沼澤 功太郎

「麒麟がくる」最終回。ここまで最終回に引き込まれた大河ドラマは近年なかった。 まず、明智光秀を通した戦国時代というのが秀逸な視点だった。必ず最後に「本能寺」が来るのがわかっており、世紀の大裏切りに至る過程を丹念に描いていく。この手法は「ビギニング」とか「エピソード0」と言った近年の映画手法にも似て非常にスリリング。まさに「JOKER」を見るようだった。 その要素に加え、承認欲求が強く愛に飢えた織田信長、癖のある成り上がり者の斎藤道三、人間味あふれる将軍足利義昭など、光秀という触媒を通じて戦国時代を彩る役者たちが生身の人間として浮かび上がってきた。これもまたスリリングさを倍増させた。 今回描かれた本能寺は、まさに染谷信長の独壇場。押し寄せた軍勢が明智十兵衛の旗印であることを知った時のあの表情。これはなかなかできない。長く記憶に残る名演だと思う。 主要キャストの交代、コロナ禍での撮影中断など、異例中の異例ばかりの本作だったが、それ故なのか最後まで見る者の心を離さない快作だった。 主演の長谷川博己さんはじめ、関わられたスタッフの皆様に御礼申し上げます。

いよいよ自分の腕にApple Watchをお招きしなければならないときが来た気がする。手に入れようと思ったら、今すぐにでもほしくなってしまった。