Picks
170フォロー
1105フォロワー
Appleのティム・クックCEOが「VivaTech 2021」で語った注目する技術と未来の方向性
ITmedia PC USER
高橋 義仁専修大学 商学部教授
ティム・クック氏への長いインタビュー記事ですが、Appleへの企業独占に対する考え方(対応)を読み解くために重要なワードが並んでいると思います。同社は他の巨大ITと同様、米国で厳しく運用される独占を禁ずる法律により、企業分割命令を受けるリスクを負っていることを考えての発言だと思います。 第1に、自らを「他のITとは違う」方向性である、「ものづくりの会社」であるということを強調しています(1ページ)。多方面にものづくりで多角化を進めることが示唆されています。企業分割を避け企業成長をするためには、多角化が最適の方法であると考えていることの裏返しでしょう。 第2に、多角化の方向性として、ヘルスケア重視であること(2,3ページ)。「パンデミックが発生した直後から、私たちは『どうすれば支援できるか』という問いを自分たちに投げかけてきました」との記述がある通り、また、記事にはありませんが、近年Appleが、健康関連のソフトウェアのみでなく、医学的基礎研究の分野への莫大な投資を行っていることがそれを裏付けています。また、医学領域の「消費者」からの支持を高めようとしています。 第3に、変わらないAppleについて(3ページ)。「袖の下に隠しもつ」との表現を使っていますが、常に秘密めいた部分をもち、ファンに何かのサプライズを期待してもらうということを常に大切にしていることがわかります。 第4に、社会性と、社会貢献。随所に見られていますが、社会の一員として役に立つ企業でないと生き残らせてもらえないことを強く意識していることがわかります。単に、借りてきたSDGsなどの用語をキャッチフレーズにしている企業とは次元が違います。リスクマネジメントにも言及しています。 コーポレート・ガバナンスの視点では、(記事にはありませんが)Appleの経営陣の課題は株主に事前公開され評価表も同様です。ここには、お手盛りのような記載は見られず、常に株主からの評価の中、経営がなされている印象を強く与えています。 今回はインタビューから、ティム氏自らが発するビジョンの深さに納得させられましたが、経営力が企業成長にもたらす影響が非常に大きいことを、あらためて理解させられました。
103Picks
アップル、独自の医療提供構想が停滞
The Wall Street Journal
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国での医療にアップルが参入するという構想について書かれています。アップルは従来、スマートウォッチに心電図計等の常時モニターする価値のある健康管理機能を追加しています。一方、記事に書かれている内容はその部分にとどまらず、オンライン診療のプラットフォーマーとして以上の役割である、オンライン診療事業の開設者になろうとしていることが書かれています。 そもそも米国の健康保険の制度は、基本的に公的な保険ではなく、民間保険が役割を担います。民間の医療保険は病院と提携しますが、高額な医療保険には制限がかからない一方で、低価格の医療保険では強い制限をかけています。例えば、保険適用の条件として、かかりつけ医(Primary Care Provider (PCP))で初診を受けることなどです。 MD (Medicine Doctor) のほかにも、特定の看護師である NP (Nurse Practitioner) が医院を開業しており、幅広い患者を専門医と比べて低料金で受け入れる一方、専門性が低く、当然にその病院では完結しないことがあります。その後の専門医受診でないと、保険金の支払いがなされないケースがあると聞きます。 アップルのいう医療領域への参入は、このようなセグメントに参入していくことであり、また、専門医の紹介サービスに参入することだと思われます。紹介サービスについてはすでに他社が事業化しており、一定の市場が形成されています。 しかし、オンライン医療機関開設については、アップルの得意領域であるはずの電子デバイスの部分に問題があり、データの信頼性が医療のレベルに達しないことを指摘され、アップル側の要員が退職することにより、計画が頓挫している実情が示唆されています。
17Picks
ワクチン 来月以降 供給量減少へ 自治体から困惑の声
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事に書かれていることが全国レベルで問題になるのであれば、広範囲に医学的な問題が生じる可能性があります。ファイザー製ワクチンの用法・用量としては、「合計2回、通常、3週間の間隔で筋肉内に接種する。1回目の接種から3週間を超えた場合には、できる限り速やかに2回目の接種を実施すること。」との承認時の規定がありますので遵守する必要があります。1回目と3週間の間隔をあけた2回目の供給量が違うと、これが守られず、規定に沿って得られた臨床試験の成績と異なった臨床効果の低下や副反応の誘発が危惧されます(一般論です)。 このことを十分に考慮したうえで、1回目の接種を開始しているはずで、ここにきて初めて「供給不足」の心配が出てくることは考えにくいのですが、(その後状況が変わってしまい)事実なら1回目の接種者を早急に「絞って」対応すべきだと思います。 また、同じ会場で2種のワクチンを混在させて接種することはオペレーションが複雑になり、ヒューマンエラーを誘発させる環境を作りますので、望ましくないと思います。混在して接種することは、規定の間隔を遵守せずに投与するよりも大きな不確実性を生むと考えざるを得ません。
