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塩野義のワクチン、年内に最終治験入り 6千万人分供給に前進
産経ニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
何点かについて疑問が残るニュースです。第1に補助物質(アジュバント)の変更については、従来薬の継続ではなく、臨床試験の最初の段階に戻らないといけません。この記事に、「アジュバント変更に伴う第一、二段階の治験を今月から行い、国内で3千例規模のデータを収集」と書かれていますが、これが意味するところは「新規に開発」です(もちろん、蓄積技術は利用されます。)現在の医薬品の開発継続が印象付けられていますが、そうではありません。 第2に、臨床第1相、第2相自体がこれからで、これの成功を前提として臨床第3相に入れます。現時点ではかなり不確実性が高い状態にあるにも関わらず、「年内に行われる」ということが明示されていることに強い違和感があります。これが株価対策として発表されるなら、問題が発生しかねないレベルの誇大な見通しになると思います。 第3に、そのような状態であれば生産計画にも根拠がないはずですが、具体的な数字「6000万人分」が出ていることにも疑問があります。これについても、株価を維持する目的であるとするならば、証券取引法の観点から問題が発生しかねないレベルの「誇大さ」でしょう。 第4に、「中和抗体の量だけで薬事規制当局国際連携組織(ICMRA)が承認に対して肯定的な意見を出す」ことは難しいのではないでしょうか。少なくとも、既存ワクチンと比較して無作為化二重盲検試験での臨床使用で非劣勢を出せないと、臨床データが好意的なすべてのワクチン候補の「何でもワクチン化」を許すことになります。当然に、高いレベルでの安全性の担保もできません(既存の新型コロナウイルス・ワクチンはすべてこのレベルをクリアしています)。 加えて中和抗体には、ウイルスや毒素に結合することで感染力や毒性を失わせる作用がありますが、ヒトの免疫はこれだけでは形成されておらず、例えば「細胞性免疫」は、免疫細胞が抗原を認識して、病原体に感染した異常細胞を攻撃・排除するものですが、これらがまったく考慮されません。つまり、臨床での有効性の確認こそが、信頼できる指標になるはずです。「接種が進んでいないアジアやアフリカで偽薬を用いる数万例規模の方法」なら現実的です。 以上の理由から、疑問点の多い記事です。
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慢性腎臓病の治療薬 国内で初承認へ “患者は約1300万人”
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
英アストラゼネカ社が開発した「フォシーガ」は、ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)2の選択的阻害剤に分類されています。SGLT2は近位尿細管でグルコース(糖類)を再吸収する役割を担っていますが、これを阻害することにより、腎尿細管でのグルコースの再吸収を抑制し、尿中グルコース排泄を促進することにより、空腹時及び食後の血糖コントロールを改善する効果を有し、糖尿病への適応が取れています。 慢性心不全に対しても効能が取得できています。本来の作用であるSGLT2阻害による浸透圧性利尿作用及び血行力学的作用に加え、心筋線維化への二次的作用が関連している可能性があるなどとされています。 SGLT2阻害薬を使用することで、血糖値を改善することはわかっていましたが、腎機能低下速度を抑える効果や尿蛋白が減る効果も認められていました。これに加え、「糖尿病のある・なしに関わらず、SGLT2阻害薬には腎機能低下速度を抑える効果がある」ことについて、数年以上前から、権威ある医学雑誌に研究成果が相次いで報告されており、アストラゼネカ社では「フォシーガ」を用いて臨床試験を行っていました。その結果を受け、2021年6月28日には、「欧州において、2型糖尿病合併の有無に関わらず、成人の慢性腎臓病(CKD)の治療薬として承認勧告を受けた」ことが、プレスリリースで発表されていました。今回の報道は、そのような背景の中で、国内で効能追加承認の方向性が示されたものです。 Forxiga recommended for approval in the EU by CHMP for the treatment of patients with chronic kidney disease(2021年6月28日) https://www.astrazeneca.com/content/astraz/media-centre/press-releases/2021/forxiga-recommended-in-eu-for-patients-with-ckd.html 糖尿病と慢性腎臓病は併発することが多いところ(記事に1300万人と書かれている人数の多くが含まれます)、日本では「糖尿病のない慢性腎臓病の患者には腎臓病薬として使うことができない医薬品」でしたので、この対象が保険適応となることは朗報です。
