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日米韓外相会談 対北朝鮮で連携強化
産経ニュース
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
韓国に尹大統領が誕生し、日本国内には韓国の日本政策が変わるのではないかと期待する声もありますが、韓国議会は野党が優勢で、尹大統領自身も圧倒的な勝利を収めて大統領になった訳ではないので、国民の支持を背景に強力に政策を進めることが難しい状況にありません。先日、韓国の軍人も「過度に期待しないでほしい」と言っていました。 日本と韓国の二国間関係は引き続き、敏感な問題であると言えます。そうした状況下で、日韓両国だけで安全保障協力について協議を行うのは難しいのです。しかし、北東アジアで軍事衝突が起こる場合、中国、ロシア、北朝鮮が連動する可能性があり、日本や韓国が単独で対応したのでは、それぞれが二正面、三正面に対処しなければならなくなります。 例えば、もし中国が台湾や尖閣諸島をめぐって軍事力を行使しようとすれば、ロシアや北朝鮮に陽動作戦をとるよう要請すると考えられるのです。北朝鮮がミサイル攻撃の兆候などを見せれば、日本も米国もこれに対応しなければならなくなります。その上で、中国やロシアの軍事行動に対応しなければならないのです。 北朝鮮にもロシアにも中国にも、日米韓が協力して対処し、それぞれに役割を果たさなければ、一国が同時に複数の方面で作戦を行うのは限界があります。 日韓の安全保障協力は必須なのです。そのため、米国が間に入り、日米韓の協力枠組みを強化しようというのでしょう。米国も一国で全ての事象に対処することはできず、日本と韓国の協力を必要としているのです。 日韓の間では、政府間の協議は難しいものの、トラック2(民間)レベルでは、退役軍人を含めて協力の議論が行われています。政治的な課題がクリアされれば、日韓の安全保障協力がすぐに進められるよう準備をしているのです。
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中国、月の「占拠」巡る米NASA長官の発言に反発
Reuters
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国の月面探査は「绕(回る:周回する)、落(着陸する)、回(帰還する)」の「三歩走(三歩で行く)」という三段階で構成され、2004年から開始されました。2020年12月17日に「嫦娥5号」が1731グラムの月面の岩石や砂等を採取して地球に帰還して完成しました。 2022年1月に発表された『中国的航天(中国の宇宙)2021』白書は、今後5年間の重点事項の一つに月面に「科学研究基地」の建設を挙げています。 衛星の打ち上げや大陸間弾道ミサイル製造の主役の一つである中国航天科技集団という国営企業は、2011年の段階で、月面には核融合に用いることができるHe3が大量にあって発電に利用できると述べています。米国のアポロ計やソ連のルナ計画で持ち帰ったサンプルを分析した結果、広く知られるようになったものですが、中国は「嫦娥5号」が持ち帰ったサンプルを独自に分析し、月面のエネルギー資源開発に役立てようとしています。 先の中国航天科技集団は、2015年、米国政府が民間企業に月の資源開発を奨励しているという記事をホームページに掲載しています。米国が先に月の資源を独占しようとしていると言わんばかりです。中国は「米国が先に仕掛けたのだから中国は仕方なく月における資源独占競争を行う」というつもりなのでしょうか。中国は「多国間での開発」を主張すると思いますが、中国主導の開発でなければ許容しないでしょう。 中国はまた、月面には3Dプリンタの材料に適した土があるとし、3Dプリンタを月に持ち込めば簡単に月面基地を建設できるとも言います。すでに月面基地の建設は夢物語ではなく、月の資源開発競争が激化しそうです。 米国はすでに有人月面探査「アルテミス」計画を発動しています。以前、中国の有識者が、地球上の資源はほとんどが米国に支配されているので、月では中国が先手をとらなければならないと言っていたことがあります。米中「競争」は宇宙にまで広がっています。
中ロ軍艦艇が接続水域航行 尖閣周辺、中国は4年ぶり
時事ドットコム
