Picks
9フォロー
21103フォロワー


バイデン氏、貧困層への現金支給迅速化や食糧支援拡大で大統領令
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
米CNBCでバイデン大統領の会見を見ましたが、個人的には、低金利環境なので「small investment」が必要と冒頭から主張していたのが印象的でした。加えて、バイデン大統領は、今回の危機が終わっても、米国の競争力を強化するための支援が必要である点も指摘しました。
米国の経済社会の癒しのために、front loadingの財政支出が必要である点は、市場も同意すると思いますが、この先、市場が財政の拡大や経済への介入に対する懸念がどの段階で生じるかは興味深い問題です。
ECB、借り入れコスト算出巡り3月理事会で討議=関係筋
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
昨日のピックで書きましたが、今回の声明文でPEPPを「資金調達環境」に即して運営すると表明したことが、12月に折角決めた大規模な金融緩和の実施姿勢の後退を想起させただけでなく、条件自体が不明確で曖昧との批判を招いていることへの対応だと思います。
しかし、概念的には合理性のある「資金調達環境」も、定量化はそもそも難しいだけでなく、局面によって、企業に着目するか、政府に着目するかといった点でウエイトを変える必要もあります。
ECBにとっては、無理に定量化を目指すよりも、当面は「資金調達環境」はタイトだと見込まれるので、PEPPを予定通り続けることになるという見通しを明言しておくことの方が、より容易で効果的な対応だと思います。
中国は景気回復に必要な措置講じる、「政策の崖」回避=発改委高官
長期金利操作、運用見直しも=変動幅再拡大の可能性―日銀
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
イールドカーブコントロールの目標金利の運営は、元々「柔軟性」を持った枠組みなので、記事のような内容だとすると既定の方針の「再確認」に止まる印象を与えます。
また、長期金利の下振れを容認するのであれば、逆イールドに伴う金融仲介への影響にも配慮する必要が生じます。例えば、コロナ対策の特別オペで採用しているような、当座預金に対する付利を通じた実質的な「マイナス金利オペ」を恒久化し、国債利回りの目標との連動性をルール化するといった対応も必要となります。
これらの結果、政策金利の位置付けが不透明になるという副作用はありますが、ECBでも既に起きていることであり、金融経済にストレスがかかった場合の一時的対応としては、正当化しうると思います。
米政府、住宅2公社の資本増強後押し 政府管理脱却の道筋示す
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
GSEについては、経済的弱者のみをカバーするビジネスモデルに時間をかけて転換しつつ、公的管理を脱却するシナリオであったと思います。
しかし、今回の危機で再びバックストップの役割を担い、政府の家計に対する支援策も永久に続けることができない以上、徐々に信用リスクの負担が増加することも見込まれます。
そうした状況で公的管理の脱却や「民営化」を急ぐことは不可能かつ不適切であるだけでなく、世界金融危機の序盤のようにagency MBSに対する投資家の信認の低下にもつながりかねません。
バイデン政権にとっての現実的な選択肢は、GSEの資本増強だと思いますが、記事が指摘するように政府や投資家との係争が片付かない限り、結局は公的資金の追加投入に至る可能性が小さくないように思います。
ECB、低利融資の借入枠巡る理事案に一部が反対=議事要旨
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
TLTRO IIIの利用限度額の引き上げを巡る議論もさることながら、既に配信したレポートでカバーしましたが、PEPPの増額についても様々な議論でが出た点が注目されます。
より少額の引き上げで十分という「一人の理事会メンバー」の意見はともかく、従来のような一定の買入れペースでなく、金融環境に応じて調整すべきとの考えは相応に幅広い支持を得たように見えます。
議事要旨は、その理由について、買入れの効率性の強化や今後の発動余力の維持に資するとしています。つまり、インフレ目標の達成が一層遠のく中で、ECBも資産買入れの持続力の維持に懸念し始めた様子が窺われます。