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ファイザーとモデルナ EU向けワクチン価格上げ FT報道
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
世界の医薬品の価格は、基本的に市場原理が働いています。EUに関しては、アストラゼネカ社のワクチンも供給されているものの、接種に年齢制限が付けられていることなどからファイザー社とモデルナ社の需要が多いと想定されます。そのような環境下、次回契約分については製品に競争力を有する製薬企業が価格引き上げを提案、その形で合意に至ったものであり、経済力のある国に対する普通の商交渉の結果でしょう。 欧米の場合、競争力が維持されている医薬品は、おおむね毎年値上げされています。値上げ幅は、おおむね物価上昇分を上回っており、しばしば問題視されています。一方、特許期間が切れた瞬間にジェネリックに置き換わり、オリジナル品の商品価値がなくなることも知られています。価格は、他社品との競争力や国民の経済力、保険会社との競争関係を加味して決定されています。また、人道上の理由から、発展途上国向けには、(国際社会貢献として)極めて安価な価格で提供されることがあります。 日本の健康保険では、医薬品の承認後、保険薬価収載というプロセスを経ないと保険で使うことができません。また、いったん収載した後は、毎年購入者側(政府)の考えで価格変更ができるという、世界的には異例のシステムです。(おおむね毎年値下げされます。) 日本のワクチンについては、いまのところ政府がすべてを買い上げており、薬価収載もされていません。日本にもワクチンの価格引き上げの提案があると思われますが、商談成立にならないと製薬企業は日本にワクチンの供給を行いませんので、今回の場合は、製薬企業に有利な競争環境だと思われます。
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米ウォルマート、医療分野での存在感を急速に拡大
Forbes JAPAN
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国には、国民皆保険はありません。保険に入らなかった場合は、飛び込みで自由診療=高額になりますので、これを避けたい方は、何らかの医療保険に入ることが多いと思います。医療保険商品は競争がありますし魅力的でないと顧客を奪われますが、一方で、多くの顧客を自らの契約先病院のみで診察を受けさせる力を有します。このような形が基本ですので市場原理が働き、日本のように一律な診療が提供されるわけではありません。 この元締めの役割(診療先を指定する役割)を取れれば、大きな利益を得ることができるため、特にオンライン診療をチャンスと見立てて、アマゾンやアップルが医療の領域に急速に参入しています。ウォルマートは、全米最大のスーパーマーケット・チェーンですので、極めて多数の店舗を有しており、ここにリアルの診療施設を併設することにより、存在感を高める戦略でしょう。 米国での医療ビジネスの成功の鍵は、オンラインであるか否かにかかわらず、元請けに近い立場でビジネスを行うことだと言えるでしょう。ウォルマートの規模であれば、保険会社に対して価格交渉力ももちやすいと言えます。また、無保険者も対象に、安価に医療を提供するといった「ポジショニング」も記事に書かれていますが、ウォルマートの既存顧客層(無保険者が多い所得層を含んだ、幅広い所得層)との相性が良い考え方だと思います。リアル店舗をベースとして、オンライン診療への展開も視野に入っていることも書かれています。 米国の医療は、マネージドケア会社(保険会社など)がPBM会社(医療給付会社=使う薬の種類を決める会社)と契約、さらに医療機関と契約を結んでいるケースが多く、医療機関としては、多くの患者を獲得するための手段としてこれら企業との協業が不可欠になっています。利益の多くは、マネージドケア会社とPBM会社に渡ることが問題になっていますが、米国にこの仕組みがないと、一方で医薬品の価格を自由に付けられる製薬企業がやりたい放題になってしまうため、バランスが取れているとも言えます。
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エステの超音波照射器「HIFU」 使用実態を調査へ
朝日新聞デジタル
高橋 義仁専修大学 商学部教授