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中ロ軍事協力は、これまでも、ロシアの都合によって強化されてきました。中国は一貫してロシアとの軍事協力を求め、ロシアが自ら必要になったときに中国との軍事協力の段階を上げるということを繰り返してきたのです。 「平和使命2005」中ロ合同演習に先立つ2005年7月1日、ロシアを訪問中の胡錦濤主席(当時)とプーチン大統領は、『21世紀の国際秩序に関する中ロ共同声明』に署名しました 。中ロ両国は2005年当時から、欧米主導の秩序を否定し、新たな国際秩序を構築するための協力を始めていたのです。 しかし、当時、ロシアはさほど積極的であったようには見受けられません。「平和使命2005」に参加した兵力は1万名に達しますが、ロシア側からの参加は1800名に止まり、両国の同演習に対する積極性の非対称性を示しています。 ロシアの態度が変わるのは、プーチン大統領がウクライナのクリミアを併合し、国際社会の非難を浴びた2014年です。2014年5月に実施された「海上聯合」中ロ海軍合同演習の開幕式に、中ロ首脳会談のために上海を訪れていたプーチン大統領が習近平主席とともに参加し、演習に参加する将兵を激励したのです。開幕式前日に行われた中ロ首脳会談では、両首脳が「全面的戦略的協力パートナーシップの新段階に関する共同声明」に署名しています。 さらに、2015年になると中ロ両国は軍事的な米国およびNATOへの対抗姿勢を露わにしています。中ロ両国は故意にNATOの勢力範囲の海域で「海上聯合2015」を実施したのです。「海上聯合2015」は2つの段階に分けて実施され、最初の段階はロシアの黒海沿岸部で、第2段階は日本海で実施されました。 そして、プーチン大統領がウクライナ侵略を開始した2022年、中ロの戦略的協力はこれまでになく強まっているように見えます。ただ、米国の一極支配を崩し、欧米の秩序を覆して以降、どのような世界秩序を求めるのか、中国とロシアは一致していないようです。戦略的協力というのは、共同作戦を行う戦術レベルの協力ではなく、国際世論形成のために協力して軍事力を用いた戦略的コミュニケーションを行う、日本等の米国の同盟国やパートナー国に軍事的圧力をかけるといった内容が主になります。今後、共同作戦が行えるような強力になるのかどうか注視が必要です。
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米、中国による台湾周辺での軍事行動非難 「挑発的で不安定化招く」
AFP
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
実は、米国も中国も基本となるスタンスを変えていません。米国の「力による現状変更を許さない」という中国非難は、中国にとっては米国が中国の行動を妨害しようとしているように見えるのです。もちろん、中国がしようとしていることが日本や米国を始めとする国際社会にとって許容できない、武力行使を含む「力による現状変更」であるからこそ、米国も非難を強めているのですが、中国は強い権利意識と被害者意識を持っています。 尖閣諸島や台湾は中国の一部であるという権利意識に基づいて、どのような手段を取っても中国のものにすることが最優先です。一方の日本や米国は、武力行使をさせないことが最優先です。そうすると中国は効果の高い選択肢を奪われると感じ、「米国が不当にも中国の権利を侵害している」と非難することになります。 国連憲章が禁じていても自らが主張する権利を守るためであれば武力行使を躊躇なく行う専制主義国家と、武力行使をしてはならないという考えの民主主義国家の間では、価値観や意識が異なるということでしょう。 皮肉なことに、武力行使を選択肢の一つとしていつ実行するか分からない専制主義国家を抑止するためには、「してはならない」と言っても通用せず、「できない」ことを実力をもって示すしかないのです。 必然的に緊張は高まることになります。ただ、専制主義国家が「できる」状況を作り出そうとし、民主主義国家が「できない」ことを示すために、軍事的手段に加えて相互依存の武器化や経済制裁等といった経済的手段も多用されており、状況をより一層複雑にしています。
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首相、NATO会議に出席検討 対中国、ロシアで欧米と連携
共同通信
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
プーチン氏のウクライナ侵略は、現在の国際秩序を脅かすものであり、ルールに基づいた秩序を維持したいと考える国は地域に関係なく協力して対処しなければならないものです。米国内には、プーチン大統領のウクライナ侵略の真の意義は西側陣営に対する闘争であり、バイデン大統領がこれを見誤っているという議論があります。 そして、中国はプーチン大統領の真意を理解して、「ウクライナ危機は米国が始めたもので、米国がこれを煽り、米国だけが利益を得ている」と米国非難を繰り広げています。習近平主席は、プーチン大統領と同様の国際情勢認識を持っているのだと言えます。 こうした課題に取り組むのに「地域が異なる」とか「中国とロシアの二正面は無理」とは言っていられないのです。欧州はすでにそのことを理解しているようです。日本は単独で多正面対処ができる訳ではありません。同盟国である米国や欧州諸国と協力して初めて、ロシアにも中国にも多正面対処を強いることになります。さらに、日本、米国、欧州の協力と中ロの協力では、経済的にも軍事的にも差があります。中ロは孤立して戦っているという印象を持つでしょう。 問題は、日本には未だ欧州諸国との安全保障協力を実現するための基礎がないことです。日本は早急に国内の基礎固めをすべきでしょう。