15Picks
創薬AI開発へ、製薬17社が「社外秘」データ提供…オールジャパンで候補絞り込み
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
製薬企業が創薬を行う際、特に低分子化合物に対しては、理論的に医薬品としての有効性が認められそうな科学式や立体分子構造をもつ「候補」を大量にストックし、そこから絞り込んだり改変したりして、より適切な「候補」を絞り込んでいきます。この手法はすでに数十年の歴史を持ちます。候補は、製薬企業の金庫のようなところに保存されますが、研究の重点領域から外れるなどして「ほぼ死蔵」されているものも多くあります。 一方で当面使わなくなった「化合物」を、例えば人的つながりなどがあるベンチャー企業に導出したり、研究者がスピンアウトして医薬品として開発するビジネスモデルもありますが、日本では、このレベルでのオープン・イノベーションは盛んではありません。理由は、科学者に特化した業務をしている研究員ではそこからお金を稼ぐ仕組みをあまり知らないからであり、終身雇用の中で興味も生まれにくいこと。また、企業もそこから知財収入を得る仕組みを知らず、むしろ手の内が流出するとして、ネガティブにとらえていたからだと思います。 武田薬品工業は、日本国内での低分子化合物の創薬からはほぼ撤退し、生物学的製剤を主要対象とし、研究拠点を海外に移しました。現在国内では、リサーチパーク事業を通じて、他社にインフラを提供する側としての事業が主力になっています。武田薬品工業が数十年間にわたりストックしていたライブラリーは膨大にあり、一方で、これを使って自社が創薬につなげる可能性はほとんどないため、他社に利用価値を見つけてもらうことに価値を見出しているのだと思います。 今回の報道は、上記のような背景のなか、政府が呼びかけ他社も参加する計画があることだと思われます。創薬の場合は、ライブラリーの中から優れたものが出てくることがあるので、興味深い取り組みだと思います。医薬品候補のスクリーニングには、従来から情報技術を多用していましたので、「AI」という言葉についてはその延長線上だと思います。
133Picks
みずほ銀行 システム障害で処分発表 藤原頭取は当面続投へ
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事中の第三者委員会の報告によれば一連のシステム障害の原因として、「危機に対応する組織力と顧客目線が弱い」とのことです。前者は主要幹部や社員がITに対応できない(つぎはぎで依頼したシステムベンダー任せ)、後者はITを使っての金融取引をあまり知らない、ということだと想像できます。 日本の大企業がITを重要視しだしたのは最近のことで、比較的最近まで企画部門ごとアウトソーシングなどということをやっていて、「何だかな」と思っていました。海外金融では早い段階からFin Techが台頭し、対応への必要性から、日本より早期の段階で金融業界のゲームチェンジが始まっていました。 日本の金融業界は海外勢に対抗するために、官の指導で「大規模化」を目指してきました。しかし、これまでたすき掛けの人事を行ってきた経緯から見ても、合併の本質的目的を達成することよりも「世話になった人に配慮し、結果自分を引き上げてもらう」ことを優先していたとみられますので、こうした理由が(システム開発業者の選定を含めて)、おそらくリスクの増大を招いとのだと思います。 (しばらく続投と発表されましたが)企業トップがかわっても、結局のところは、問題の本質が「エライ人達への配慮」ならば、解決は難しいと思っていました。システムに問題が起こる度に引責辞任をしていたのでは、人事の綱引きを拡大させるだけではないかと思います。こういうときこそ、社内で高い職能資格をもつジェネラリストを重視する人事ローテーションよりも、また社内への配慮などより優先して、「真にシステムを構築できる有能な人材」を登用し権限を与えるべきでないかと思います。 しかし、こんな簡単なことが、古い企業ではなかなかできません。年功人事や派閥人事をしていると、入社20~25年目くらいまでは、トップから見て誰に実力があるのかわかりにくく、結局は直属の上司(人事権限者)の評価が継続して良く、1歩づつステップアップした人材が主要職に就き、それを次世代に引き継ぐので、なかなか企業文化は変えられません。日本の人事制度は、変革期にはマイナスに出ることが多いと感じます。もうほとんど後がないでしょう。
247Picks
京都新聞が「HD不適切報酬か」1面で報じる
毎日新聞
米ノババックスのワクチン、治験で90%超の有効性 変異株にも効果