高密度焦点式超音波(HIFU=High Intensity Focused Ultrasound)を美容目的に使っているとのことですが、医療に使われるものは医療機器認証がとられていることがほとんどで、そうであれば医療従事者が使う場合を想定した上でのある程度の安全性は検証されている一方、市販の誰でも買える商品は、医療機器として人体に対する安全性と肌への有効性が検証できていない商品です。 このような非医療機器を「医療効果をうたって販売」すれば薬機法違反として販売業者に重い罪が課されますが、業者側は法令違反の範囲を熟知しており、法的責任を回避できる形で販売しています。売るのは、消費者がいるからにほかなりません。 これらの商品はおよそイメージ(印象)で売られており、データのようなものがあっても、「個人の感想です」と書くか、うまくいった例だけを載せるなどをしていることが多く、実は他の要因(生活習慣の改善など)が功を奏しているかもしれません。つまり、科学的には説明能力のないものを、「例」として載せています。医療レベルが求められる領域(医療用医薬品など)では、詐欺的商法にあたるため、許されることではありません。 効果が怪しいばかりでなく、基本的に「研究用の道具」の扱いで販売されていることから取り締まれず、通常の使用法で使って起きた事故は使用した本人の責任になり、製造メーカーは健康被害についておそらく取り合ってくれません。例えるなら、「刃物」で手を切ったのは、「刃物」自体が悪いのではないという理屈です。 医療機関ではないエステが「(医療行為でない)施術」を行うことは法規上グレーゾーンで、洗顔の範囲なら可能でしょう。医療機器を使えば医療行為とみなされ、医師法違反でしょう。したがって、エステは、医療機器ではない未検証の「研究用の道具」を使用していると思います。 もとより業者側の責任の範囲が狭いことに納得がいかない場合は、利用・使用してはならないサービス・商品でした。報道からは、被害が相次ぎ、販売業者の責任を問うこともできないため、「刃物」を売ることに制限を加えようとする流れが生まれていると解釈できます。
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東芝、スカウトで社長選定 専門2社に依頼
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
東芝の場合、まずは、(1)経営者企業の弊害により非常に内向きで不透明な意思決定および粉飾決算等企業ぐるみの会計不正で企業存続の危機に直面したため、その改善として、(2)会社法既定の委員会設置会社の採用で過半数社外取締役からなる「委員会」による意思決定方式の採用と、欧米に倣った「しがらみを排除した」透明性の高い意思決定を印象付ける「形態」をとっている点において、国内トップクラスの企業です。 しかしながら、社外役員の人選はおおよそ「経済団体」および「国家」の影響を強く受けたもので、見るべき方向は、本来「株主」であるべきところ、そのようにはなっていないように見えました。 「日本の企業ならばまず国家を思え」は、非上場であれば通る可能性のある話ですが、東芝はれっきとした上場企業です。現時点で過半数を大きく超える株式を所有する「外国人株主」にとって、日本国国家の概念は重くはありません。東芝が、日本の電力を支える企業として、東京電力とともに歩み、成長し、日本を支えてきたことには感謝あるのみですが、企業としてのあるべき姿は、企業の社会的責任(CSR)を満たしたなかでの、現在の株主の利益の最大化のはずです。 これら普通のことを、普通に理解できる方を人選し、しがらみを排除して実践することが、東芝に最低限必要なことと思います。形式を整えることには、これまでも非の打ちどころのない企業でした。しかし、毎回うまくいかないのは、根底にふさわしくない考え方が流れているためだと思われます。その意味で、スカウト人事は、条件にあう人材を見出す手段になり得ると思います。
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モデルナ製ワクチン、供給に遅れ 盆明け以降の職場接種に影響
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米モデルナ社製ワクチンの海外向け商品の生産遅延に関する内容は、以下のReuterによる報道(2021年7月27日付)で詳しく報告されていました。 https://www.reuters.com/world/asia-pacific/supply-issues-delay-moderna-covid-19-vaccine-shipments-skorean-official-2021-07-27/ 記事は、おそらく韓国を対象に書かれたものですが、2021年7月30日の河野大臣が記者会見した内容も同一の原因と思われます。 要点としては、 ・研究所の品質確認プロセスで問題が生じた ・スイスのロンザ・グループとスペインのラボラトリオス・ファルマセウティコス・ロビの分が影響を受けていると推測される ・問題自体はすでに解決されたが、生産の遅れは今後2〜4週間引き続き生じる見込み ・韓国政府が接種キャンペーンを行っている50代、電子セクターの労働者に拡大する分に影響がある(記事の発信は韓国です) ・混乱により、(韓国では)一部の予防接種をファイザー社製に切り替えた ・韓国に影響を与えるだけでなく、製造現場からの供給を受ける国々に共通の問題である などとなっています。 記事からは、意図的に米国外への輸出分を調整するのではなく、海外向けの製造になっている工場での生産遅延のため、海外分に遅れが発生することが読み取れていました。これにより、韓国のみならず、日本向けの遅延も予想されていました。 モデルナの新型コロナワクチン、米国外での提携先で生産に遅れ(Bloomberg 2021/7/28) https://newspicks.com/news/6050624?ref=user_1310166