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戦闘機支援の無人機開発 日米、防空網強化へ技術協力
日本経済新聞
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国は、昨年11月の珠海航空ショーにおいて、無人機専用の大きなブースを設置し、多種の無人機を展示しました。中国人民解放軍は、近い将来の戦争は智能化戦争になるとして、すでにその兆候が見えるとしています。智能化戦争とは、無人機等を人工知能(AI)と融合したものであるとされ、その戦闘様相は「機械対機械」または「機械対人間」の戦いになると言います。中国人民解放軍は、この智能化を実現しようとしているのです。 中国は、プーチン大統領のウクライナ侵略の状況から多くの教訓を得ていますが、その中には、自軍の死傷者を最小限に抑えなければ、自国内の反戦、反体制の声が大きくなる、というものがあります。ロシアのように独裁色の濃い体制であって、暴力的に反プーチンの声を抑え込もうとしても、プーチン氏のウクライナ侵略に反対する声を完全に抑え込めず、却って広がりを見せ始めています。権威主義国家の最大の脅威は自国民です。中国は、台湾に武力侵攻しようとすれば、ごく短期間で、かつ自軍の死傷者を最小限にして占領を完了しなければならないと考えるでしょう。 現在の中国人民解放軍の渡海能力は全く不十分です。しかし、中国海軍は、強襲揚陸艦等の着上陸作戦に用いる艦艇の建造を急いでいないようです。このことからも、中国は陸上兵力を上陸させる前にAIと融合された自律型無人機で台湾軍を叩くことを考えている可能性もあります。 中国が想定する智能化戦争の戦闘には、自律型集団消耗戦、自律型潜伏突撃戦などの文字が見えます。台湾だけでなく、日本や米国もこうした戦闘に対応する必要があるのです。
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米国務長官、ウクライナ対応で中国に「正しい教訓与える」
産経ニュース
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
プーチン大統領がウクライナ侵略を開始した後も、米国の関心は中国にあります。ロシアにはすでに国際秩序を変えるだけの(経済力に基づいた)影響力がなく、米国に挑戦するのは台頭する中国だという認識があるのでしょう。 その中国が現在の国際秩序を無視して「力による現状変更」を強行したり、自らに都合の良い標準、ルール、規範などを国際社会に実装したりすることがないよう、抑止したいと米国は考えているのです。 特に中国が台湾に対して冒険主義的に武力行使することがないよう、プーチン氏のウクライナ侵略から誤った教訓を得ることがないよう、プーチン氏に成功させてはいけません。 プーチン氏が失敗したことを明確にするためには、ロシアがウクライナの領土を得てはいけませんし、国際社会の制裁によってロシア経済が回復困難な状況まで悪化しなければいけません。 一方で米国は、自らがウクライナとロシアの戦闘におけるゲーム・チェンジャーになることを慎重に避けています。例えば、米国が射程300キロメートルのロケット弾をウクライナに供与すれば、ロシア領内の兵站施設が攻撃される可能性があります。現在のウクライナとロシアは長射程の強大な火力による叩き合いという消耗戦を戦っています。補給は死活的に重要なのです。 ロシアの兵站基地が破壊され、前線のロシア軍への弾薬等の補給が滞れば、戦況は一気にウクライナ側に傾く可能性があります。米国は、自分のせいで戦闘の帰趨が決まるような状況を作りたくないのです。あくまでウクライナが自らの力でロシア軍を押し返すということにしたいということです。 現在、ロシアは射程70から90キロメートルのロケットでウクライナ軍を攻撃しています。超射程砲で壊滅的な打撃を与えた後に戦車等の装甲車両や歩兵が前進して領域を確保するのです。 ウクライナ側にも同様の兵器がありますが、数は圧倒的にロシアが多いのです。ウクライナ軍が使用する多くの兵器はロシアの超射程砲に届きません。米国が供与を決めたのは射程70から80キロメートルのロケットシステムです。これが供与されれば、数量にもよりますが、ロシアと対等に叩き合えるようになります。ゲームを変えるような兵器ではないということです。 米国は慎重にウクライナが勝利できるような支援を続けていますが、決してウクライナを敗北させないことが中国に対するメッセージにもなるのです。
中国軍、台湾周辺の海・空域で「戦備パトロール」
Reuters
