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高市早苗氏、企業の現預金への課税を検討 法人税巡り
鷲巣 大輔FP&Aスペシャリスト
批判的なコメントが多いですが、敢えて擁護的なコメントを。
分配や社会保障の財源確保を目的としての「現預金への課税」とは話がズレますが、この「高市案」が実現すると、コーポレートガバナンスの観点からは一歩前進するアイデアかとは思いました。
課税対象の「現預金」の定義を正確に見ないといけませんが、現金を手元に置く傾向が強い日本企業にとって、余剰キャッシュを事業への再投資や株主還元に向けるという「株式会社の本来の姿」に方向転換する一助になるかもしれません。本人が本来意識した目的に沿っているかどうかは別にして。
手元に置いている現金は何もリターンを生みません。特に日本においては低金利ですからね、金融機関に預けておいても資本コストを上回るリターンなど望むべくありません。新自由主義的色彩が強いと批判はされますが、現代ファイナンス理論で言えば、株主債権者という資金提供者からキャッシュを預かった経営者は、手元にある余剰キャッシュについては、経済的リターンを生むために再投資をするか、それが期待されないなら株主に還元するというのがセオリーです。
もちろん僕が指摘しているのは、「余剰キャッシュ」の事であって、そこには将来の不確実性に向けての必要資金だったり、事業投資やM&Aを見据えて手元に置いている準備資金は含まれません。これらはあくまでも事業価値創造のための立派な「経営資源」になりますからね。
ちなみにこちらの記事を見る限り、内部留保と現預金の区別はしっかり付けたうえでのご発言・ご提案のようです。
https://hanada-plus.jp/articles/815?page=3&fbclid=IwAR2_AjPpCW26Pf4pBtFyBRusqKV6-bW-BShjdnu7c-pSax-zvtWEvKJdpdM
EU初の15年物環境債、利回り0.453% 11倍以上の需要集める
鷲巣 大輔FP&Aスペシャリスト
グリーンボンドの利回りが同条件の普通債権より低いとの事、記事では需給バランスの問題と書かれていますが、最近はSDGsに配慮している企業のほうがリスク耐性が高く、結果として資本コストが低くなるというのがコンセンサスになっています。
先日のG1会議においてモルガンスタンレー証券の重富隆介さんが、SDGsを目的としたESGに積極的な企業のエクイティ・ベータが10%程低いこと、ボラティリティも18%程低いという事をお話されていました。
エーザイCFOの柳良平さんは、その著書「CFOポリシー」の中で、SDGsに積極的な企業は、そうでない企業に比べてPBRが高いことを回帰的に証明しています。
SDGsは儲からないと及び腰な経営者もまだまだ多いですが、収益の観点で考えるから及び腰になってしまうわけです。ここはファイナンス思考で考えてみる必要があるかと思います。
「企業価値=将来にわたって生み出すFCFの現在価値の総和」であるとするのであれば、企業価値を構成する要素であるFCFのみならず、割引率にも注意を払うべきで、実はSDGsへの取り組みはこうしたファイナンスを知るからこそわかる価値でもあるのかなと思います。ますますファイナンス思考の重要性が高まってきていると感じます。
家庭教師のトライ、英ファンドが1100億円で買収
鷲巣 大輔FP&Aスペシャリスト
トライのEBITDAが80億円超、買収額が1100億円ということで、EV/EBITDAマルチプルが13倍くらい。企業買収としてはそこそこ高い案件という印象がありますが、CVCキャピタルは今後どのようにトライを変革していくのか、とても興味があります。
ところで投資ファンドのビジネスモデルは、買収して価値を創造して、買収した時よりも高い価格で売却することにあります。その株価上昇の方法論としては3つのアプローチがあると言われています。
①オペレーション改善。例えば古臭い経営手法の刷新だったり、テクノロジーの活用だったり、事業ポートフォリオの見直しだったり、PEファンドが入ることでマネジメントの方針に変化を生み、結果として収益性を向上させるというアプローチ。これがまずは基本。
②レバレッジによるアービトラージ。PEファンドが企業買収する際は、有利子負債を活用することが多いです。有利子負債は元金と利息の返済が固定的で、債権者のリスクを下げる分だけ、事業リスクは株主=PEファンドにしわ寄せが来ます。その分株主側はハイリターンが期待できるという構造。