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メダルとコロナの「Wラッシュ」で、日本に起こる3つのこと
Diamond Online
高橋 義仁専修大学 商学部教授
長文ですが、素晴らしい洞察に富んでおり、興味深く一気に読みました。共存しかないのだろうなと思う一方で、コロナを単なる風邪としてみて、一気に普通に生活させるような社会には、少なくとももう少し長期間の観察を重ねた後でないと「そうならない」と思っています。 日本の死者が少ないのは、中等度以上患者が入院する施設の医療の充実によるものでしょう。医療が機能しない状態になったときには、日本も他国に近い死亡率になると思われますが、その不幸な瞬間は一気に来ることと、来た場合はもはやコントロールできないことも想定されます。 イベルメクチンの「安価な医薬品を流通させると困る人たちがいるため、それを流通させないような力が働いている」との論調については、医薬品業界を知るものからみれば、そのような力はどこにもなく、逆に流通させる力が働くのであればわかります。 現状、新型コロナ関係の医薬品の購入は各国政府が行っており、高額な医薬品を購入したい動機が見当たりません。ジェネリック企業にも、イベルメクチンを製造し、売るという経済的な動機は働いています。ジェネリック企業の場合は、自社で臨床試験が実施できない理由があるにせよ、極めて有望な根拠があるなら「経済的動機のある」政府が動くはずです。 イベルメクチンは「抗寄生虫薬」で、線虫の神経・筋細胞に結合し細胞膜の透過性を上昇させ、駆虫活性を発現するという作用機序をもちます。ウイルスに対しては、核内への運搬蛋白とウイルス蛋白との結合を阻害することにより、ウイルスの自然免疫抑制作用を解除し、ウイルスの増殖を抑制するとの仮説は立てられているようです(この場合、コロナウイルスに特異ではありません)。 イベルメクチンの効果として、「飲んでおけばすべてのウイルスの力を弱める」があるとするなら、その仮説をもとに背景をそろえた2つの群で、二重盲検試験にて効果を示せないと医薬品としての第一歩を踏み出せませんが、これがありません。 ない状態で、「WHO、FDA、米感染症学会がコロナ適用しないよう勧告した」ことには違和感はありません。まずは、臨床試験で成果が期待されます。 人流が抑えられていると言いますが、都心ではそうですがおそらくリゾートではかなり増加しています。オリンピックを開催することによる、間接的な警戒感の欠如によるものでありよい状態とは思えません。
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バイオジェンとエーザイ、アルツハイマー新薬の試験詳細を公表
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
詳細が公表された試験は、2021年6月8日に米国で承認を得た「アデュカヌマブ」に関するものです。「アデュカヌマブ」は、アルツハイマー病の初期段階の患者に対し、その原因物質の1つであると推測されているアミロイドβを取り除くことで認知症の進行抑制を狙う薬で、この作用機序を有する医薬品としては世界初です。 否定的な意見も出されている中で、認可当局の米国FDAは「有効性の面で不確実性は残っているが、患者への利益がリスクを上回る」と判断しましたが、審査に係わった複数の委員から異議が唱えられ、抗議の辞任を招くなど、異例の混乱が生じています。また、認可に際し、バイオジェン/エーザイには承認後に追加の臨床試験を行うよう求められており、ここで良好な成績が見られない場合は、承認を取り消すとの条件が付けられています。 アルツハイマー型認知症は、初期段階から約10~20年かけて進行することがわかっており、この間の臨床的な有効性を見るためには、この試験の実施期間に少なくとも5年間必要という判断でしょう。製薬企業としては、さらに長期間の臨床試験を設定したかったところ、当局との折衝から最長5年後をエンドポイントとすることで折り合ったというところではないでしょうか。 当医薬品の治療費は、年間5万6000ドル(約610万円)と企業から発表されており、当該領域の医薬品の性質上、生涯投与し続ける必要があります。アルツハイマー型認知症の患者は非常に多いことから、患者数から判断して、当医薬品の売上額は全世界で、年間5000億円~1兆円以上と思われます。(米国での患者数は510万人を上回ると言われています)
