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【論文PICKS】アベノマスクは役に立つのか
NewsPicks編集部
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
今回、全世帯に配布されるマスクは布製マスクです。 布製マスクのメリットは、洗剤を用いて洗うことで、ある程度機能を維持しながら再利用できるという点です。これは厚生労働省のウェブサイトにも記載されています。一方で、病院で主に使用されているサージカルマスクは不織布製で、原則的に再利用はできません。 サージカルマスクのメリットは、マスクがフィルターとなり直径5μm以上の「飛沫」を飛散を防ぐ点です。これが感染拡大防止に効果がある理由です。布マスクの場合は、材質の違いにより、マスクをしていても飛沫が外側にも飛散してしまうリスクがあります。したがって、サージカルマスクよりも感染を防止する効果は劣ると考えられます。 布マスクが役に立つか?聞かれれば、飛沫の拡散を抑える、という観点で「しないよりはマシ」というのが“現時点で”妥当な答えではないでしょうか。 また、WHOや各国CDCといった公的組織は勿論、基本的に専門家はエビデンスの乏しい推奨を行うことは少ないです。信頼できる情報を提供するための基本原則ではあるのですが、今回のような未知の病原体への対応では、やや後手に回ってしまう感はあります。今後もその時点でのエビデンスを考慮しつつ、現状に合わせて推奨内容が変更されていくと思われますので、こまめに情報をチェックしていく必要があります。
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【緊急提言】日本人が今できる、たった一つのこと
NewsPicks編集部
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
PCR検査については、「陽性は全例入院」のルールが、現場の臨床医が検査に慎重になる大きな理由でした。軽症患者で指定医療機関が満杯になってしまい、重症者の受け入れが出来なくなるおそれがあったからです。その問題が解決されればPCR検査適応の拡大はむしろ進めていくべきと思います。 ただし懸念はあります。軽症者が自宅待機となり、重症者が指定医療機関に集中してしまうと、日本の指定医療機関には多数の重症患者を同時に対応するマンパワーはありません。従って、他の医療機関でも新型コロナウイルスの患者を受け入れる体制を取るか、指定医療機関に人材や医療資源を集約させるなどの対応が必要と感じます。 また、軽症者でも急に状態が悪化することもあり(英国のジョンソン首相がいい例です)、自宅待機していた軽症者が急変した際、速やかに医療機関が受け入れられるようにする仕組みを作っておく必要もあります。 抗体検査については、現時点で施行可能なのが定性検査(プラスマイナスしかわからず、量の評価が出来ない)のみであり、かつ精度に関する評価もまだ定まったものではありません。抗体があってもウイルス排泄が続くこともあるし、抗体の量が少ないと再度感染することがあります。ノロウイルスのように、長期で免疫が持続しないウイルスもあります。全国レベルでの適応は時期尚早と思いますし、英国での取り組みも、実験的な意味合いが強いのではないでしょうか。
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