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米ノババックス社が開発中のワクチン(NVX-CoV2373)について、米とメキシコで2020年12月から18歳以上の約3万人を対象に臨床第3相試験をしていました。これまでのワクチンの臨床試験のデザインと異なり、対象者の3分の2に開発中のワクチンを接種し、残りの3分の1には偽薬を投与して効果を比較していました(人道上の理由から、ワクチンに当たらない方を減らしたのだと思います)。 臨床試験が終了しないと結果の開封が出来ませんので、臨床試験の成績が同社から発表されたことは、臨床試験が終了したことを意味します。これまでの米国でのケースから類推すると、現時点までの臨床成績の範囲(主に観察期間)では、ファイザー製、モデルナ製、J&J製と同様に「緊急使用許可」を目指すものと思われますが、既存ワクチンで間に合うようになってくると「緊急使用許可」のハードルが当然に上がるため、ノババックスとしては、「変異株」での解析を行い、許可を得る為の「新規性」ないし「他ワクチンとの差別化」を行っています。他社のワクチンと臨床試験の条件が違うため直接比較はできませんが、報道されている範囲では、極めて良好な成績を示していると思われます。 ノババックス製ワクチンは、「組換えタンパク」型のワクチンで、このタイプのワクチンは、現在のところ米国では承認されていません。(おそらく世界でも例がありません。)他社の組換えタンパク型のワクチンとしては、仏サノフィー英GSK製が臨床第3相、中国クローバーバイオー英GSK製が臨床第2/3相、塩野義製薬製が臨床第1/2相での開発途中と報道されています。 同型ワクチンは、目的の遺伝子を組み込んだウイルスを直接接種することにより、ウイルス感染と類似した作用機序により高い免疫反応を惹起することが期待されています(平成29年度厚生労働省報告書)。 ノババックス製ワクチンは、日本では武田薬品工業が国内臨床試験を受託実施しています。武田薬品工業は米モデルナ製ワクチンの国内臨床試験も担当していましたが、ワクチン群150例とプラセボ群50例の比較で、ワクチン群の中和抗体の増加の確認のみで薬事承認されました(副反応の確認はワクチンを少なくとも1回接種した200例のみで評価)。米国で承認されれば、日本では追認的に承認されることにほぼ間違いないでしょう。
59Picks
東芝議長「果たすべき責任ある」と残留を説明、株主総会の焦点に
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
第三者委員会報告書では、「永山取締役会議長、太田監査委員会委員長、小林監査委員会委員、山内監査委員会委員の4人が東芝と同社株主の利益に反する行為を行っていると判断した」と報告されていることを受け、太田委員長と山内委員が新たに退任予定とのことです。 両氏の役割である、監査委員会の仕事は、会社法で職務が規定されています。 〇監査等委員会(監査等委員)は、次に掲げる職務を行う(399条の2第3項)。 ・取締役・会計参与及び支配人その他の使用人の職務執行の監査及び監査報告の作成業務及び財産の状況の調査(399条の3)。 ・取締役不正の取締役会への報告(399条の4)。 ・株主総会提出議案の瑕疵の株主総会への報告(399条の5)。 今回新たに退任が予定されている2名の監査委員会委員が海外投資家に不当な圧力をかけたとされており、少なくとも現職の立場からするとこれまで株主の権利を侵すことを黙認していたことは問題ですが、引き続き両氏は現職で監査の職務を担っていることから、株主総会で監査報告(および自身の関与についての詳細報告)をする重要な責務が残っています。(監査委員会委員自身が工作していたわけですから目もあてられません) また、第三者委員会報告書で、同じく問題があると指摘されているにも関わらず留任する永山取締役会議長と小林監査委員会委員との違いが明確ではなく、これについては、さらに説明が求められることになっていくでしょう。
215Picks
LINEはなぜ「官庁に虚偽説明」したのか。“第1次報告”でもLINE Payの調査は「未定」
Business Insider Japan
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事には、かねてLINEに関して報道されていた問題について改めて書かれています。内容は主に3点で、 (1) 委託業者のセキュリティーに不備があり、利用者情報が閲覧できる状態にあった。 (2) 外国の業者に業務委託していることについて、官庁に対して、当初「国内に閉じている」との虚偽の説明があった。個人に対して、プライバシーポリシーなどで明確に個人データの越境移転について説明していなかった。 (3) 外国の業者に業務委託していた。 この内、(1)については、受託業者の不備は委託した側(LINE)の責任ですので業務改善報告を求められても当然と考えられる問題。ここに対して行政処分を受けています。再発防止が求められます。 (2)については、官庁やユーザーとLINEの信頼関係の問題ではあるもののそれ以上の問題点が見いだせません。その場を取り繕う積極的な営業よりも正しい情報を出すことが長期的な事業の成長にとっては重要だと思います。