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国は、これまでも大型爆撃機による台湾周回飛行などを行っています。また、中国の戦闘機が台湾の防空識別圏に侵入したり、日台中間線を越えて台湾に接近する飛行も繰り返されてきました。そして、それらには、米国や台湾に対する政治的メッセージが込められています。 多くの台湾防空識別圏侵入は台湾の南西部で行われましたが、その針路はバシー海峡に向いています。こうした飛行は、米国やその同盟国の艦艇や航空機が台湾周辺海域で行動したり、太平洋から南シナ海に入ろうとするときに行われています。 昨年10月4日には、1日で54機の中国戦闘機が台湾南西空域の防空識別圏に侵入しました。その時は、AUKUS結成直後に、米国が日本、英国、オランダ、カナダ、ニュージーランドと共に6カ国海軍合同演習を行なっていたのです。中国は、カナダとニュージーランドは対中強硬姿勢が強くないのでAUKUSに加わらなかったと言ったばかりだったので、6カ国演習にカナダとニュージーランドが加わったのが刺激的だったと考えられます。中国はAUKUSのような軍事協力枠組みが拡大することに警戒感を強めていたのです。その後、6カ国海軍が南シナ海に入ったので、中国はそれらに対応するためにバシー海峡に向けて戦闘爆撃機などを飛ばしたのだと考えられます。 しかし、今回は中国自ら、わざわざ、台湾周辺界空域の「戦備パトロール」を行なったと公表したのは、台湾や米国に対するメッセージに他なりません。プーチン大統領によるウクライナ侵略は、台湾だけでなく、日本や米国も中国が台湾武力侵攻するのではないかという危機感を高める結果を招きました。 米国を中心として、中国の台湾武力侵攻を許さない、もし強行すれば米国は軍事介入すると表明する中、中国は台湾統一のために武力行使を含む全ての手段を放棄しない、台湾を軍事力を用いて「統一」する能力があると主張しなければならないのです。 しかし、ただの政治的メッセージだけで終わると考えて気を抜けば、中国にスキを見せることになります。現在、日米では中国の台湾武力侵攻のハードルは上がったと認識されていますが、だからといって中国の台湾武力行使に対する準備を怠ってはならないということです。
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ウクライナに長距離砲供与せず=ロシア攻撃への使用警戒―米大統領
時事通信社
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
バイデン大統領が言うロケットシステムは、多連装ロケットシステム(MLRS: Multipul Launch Rocket System)のことでしょう。MLRSは、発射ポッドを入れ替えると、ロケット弾も短距離弾道ミサイルも発射可能です。米国が心配しているのは、射程が300キロメートルある短距離弾道ミサイルの供与であると思われます。一方のロケット弾は射程70キロメートルですので、現在、東部でウクライナが抑えている地域からロシア領内の兵站基地を攻撃するといった、米国が恐れるような攻撃はできないと考えられます。 現在、ウクライナとロシアは、大きな火力で叩き合うという消耗戦を戦っています。撃ち合う時には、当然のことながら射程の長い方が有利です。現在、ロシアが攻撃に使用しているロケットは射程が70から90キロメートルあります。一方のウクライナも同じロケットシステムを持っていますが、数は圧倒的にロシアが多いのです。その他、ウクライナ軍が使用している超射程の兵器は、米国なども提供している榴弾砲ですが、射程は30キロメートル以下なので、ロシアのロケットシステムを攻撃することはできません。強力な火力でロシアと対等に叩き合うためには、ウクライナにはロシアのロケットシステムと同等の射程を持った兵器が同等の数だけ必要なのです。 戦闘は、結局大きい方が勝ちます。兵力(兵員の数)、相手に届く火力が大きい方が勝つのです。また、火力が同等であっても、同様に消耗していけば、やはり兵力の多い方が最後には兵力を残します。ウクライナとロシアが戦っている消耗戦では、どちらかが消耗し尽くせば、鍋の底が抜けたように急激に一方がなだれ込むような状況になります。 ウクライナでは男性の国民が志願して兵士となっており、すでに30万人以上を動員したと言われていますが、ロシアと同等の射程を持った兵器がなければ、ウクライナ側の消耗がロシア側より大きくなり、劣勢に追い込まれる可能性があるのです。バイデン大統領にとってはロシアとの衝突を避けることが最優先のようですが、そのためにウクライナ軍はさらに多くの死傷者を出しながら、自国を守るための戦いを続けることになります。
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中国の宇宙ステーション、建設進む-数日中に飛行士3人送り込む