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ワクチン売上高3.7兆円 ファイザー、年間予想修正
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
これまでの報道を総合すると、ファイザー社製ワクチンの1回あたりの単価は約3000円くらいではないかと考えていましたが、今回の企業発表の数字から割り戻すと単価は約1762円であり、予想していたよりもやや安いという印象です。今年5月の企業発表では、2.8兆円の売り上げ見通しのところ、短期間での大幅な上方修正になります。 ファイザー社のワクチン影響なしの2019年12月期では、ファイザー社の売り上げは約5.5兆円でしたので、大幅な売り上げの積み増しですが、世界の何百社もの企業がワクチン開発のために、各社とも数十億円~1000億円を超える開発費を投じたなか、ファイザー社をはじめ、ごく一部の企業だけが(少なくとも短期的な)成果を得られているのが実情であり、世界を救うほどの貢献をしたファイザー社のワクチン売り上げが「当年度3.7兆円」であることに特別な違和感はありません。 もともと、製薬企業のビジネスは投機的な色彩が濃いところ、また日本のような支払い側の圧力の強い国では長期的に厳しい経営環境にあると予想されています。コロナ禍で得られたケース・スタディーからみても、自由市場においては「研究開発の自由度が高く、医薬品の価格がある程度自由に付けられる国への研究開発機能の移転」を考える企業が増えることが予想されます。
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ファイザー有効率8割に低下か 2回目接種の4カ月後以降
毎日新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
同僚研究者によるチェック(査読=ピア・レビュー)を受けていない段階での報告ではありますが、ファイザー社製ワクチン接種者について、米独など6カ国で4万人以上を対象に実施した追跡調査に基づくものですので、現段階の発表でも信頼性の高いものだろうと思います。 これまでも使用実績に基づいた専門家の見解として、2回接種での抗体は少なくとも6カ月間は持続するものの、その後徐々に減少し、1年以上だと厳しいのではないかと言われはじめていました。結果を踏まえて、新型コロナウイルスワクチンの3回目(以降)の接種の必要性を検討されていますが、インフルエンザワクチンの抗体の持続期間が5カ月程度であることにより毎年接種する必要があることは知られていますので、今後、コロナウイルス・ワクチンも同様の接種方法が推奨されていくことになるかもしれません。 有効率が8割に低下することについては、従来株への抗体価の低下によるものか、その間の変異株への抗体価の低下によるものか、複合要因かは記事からは明らかではありません。今後示唆されるものと思います。 同ワクチンは、米国での緊急使用許可は数万人の臨床試験に基づくものですが、長期成績が不足していることにより正式認可を受けられていません。状況が明らかになると正式認可につながりますので、今回のファイザー社からの発表は、そのためのデータ整備のなかで得られたものだと推測します。
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アストラ製、40歳以上で検討 厚労省、「臨時接種」対象
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
アストラゼネカ社製ワクチンについて、認可されながら、接種に使用されていなかったのは、現在使用されている他のワクチンが使えるのであればそちらを優先したほうが良いという判断でした。予備ワクチンとしての備蓄目的通り、市中での緊急接種の必要性が増してくれば、使用を急ぐ判断がなされるのは当然のことだろうと思います。 接種年齢が40歳以上との指定は英国での使用基準に倣っています。英国での根拠は、極めて稀に起こる血栓症の副反応に対するリスクと感染防止のベネフィットを計算に入れたもので、他のワクチンの供給も十分なためです。 2021年5月上旬現在で、英国において、同社製ワクチン接種後に血栓が発生した確率は、40代では約10万人に1人とごくわずかですが、30代では6万人に1人にやや上昇。また、血栓による死亡率は40代では100万人に2人ですが、30代では100万人に4人に増えています。また、若年層では新型コロナウイルスに感染して重症化するリスクが低く、英国の事情として、すでに若年層でもワクチン接種者が増え、感染率自体が低下していることによります。 