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自民党の裏金問題「なぜ脱税で罰せられないのか」 元国税調査官が明かす税務調査が入らないワケ
小川 一毎日新聞 客員編集委員
どんな組織もそうですが、官僚組織も面倒くさいことは避ける習性があります。旧統一教会問題を警察がなかなか手をつけなかったのも政治家が絡んでいて面倒くさくなる、という意識からだったと思います。この記事にある通り、国税当局の本音もそこにあると思われます。ただ、過去には国税当局も政治家に果敢に斬り込んだこともありました。一番有名なのは、ロッキード事件の田中元首相の起訴事実にある「5億円のわいろ」に対して行われた課税です。有罪、無罪が確定していない段階での「わいろ」課税は前例がありませんでしたが、国税当局は踏み切りました。もうひとつは金丸信・自民党副総裁の逮捕につながった脱税調査です。どちらも金権政治を批判する世論の力が追い風になりました。世論の力がなかったら、できなかった可能性が高いと私は考えます。その意味でも、世論は大切です。世論はひとりひとりの声と行動です。ひとりひとりの意識が問われます。
新しい犯罪者集団「トクリュウ」とは一体何者か「離合集散」を繰り返す反社会的集団の「正体」
小川 一毎日新聞 客員編集委員
暴対法後の反作用として半グレ、そしてトクリユウが登場するのは、いわば必然のことであり、警察は時代をキャッチアップして取り締まり体制を構築することが求められます。綾野剛さんが好演した映画「ヤクザと家族 The Family」では、暴対法で力を失っていく暴力団と新たな利権を獲得していく半グレの台頭が描かれています。身代わりの殺人の罪で逮捕されて服役し出所した綾野剛さん扮する主人公が、暴力団の凋落に呆然とする場面が印象的です。先輩から携帯を手渡され「このぐらい自分で買う」と反発すると、「いまヤクザは携帯を買うのも大変なんだ」と諭されます。また、暴力団と癒着した刑事を半グレの若者がスマホの中の癒着写真を見せ「ネットにばら撒こうか」と脅したりもします。
しかし、暴力団がしぶといのは特殊詐欺という新たな資金源を開拓し、半グレも傘下に組み込んだりもして延命を図っていることです。人間の歴史は常に首をもたげる「闇社会」との闘いです。スターウォーズの「暗黒界」との闘いは、その意味でも普遍の真理をついていると思います。
政治倫理審査会が開かれたが「説明責任」は説明すれば良いわけではない。もはや「政治不信」どころか「政治家への絶望」
小川 一毎日新聞 客員編集委員
筆者は悲憤慷慨しています。これはとても大切なことです。諦めと冷笑からは何も生まれません。世耕氏の答弁はひどかったです。胸を張って「知らない」ばかり。もしほんとうに「知らなかった」のなら、調べればいいだけです。その立場にいるわけですから。
自民党安倍派の西田昌司参院議員の言葉が印象的です。
「(キックバックの)継続を決めた経緯と、誰がやったのかと指図したのか。その事実関係を説明することが一番。しかし、誰一人まともに答える人がいない。先ほどの世耕さんの答弁聞いていましたが、私も全く納得できなくて」
安倍派議員も納得できないことへの悲憤慷慨を忘れてはいけないと思います。
「自民党裏金問題は朝日のスクープ」とだれも答えられない新聞が影響力を失ってしまった本当の理由
小川 一毎日新聞 客員編集委員
新聞社はいまだにライバルは他の新聞社だと考えています。そこが根本の間違いです。スクープにしても、狭い記者クラブの中で、自分の特ダネを他社の記者が悔しそうに読んでいる様子を見るのを励みに競争しています。新聞社は究極のBtoBビジネスを続けています。編集は永田町、霞が関に、広告は電通博報堂に、販売は販売店主に好かれる人間が出世していきます。その向こうにいる読者の姿を実は見えていないのです。
ニュースとは何かを再定義する必要があります。
ただ、希望を言えば、生成AIが、記者を膨大な雑用から解放してくれる可能性です。雑報はAIに任せて、調査報道に傾注し、新聞社がそれぞれ文春砲を目指すべきだと思います。
NORMAL
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