Bloomberg.com
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国の各種宇宙開発は三段階で進められています。中国では「三歩走」と言われ、直訳すると「三歩で行く」という意味になります。中国の宇宙ステーションの完成は、有人宇宙開発の三段階の第三段階に当たります。 中国の有人宇宙開発の第一段階は、有人飛行船を発射して宇宙を往復する初歩的・実験的段階であり、神州1号(1999年11月)から神州6号(2005年10月)によって実現されました。 第二段階は、宇宙船と宇宙ステーションのドッキングおよび宇宙実験室での短期滞在であり、神州11号(2016年10月)によって運ばれた宇宙飛行士が天宮2号に30日間滞在しました。 第三段階は、長期滞在型「天宮」宇宙ステーションの完成であり、2022年(今年)に完成させるとしていました。 有人宇宙開発の「三歩走」発展戦略は921工程と呼ばれ、1992年9月21日に開始されたものですが、そもそもは1986年に鄧小平が指示した「863計画」がその原型です。中国の宇宙開発は、若干の遅れはあるものの、経済力が十分でない時代からブレることなく進められてきたのです。 現在の国際宇宙ステーション(ISS)は、延命しましたが、2024年にはその活動を終える計画です。それ以降は中国の宇宙ステーションだけが存在することになります。 ロシアは、この状況を良しとせず、ISSのロシアの部分だけを切り離して、2024年以降も運用するとしています。2016年に就任した有人宇宙工程副総指揮は、中央軍事委員会装備発展部の副部長でした。宇宙の開発も、安全保障に関係しているのです。
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韓国、日本EEZ内で調査 中止要求に応答せず
産経ニュース
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
韓国は大統領が代わり、日本との関係改善を期待する声も多く聞かれますが、短期間のうちに日韓関係が劇的に改善することは難しいでしょう。韓国では、大統領選挙と議会選挙の時期がズレているので、新しい尹大統領は、野党が優勢な議会と政策をめぐって対立を続けることになるでしょう。また、大統領選挙では僅差での勝利でしたから、国民の圧倒的支持を背景にして政策を通すことも難しいでしょう。さらに、尹大統領が自らの政策を進められるようになったとしても、領土問題で譲歩することはできないと考えられます。 しかし、韓国は、日本と同様、米国の同盟国であり、専制主義国家の実力による現状変更を抑止するためのグローバルな協力の中にも入ってもらわなければなりません。日本は、韓国の対日政策が劇的に変わらないからと言って、その反動で韓国に対する反発を強めたのでは、尹大統領の立場をより悪くし、かえって協力の輪から追い出すことになるかもしれないことを認識する必要があります。 一方で、日本も竹島の問題で韓国に譲歩することはありません。竹島は日本の領土なのです。領土問題は双方ともに退くことのできない問題であることを認識する必要があります。 問題は歴史問題です。先述の尹大統領の立場を考えると、歴史問題も簡単に解決するのは難しいでしょう。
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米、対中覇権争いに注力 ブリンケン国務長官が政策演説
共同通信
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
米国は、ロシアによるウクライナ武力侵攻が起きた後も、国際秩序を脅かす最大の脅威は中国であるという認識を変えていないということです。中国とロシアの最大の差異は経済力でしょう。 米国と中国は碁を打っているかのように、自らに有利な国際情勢を作り出そうと、東南アジア、太平洋島嶼国、そしてラテン・アメリカおよびカリブ諸国で影響力拡大の競争を行なっています。現在の世界は、米ソ冷戦期のように二分割できるほど経済関係が単純ではありません。米中は重なる地域で影響力行使の競争をしているのです。昨年11月に公表された米中経済安全保障調査委員会の議会報告書は、米国が、中国が経済支援や投資をテコにラテン・アメリカおよびカリブ諸国との軍事協力を進めようとしていることに強い警戒感を示しています。 現在の影響力拡大のカギは経済なのです。その意味で、米国にとってロシアはすでに大きな課題ではなく、中国こそが米国の国際社会における指導的地位を脅かす対象であると認識されているのでしょう。QUADの共同声明でも東南アジア諸国や太平洋島嶼国への支持や支援が謳われていますが、中国の経済支援や投資を用いた影響力拡大を阻止しようとする米国の意思の表れと言えます。
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