英経済は難局、マイナス金利に「多くの問題」=中銀総裁
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
BOEがマイナス金利政策の適否を考える上で、海外の経験や議論を参照することは自然です。
しかし、ロンドンに大きな資本市場を抱える一方で、国内の与信における銀行の役割も大きいという特殊な構造を有する英国にとっては、日本やユーロ圏でのマイナス金利政策に関する経験も、米国におけるマイナス金利政策に対する否定的な見解も、いずれもそのまま当てはまる訳ではないように思います。
その上で、現在の喫緊の課題が国内経済の下支えにあり、そのために銀行による金融仲介の役割に期待するのであれば、敢えて現時点で銀行のモチベーションを損なう政策を導入すべきかどうかという判断になります。
米下院民主党、11日にトランプ氏の弾劾手続き開始=関係筋
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
バイデン氏の会見を米CNBCで見ましたが、トランプ氏の行為をもちろん批判した一方で、両党の融和を重視する姿勢を堅持する考えも感じられました。
折角、共和党内からもトランプ氏への非難が見られるようになった(バイデン氏は共和党の多くの議員と電話で話したと説明しました)だけに、弾劾手続きを進めるよりもこのチャンスを活かすことが得策と考えているのだと思います。
それはさておき、本件に関する日本での報道や関心が少な過ぎるようにも感じます。トランプ氏の主張の是非はともかく、政治家が議会への攻撃を扇動する事態は、少なくとも手法の面では戦前の欧州の某国と余り変わりません。改めて深刻な事態であることをしっかり認識する必要があります。
トランプ氏孤立化、両党から罷免要求・政権高官辞任 議会乱入で
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
トランプ大統領に関しては、イデオロギーの面だけでなく、これまでの政策運営も含めて相当な支持があったことは、大統領選挙での得票数が示す通りです。
その意味では、トランプ大統領も今回の選挙結果はさっさと諦め、次回に向けて捲土重来を記すと宣言し、政治活動をスタートした方が返り咲きの可能性もあったし、民主党にとっても大きな脅威となったはずです。もちろん、そうした戦略を選択しなかったことも、トランプ氏ならではということかもしれません。
今回の件で、共和党も、次の大統領候補を新たに探す方向へ舵を切るという判断にようやく踏ん切りがつくことと思います。ただし、まだ早計な議論ではありますが、もしもトランプ氏が政党に属さない独立の候補として出馬した場合に有権者がどう反応するかは、大変興味深い問題だと思います。
米KKR系、日本で不良債権投資 コロナ禍で増加見込む
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
1990年代末から2000年代初の経験を踏まえると、他の専門家の皆様が指摘されるように、確かに、こうしたファンドの役割には意味があります。
ただし、今回のコロナ禍で最も深刻な状況を受けている業界の構造を念頭に置くと、外資の大型ファンドにとってビジネスのスコープに入りうる案件がどの程度出てくるのかという疑問も湧きます。どちらかといえば、中小規模の企業に対して、ハンズオンの対応が重要となるのではないでしょうか。
その意味では、金融庁も地銀の業務範囲拡大を進める上で、取引先の事業再生ないしビジネスモデルの転換やM&Aなどをきちんと支援しうるための機能の付与にも重点をおくべきだと思います。
米、低金利踏まえ金融規制・監督の改革必要=シカゴ連銀総裁
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
エバンス総裁の問題意識に賛同しますが、問題は世界金融危機後の金融規制や監督の強化が主として伝統的な金融仲介に対して行われたのに対し、リスクは再びシャドーバンキングの方に蓄積しつつある点です。
しかも、現在の枠組みでは、シャドーバンキングの拡大を抑制するための有効な手段が金融引き締めしかなく、エバンス総裁が指摘するように、実体経済への副作用が大きすぎるという副作用があります。
少なくとも現時点でFRBが急ぐべきことは、シャドーバンキングの状況をより高頻度かつ高精細度でモニターしうるようにすることだと思います。こうした透明性の向上とそれに基づくFRBの的を射た警告が、少なくとも次善の策になりうると思います。

NORMAL