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同性婚を認めないと「違憲」判決は、なぜ画期的か
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
医療行為の際に同性のパートナーが法的な家族とみなされないために問題となることは確かにあります。
患者さん本人の同意が得られる状態なら良いのですが、状態が悪化して意識不明になってしまった場合、家族の同意を得ずに医師からパートナーに病状を説明することは困難です。
また、ご本人の代理として同意書にサインをいただくことも出来ません。
加えて、入院前は関係が希薄だった親族(例えば叔父や姪、義理の姉など)の方が、最も親密なパートナーより優先されてしまうことには違和感があります。
こういったことをご存知なので養子縁組をされている方々もたまにいらっしゃいますが、同性婚が認められればより自然な形で不利益を解消できるのではないかと思います。
【最新版】10年分を1年で実現。正しく学ぶ「史上最速ワクチン」
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
まだ正式に論文化されているわけではありませんので、あくまで現時点で公表されている情報に基づいたものですが、早期に出現する副作用で、ワクチン接種を控えたくなるような重大なものはないと思われます。
一方で、本来なら10〜15年程度かかるワクチン開発を1年未満で行っているため、中長期的な安全性の評価は不可能です。
したがって、ワクチンが認可されたとして、ユニバーサルワクチンとして全ての人を対象に打つべきかどうかは議論の余地があります。重症化のリスクがある方や医療従事者などはおそらくワクチンのベネフィットが大きくなるので積極的な接種をすべきと考えますが、それ以外の方々に対しては現状では判断が難しいと思っています。
また、不活化ポリオワクチンのように、抗体は獲得出来ても局所のウイルスは排除出来ず、感染を伝播させるリスクは残るようなものもあります。まだわからないことが多いというのが正直なところです。
【緊急提言】PCR検査の拡大が、やっぱり必要だ
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
記事内容について、自分を含めた多くの医師の意識と解離があると思いますのでコメントいたします。
以前より今日に至るまで、我々が懸念しているのは偽陰性の問題であって、偽陽性ではありません。PCR検査の特異度が高いのは以前から確認されており、偽陽性の可能性は低いという認識は持っている医師が多いと思います。
一方、感度については比較的よく見積もった報告でも6~7割であり、偽陰性の可能性は無視できるものではないと考えられます。具体的に言うと、ウイルスに実際に感染している方10人に検査を施行したとすると、3,4人は検査が陰性になってしまうということです。
したがって、偽陰性の可能性が少なからずある以上、「陰性証明」は医学的にそこまで意味があるものではありません。検査陰性≠感染否定だからです。
現時点でPCR検査以上に精度が高く、かつ普及している検査はないのでPCR検査の拡充は重要であることは間違いないと思いますが、細かい内容に対してはやや疑問を感じます。
【論文PICKS】アベノマスクは役に立つのか
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
今回、全世帯に配布されるマスクは布製マスクです。
布製マスクのメリットは、洗剤を用いて洗うことで、ある程度機能を維持しながら再利用できるという点です。これは厚生労働省のウェブサイトにも記載されています。一方で、病院で主に使用されているサージカルマスクは不織布製で、原則的に再利用はできません。
サージカルマスクのメリットは、マスクがフィルターとなり直径5μm以上の「飛沫」を飛散を防ぐ点です。これが感染拡大防止に効果がある理由です。布マスクの場合は、材質の違いにより、マスクをしていても飛沫が外側にも飛散してしまうリスクがあります。したがって、サージカルマスクよりも感染を防止する効果は劣ると考えられます。
布マスクが役に立つか?聞かれれば、飛沫の拡散を抑える、という観点で「しないよりはマシ」というのが“現時点で”妥当な答えではないでしょうか。
また、WHOや各国CDCといった公的組織は勿論、基本的に専門家はエビデンスの乏しい推奨を行うことは少ないです。信頼できる情報を提供するための基本原則ではあるのですが、今回のような未知の病原体への対応では、やや後手に回ってしまう感はあります。今後もその時点でのエビデンスを考慮しつつ、現状に合わせて推奨内容が変更されていくと思われますので、こまめに情報をチェックしていく必要があります。