③買収売却前後のマルチプルのアービトラージ。非上場企業の場合は非流動性ディスカウントなど、企業価値をマルチプルで測定される場合割り引かれることが多いです。そうした状態で買収し、上場にもっていけばその分のディスカウント分が解消されることで値上がりするというメカニズム。
記事にもあるようにDXやM&Aなどの試みで①を追求するのがやっぱり基本ではありながら、官報などを見ているとどうやらトライグループの有利子負債額は少ないと思えるので、②の効果も大きいでしょうし、数年後に上場を目指すという事なので③の効果もあるのではないかな、と思った次第です。
あとはオーナーが今後どのようにトライグループ経営に携わっていくのかも気になります。この機にExitされるのか、PEファンドと一緒にJVのような形で経営を担っていくのか。現実的にはホットイシューになるところではないかとも思います。
「微アルコール」飲料、続々登場 度数1%未満で健康意識
鷲巣 大輔FP&Aスペシャリスト
アサヒのポジショニングの上手さを感じました。
もともとほとんど全てのノンアルコールビール(ビールテイスト飲料)は製造法がビールとは異なるので、結果として味もビールとは「似ているがビールではない」代物でした。ビアリーは製造方法そのものがビールなので、やはり味もビールそのもの。
実際海外から輸入されているものの中には、ビール醸造手法を用いた「ノンアル」飲料もあったのですが、「ノンアル」と称しているがゆえに消費者が手に取る前に「味が期待値と違う」という先入観があったのではないでしょうかね。
「ノンアル」ではない「微アル」という軸を新たに出したところに成功のカギがあるような気がしています。
ユナイテッドアローズが銀座と青山の店舗を相次いで閉店
大赤字で“株価暴落中”の出前館、これは「良い赤字」か「悪い赤字」か
鷲巣 大輔FP&Aスペシャリスト
TVCMの露出も高く、街でも配達員の方々をよく見かけるので、調子いいんだろうなと思ってはいましたが、財務諸表を見るといいのは売上成長ペースだけでした。
この2年は広告宣伝負担も大きいという理由もあって大幅赤字なわけですが、それ以前(すなわち2011年8月期~2019年8月期)の9年間の財務諸表を基に売上高・営業費用の単回帰分析を実施したところ、変動比率が96%(つまり売上100のうち96は売上増に伴い増加する費用)、決定係数は0.976という驚くべき結果が出ました。まあ単純な算数の数値でしかありませんけどね。
露出が増えて認知が向上し、利用者の数は増えているかもしれませんが、それに伴い費用も増え続けています。本来ならば収益逓増に効くべき固定費が固定になっていない状態が明確です。そうした構造を抜本的に変えるべく、資本参加したLINEは、経営陣の見直しも含めて着手していると推測しています。
オリオン社長早瀬氏、退任へ 就任2年、「業績低迷」理由か
鷲巣 大輔FP&Aスペシャリスト
あら~早瀬さんはとても先を見越した、変革の意思を込めた意思決定をしていたので、退任は残念でなりません・・・
ところで、もともとPEファンドが570億円でオリオンビールの株式を取得したとき、ああ、これは別に企業を成長させなくてもリターンを得ることができる「おいしい」案件だな、とは思っていました。
PEファンドが株式取得のために作った受け皿会社(SPC)の資本金は108億円、そこに借入等で462億円調達し、それでもってオリオンビールの株式を取得するわけですが、(非上場会社には珍しく公にしている)オリオンビール社財務諸表を見ると、すでに2018年3月期の手元現金は200億円、ホテル事業とゴルフ場事業のセグメント資産合計が157億円あるわけですから、極端な話ビール以外の事業を売っぱらって特別配当すれば初期投資の108億円は余裕で回収されるわけです(理屈の上では)。
そんなPEファンドが社長に引っ張ってきた早瀬さんはP&G出身で前ルルレモン日本法人代表を務めたマーケッターですから、前述のような「おいしい」案件の割には、えらくド直球にブランドを創ることを目指した人選をしたな~と思ったことを覚えています。
沖縄を代表するオリオンビールですが、早瀬さんが植えた変革の種が今後どうなっていくのか、注目したいです。
NORMAL
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