特に一部のベンチャー企業がもつ「動いて考えろ」、「企業成長第一」のような文化だと、この落とし穴にはまりやすくなります。LINEがそうなら他企業も「データの越境移転」の説明をする必要があるのではないでしょうか。(現状、ほとんど実施されていません) (3)については、無問題。世界のクラウド大手も中国などにデータセンターを有しています。欧米系や日本のコンサルティング企業も中国などにデータセンターを置いているところが多くありますが、それら企業は日本政府の業務も受託しています。「間接的」を含めると、中国などのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を利用している企業は本当に多くあります。20年くらい前から、中国のBPO企業に業務を委託してコストダウンを図ってきた経団連の役員を輩出する有力企業もあります。 機密性の高いデータについては法律を作ったうえで規制をかける必要がありますが、LINEのデータについてはその対象との情報(報道)は今のところありません。 日本国内の情報産業を育て、海外以上に競争力のある状態にしてからにしないと、個人情報を扱うSNSや電子商取引程度で「禁止」にすると生活が麻痺することになると思います。すでに使っているサービスで、外国にサーバが置かれている場合が少なくないからです。許容できないなら使用をやめるしかないでしょう。
383Picks
東芝、取締役選任案を変更 社外取締役の2人退任へ
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
東芝は委員会設置会社で、監査役の代わりに取締役から選任された監査委員会委員が監査を行います。監査委員会委員は、過半数の社外取締役から構成される必要があります。 会社法には、以下の職務が規定されています。 監査等委員会(監査等委員)は、次に掲げる職務を行う(399条の2第3項)。 ・取締役・会計参与及び支配人その他の使用人の職務執行の監査及び監査報告の作成。 ・業務及び財産の状況の調査(399条の3)。 ・取締役不正の取締役会への報告(399条の4)。 ・株主総会提出議案の瑕疵の株主総会への報告(399条の5)。 第三者委員会報告書では、「永山取締役会議長、太田監査委員会委員長、小林監査委員会委員、山内監査委員会委員の4人が東芝と同社株主の利益に反する行為を行っていると判断した」と報告されていることを受け、太田委員長と山内委員が新たに退任予定とのことですが、両氏は現職で監査の職務を担っています。両氏は、株主総会で監査報告(および自身の関与についての詳細報告)をする重要な責務があります。 監査の重要性から、多くの企業では定款の定めを設けることで、「任期を短縮することや株主総会の決議、監査役間の合意によっても任期を短縮することはできない」としていますが、東芝の定款にはこのような定めはありません。やや不安が残ります。 https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/stock/pdf/articles20200731.pdf
221Picks
ワクチン職域接種スタート=全日空が先陣、国際線乗務員に
時事通信社
高橋 義仁専修大学 商学部教授
人と接触が多い業務の場合は、何よりも従事する方本人の健康を守ることが重要で、ウイルスを媒介するリスクも軽減させることから、職場での接種が強く推奨されることになりそうです。 航空会社が接種の場を設定しているとのことですが、「同一の接種会場で2回接種を完了」でき、「最低2000回(1000人×2回接種)程度の接種を行う規模で実施する」ことなど、条件が整えば他のグループでも実施可能です。政府では職域接種の実施者募集について、2021年6月8日から申請受付を開始しています。 職域接種に関するお知らせ(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_shokuiki.html?fbclid=IwAR0fA5B3uAJSoxPB_1j4mD3OCeYhZIXyj9BvvkY47LMH_cUjT1IUYVH5XU8 一方で、政府は「職域接種の強制を否定」しています。政府の見解としては、「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種については、通常、労働者の自由意思に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められず、これを受けることによって健康被害が生じたとしても、労災保険給付の対象とはならない(医療従事者、高齢者施設従事者は例外とする)」としています。 この見解が優先されると、「接種は強く推奨」止まりになり、職域でのワクチン接種に応じなければならない根拠が失われ、職務上不利益が生じる人事取り扱いをしてはいけないことにもなりそうです。これに対しては、「労働災害」のガイドラインを再考する必要があると思います。 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合の労災補償における取扱いについて (2021年4月30日 厚生労働省熊本労働局) https://jsite.mhlw.go.jp/kumamoto-roudoukyoku/content/contents/000861057.pdf ただし、「予防接種健康被害救済制度」によっては、救済されます。 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/kenkouhigai_kyusai/
