で安心してはいけません。検査陰性でも、感染している可能性は全く否定できません。
感染流行地域では、検査結果に関わらず、全ての避けられない濃厚接触の場面において、マスクやゴーグルの装着が推奨されます。
コロナワクチン接種デジタル証明書開発イニシアチブ「VCI」、MicrosoftやOracleなどが参加
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
これは、予想される近い将来のために必要な準備ではないかと思います。
「陰性証明書」が当たり前のように普及しつつある現在ですが、感染流行が進めば進むほど必要とされる一方、「陰性証明」の的中率がますます低下するという矛盾を抱えた「証明書」となっています。
もちろんまだそれを支持するデータは必ずしも十分揃っていない状況ではありますが、今後「ワクチン接種証明書」が陰性証明書の立ち位置にとって代わる可能性があると考えられます。
この「ワクチン・パスポート」の考え方は、既に先進諸国で広がりつつあり、感染伝播の減少などのアウトカムが研究結果として出揃えば、普及する可能性は十分あると考えます。
広島 大規模なPCR検査実施へ 住民など最大80万人対象
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
これを実施する地方自治体や実際に遂行する保健所のスタッフに伺ってみたいところですが、全国的な感染者増加の傾向が見られる中で、感染者の行動把握、接触者の追跡や陽性者の様子観察など、保健所の業務負担はそもそも増加傾向にあると予想できます。
そんな中、「概観」を知るための大規模検査を行うのは、大きな追加の業務負担になり、感染拡大を防ぐために本来行われるべき業務を圧迫し、負の影響を与えはしないでしょうか。
情報はあるに越したことはないものの、追加される情報の価値はとても高いものではないと予想され、cost effectivenessの割が合わないようにも感じられます。特に、現在業務量増加の傾向にあるならば、尚更です。
自宅療養者の死亡相次ぐ 病床逼迫で入院調整難航の高齢者も
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
避けられる、予防できる死亡は最大限予防されなければいけないことに疑いの余地はありませんが、この死亡増加の報告が「病床逼迫で入院調整難航」に原因があるのかは明らかではなく、安易に因果関係を作ってはいけないように思います。
「ケースもあり」という書き方だけで、まるでそこに全ての問題があるように誘導しているようにも見えてしまいます。
しかし、ただ感染者の分母が増えて、それに伴って自宅療養者から最終的に死亡のアウトカムに至ってしまっているケースが増えている部分が大きいのかもしれません。
この報道については、まず、どこに問題があるのかをもう少し明らかにする必要があるように思います。
尾身氏「最悪の場合、休業要請もあり得る」
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
国際的なエビデンスには欠くものの、少なくとも日本国内では、これまで時短の要請だけでも効果が見られていたのは確かだと思います。因果関係を明確に証明するものではないものの、厚労省の公表するデータでもそれが見てとれます。
しかし、前回とは条件が異なり感染者の裾野が広がってしまっていること、感染伝播がより生じやすいウイルスが徐々に広がっていること、緊急事態宣言の持つ効果が弱まっている可能性が高いことなどから、より強力な介入が必要になる可能性は十分念頭に置いておかなければならないと思います。
日本の政治に対する不満がさらに増すような決断が導かれてしまうかもしれませんが、同様の軋轢は世界中様々な国で生じています。より良い判断をしてきた国があることも認めなければならないと思いますが、世界を見渡せば日本が特別悪い決断をしているというわけでもないように思います。
参考文献: https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000709114.pdf
グーグルが300万ドルの基金創設、コロナワクチン巡る誤情報に対処
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
「ワクチンによりマイクロチップが挿入されて個人情報が奪われる」「人工的に作製されたウイルスに対してワクチンを作り巨額の金を儲けようとしている」「遺伝子ワクチンによって遺伝子に変化が生じることになる」「ワクチンで精子や卵子が破壊され不妊になる」
これらはいずれも私が今まで目にしたり耳にしたりしてきたデマ情報の一部ですが、これだけの発想力をむしろ何かポジティブな力に活かせないかと考えてしまいます。
ワクチンの誤情報に対する解決策は、医療界で活発に議論されていますが、医療分野に限らずあらゆる領域で幅広く応用できる解決策になりうるでしょう。基金創設が急速な研究の進展のきっかけになるのではと期待しています。
米、保管ワクチン放出へ 65歳以上や持病ある人に接種拡大
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
ワクチン放出も接種拡大も良いのですが、現場で感じている課題は決して供給面にはありません。
実際、900万回分の接種を完了した米国ですが、ワクチン自体は2500万回分すでに提供されていることが報告されています。すなわち、未だ4割弱のワクチンしか使われていません。
現場で起こっているのは、まずマンパワーとワークフローの問題です。
ワクチンが目の前にあるにも関わらず、コールセンターはパンクして人々が予約を取れない状況になっています。あるいは各施設のマンパワーが不足し、ワクチンはそこにあるにも関わらず、予約がすでに2月まで埋まってしまう状況を招いています。
そして、ワクチン忌避の問題もあります。
期待値をはるかに超える結果を示してきたワクチンですが、理解が十分進んでいる層には問題なく接種が進んでいる一方で、十分な理解が得られていない一定の層は、SNS上などで拡散される根拠のない「噂」にも影響を受け、本当に必要な人に届けられないという課題も出ています。「未知」ばかりが強調され、「既知」が増えてきた今でも「未知」とされてしまっています。
薬剤師および薬学部生まで注射が可能な米国でこの状況ですから、注射をする側のマンパワーがより限定される可能性のある日本でも、あらかじめよく検討しておかなければいけない課題だと思います。

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