【緊急提言】日本人が今できる、たった一つのこと
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
PCR検査については、「陽性は全例入院」のルールが、現場の臨床医が検査に慎重になる大きな理由でした。軽症患者で指定医療機関が満杯になってしまい、重症者の受け入れが出来なくなるおそれがあったからです。その問題が解決されればPCR検査適応の拡大はむしろ進めていくべきと思います。
ただし懸念はあります。軽症者が自宅待機となり、重症者が指定医療機関に集中してしまうと、日本の指定医療機関には多数の重症患者を同時に対応するマンパワーはありません。従って、他の医療機関でも新型コロナウイルスの患者を受け入れる体制を取るか、指定医療機関に人材や医療資源を集約させるなどの対応が必要と感じます。
また、軽症者でも急に状態が悪化することもあり(英国のジョンソン首相がいい例です)、自宅待機していた軽症者が急変した際、速やかに医療機関が受け入れられるようにする仕組みを作っておく必要もあります。
抗体検査については、現時点で施行可能なのが定性検査(プラスマイナスしかわからず、量の評価が出来ない)のみであり、かつ精度に関する評価もまだ定まったものではありません。抗体があってもウイルス排泄が続くこともあるし、抗体の量が少ないと再度感染することがあります。ノロウイルスのように、長期で免疫が持続しないウイルスもあります。全国レベルでの適応は時期尚早と思いますし、英国での取り組みも、実験的な意味合いが強いのではないでしょうか。
【ファクト解説】東京は「医療崩壊」に耐えられるのか
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
東京都では患者数の増加に対応する形で、500→750→900床と(週明けに予定)、新型コロナウイルス患者対応のベッド数を短期間に増やしています。ただ、ベッドの数を増やしても専門家の数は変わりません。そして、もともと患者受け入れを想定していなかった施設や部門では、事前の訓練などは行われておらず、感染対策が完全ではないおそれがあります。
また、全ての医師や看護師が一丸となって患者対応にあたっている、と言いたいところですが、まだ新型コロナウイルスは他所の病院、他所の科の話、という認識の医療従事者はいます。一般の方々により強い自粛を求めている以上、医療従事者の意識改革は必須だと思います。
新型肺炎、一般医療機関でも対応 重症者治療優先、政府が基本方針
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
実際に重症患者を診療することが出来る病院はそう多くありません。
現在、日本国内で感染症専門医の資格を持つ医師は1500人ほどです。その中にはリタイアしていたり、クリニック勤務であったり、研究機関に所属したりしている医師を含むので、実際に総合病院に勤務している医師は数百人程度です。感染症専門医が複数勤務していて、常に患者に対応が出来る施設となると更に数は減ります。
加えて、重症肺炎などの患者に対応するためには、救命センターや集中治療室なとが充実している必要があるため、これらの要件を満たす施設はかなり限定されます。全国で100施設あるかどうか、というところではないでしょうか。しかも、重症患者の対応は、現実的には一度に数名が限度です。
したがって、今後患者数さらに増えた場合、軽症の患者を他の施設で診ることは避けられないと思われます。
クルーズ船下船の栃木の60代女性感染確認 下船者の感染は初
佐々木 秀悟埼玉医科大学病院 感染症専門医
可能性は3パターンあると思います。
①最初から感染していたが、検査が偽陰性だった
→これだと潜伏期間が14日を越えてしまいますが、中国からの報告で潜伏期間が27日と考えられる患者もいるため、ありえます。
②検疫期間中に感染した
→ここ最近の報道からも分かるように、検疫期間内の感染予防策が不十分で感染してしまったかもしれません。
③感染はしているが、発熱は別の病気が原因
→発熱はインフルエンザなどの別の病気が原因であり、コロナウイルスは体内にいるだけの状態。無症状でウイルスを保有している方が、どれくらいの期間検査が陽性になり続けるかはまだ分かりませんので、これだと感染したタイミングは不明です。
他の下船された方々にも同様のことが起こる可能性がありますが、基本的にはなるべく他者との接触を控えていただくしかないと思います。家族内感染が複数報告されていますので、家族に高齢者などの重症化するリスクのある方がいる場合は、特に注意する必要があります。
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