70Picks
東芝社外取締役4人が声明、会社提案の取締役候補者に異議
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
本件の主要部分については先にコメントしていますが、日本経済新聞の続報を受け追記します。 関連記事 東芝の社外取締役4人、会社側の役員選任案に異議(ロイター通信 2021年6月12日)https://newspicks.com/news/5928218?ref=user_1310166 今回、声明を出した4人の社外取締役は、投資ファンドやコンサルティング会社などの出身者で、東芝に出資する「ファンド」との協議を経た人選で選ばれた社外取締役です。2021年定時株主総会で諮る計13人の取締役候補者案を公表しており、声明を出した社外取締役4人も候補者に含まれています。 東芝も含めグローバル企業の多くが採用する「委員会設置会社」では、次期取締役の人選は、取締役メンバーから構成される「指名委員会」が決定します。「指名委員会」を構成する委員の過半数は、会社法で「社外取締役」である必要があることが定められており、「指名委員会」が決定した「人選」を取締役会が拒否することもできません。この部分に透明性があることから、グローバル企業では、「委員会設置会社」の採用が、皮肉にも経済産業省によって推奨されています。 反対表明をした「社外取締役」のうち、ワイズマン広田氏は指名委委員を務めており「候補者案を出した本人」です。おそらく、東芝の一部の現職経営陣による株主操作に関する報告を第三者委員会から受けたことを受け、指名委員会か取締役会に決定した案を取り下げることを申し出たものの、それが叶わなかったため「自身を含む取締役有志により、非公式な反対表明をした」ということになると思います。 4名の社外取締役の動きは取締役の正当な責務と言えますが、指名案を作成した「指名委員会委員」が会社提案への反対に転じることは極めて異例です。しかし、必要であるのにアクションを取らないと、今後会社や株主から「任務懈怠(けたい)責任」を問われ、損害賠償訴訟の対象になる(会社法423条1項)リスクが取締役自身に生じます。
4Picks
東芝の社外取締役4人、会社側の役員選任案に異議
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
東芝の一部の社外取締役が、会社(業務執行側)の取締役候補者案に異議を唱えることが「反乱」を起こしたかのように書かれていますが、株式会社のシステムでは、企業統治のために「仕事をしている」取締役4名の方々ということになりますので、企業統治上の問題を有する東芝の現状を見る限り、違和感はありません。 企業の全取締役には「善管注意義務」があります。職務の遂行において当該義務を怠った場合、会社に対し損害賠償責任を負います。つまり、企業が不利になる情報を立場上知った場合行動を起こさないといけませんし、起こさずに企業価値が毀損した場合、取締役の個人財産をもって賠償しなくてはなりません。近年では、オリンパスの粉飾決算事件に絡み、同社と個人株主が旧経営陣らに損害賠償を求めた訴訟で、元社長ら3人に総額約594億円の支払いを命じた例があります。(2020年10月 東京高裁確定判決) 日本でももちろんですが、基金への出資者の意を受けて、業務上の投資を行う「ファンド(基金)」には、出資者の厳しい目が向けられることは当然です。「私たちの年金基金をおかしな投資に使い、目減りしているのに関心を持たない」ファンドに対し、私たちはどう思うのでしょうか? 特に米国の基金は、活発なコーポレート・ガバナンス活動をすることで知られていますが、米国での機関投資家のコーポレート・ガバナンスへの取り組みは、米国の法律で定められていることが理由の1つです。今回の米国ファンドの東芝に対する要求は、それを満たすためとも解釈できます。 米国では、1974年に従業員退職所得補償法が制定され、年金基金の管理・運用者の受託責任が明記されました。1988年、米国労働省(企業年金基金の監督官庁)は、米エイボン社に対して送ったエイボン・レターを公表、株主総会での議決権行使を解禁し「議決権行使は受託者責任の一部」としました。結果、1990年代は議決権を行使する「物言う機関投資家」が増加し、社外取締役の派遣や、経営不振企業のCEO解任動議の提案などを行うようになりました。 出資を受けた場合、上記のことは覚悟する必要があり、上場はその可能性を受け入れることになります。 続報を受けての追記(日本経済新聞 6月12日) https://newspicks.com/news/5928984?ref=user_1310166
141Picks
NORMAL