英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)によると、アストラゼネカ社製のワクチンについて、「(接種の回数が増えて得られたデータを踏まえると)年配の人々では有益性がリスクを大きく上回るが、若い人々の間ではバランスが微妙」であり、「ワクチンの使用を検討する際には、データを考慮する必要がある」としています。 日本でも、このようなデータは、希望接種を検討してもらう際には判断材料として提供されなければならないでしょう。総じると、アストラゼネカ社製を含め、ワクチンの接種は強く推奨されていることであり、感染抑止に有効であることは証明されています。 参考記事 英、40歳未満に別ワクチン アストラゼネカ製の副反応考慮(アジア経済ニュース 2021年5月10日) https://news.yahoo.co.jp/articles/cf6861c147d138ee4e870ba439411bfe25d2709f
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SOMPO傘下、介護職ら1000人の年収100万円引き上げ…深刻化する人手不足に対応
読売新聞
首相、感染者増で「新たな治療薬を徹底使用」…「抗体カクテル療法」活用の考え
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
ワクチンの接種により自分の体がつくる抗体に比べ、他で作られた抗体は、ショック症状等の重篤・重症の副作用が多く見られることと、コストが非常にかかります。「抗体カクテル薬」は、全額公費で行われるため公定価格(保険薬価)がついておらず、発売元の中外製薬から政府に納める価格は明らかにされていませんが、ワクチンの価格の比ではありません。 免疫を補充したいときに使われる既存薬「免疫グロブリン製剤」はヒトの血液から作られますが、今回承認された「抗体カクテル薬」はねらった抗体を産生するよう遺伝子組換えされた「マウス」に産生させて製造しています。 「免疫グロブリン製剤」は、ヒトの血液から(病原微生物/ウイルス)に感染した際に作られる抗体が存在する血漿の分画を取り出したもので、よく知られる抗体補充療法です。ただ、新型コロナウイルス感染症でも世界各国で臨床試験が行われましたが、成績が示せず、新型コロナウイルス感染症には認可はされていません。 今のところは「抗体(製剤)があるからコロナは恐れるに足らず」、「ワクチン接種をせずとも治療薬があるので大丈夫」ではないと思われるため、予防対策は引き続き重要だと思います。不幸にしてかかった際、重症化のリスクが抑え込めず止むを得ず使うのが「抗体カクテル薬」だと思います。当医薬品は、認可プロセスが異例に省略されており日本での臨床的有効性も確認されていません。 また、「抗体カクテル薬」は今のところ日本以外の国では承認されておらず、世界での試用実績も十分とは言えません。(低頻度での副作用の検出がいまだ不十分な状況にあることを意味します。)軽症用といわれながらも、この医薬品は、点滴静注により使用しなければなりません。 現段階では試験成績の不足からも厳重な医療体制のもと、臨床試験を兼ねて使われる位置づけですので、自宅療養では使用できません(内服薬ではありません)。 ワクチン非接種者が重症化して人工呼吸器やECMOを装着する必要を避け、医療資源を圧迫しないようにさせたいための首相の発言だろうと思われますが、以上のことから、ワクチンと比べると、有効性、安全性、コストのバランスは悪いものであろうと思います。現時点では、コロナ感染症に罹患したからといって安易に使われる医薬品ではないと思われます。
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モデルナの新型コロナワクチン、米国外での提携先で生産に遅れ
Bloomberg
高橋 義仁専修大学 商学部教授
モデルナ社製ワクチンの生産遅延に関する内容は、以下のReuterでより詳しく報告されています。 https://www.reuters.com/world/asia-pacific/supply-issues-delay-moderna-covid-19-vaccine-shipments-skorean-official-2021-07-27/ Bioombergに書かれていない内容としては、 ・研究所の品質確認プロセスで問題が生じた ・この問題はすでに解決されたが、生産の遅れは今後2〜4週間引き続き生じる ・韓国政府が接種キャンペーンを行っている50代、電子セクターの労働者に拡大する分に影響がある(記事の発信は韓国です) ・混乱により、(韓国では)一部の予防接種をファイザー社製に切り替えた ・韓国に影響を与えるだけでなく、製造現場からの供給を受ける国々に共通の問題である ・韓国はModernaワクチンの4000万回分を契約しており、そのうち約110万回がすでに到着している などがあります。 また、記事からは、意図的に米国外への輸出分を調整するのではなく、海外向けの製造になっている工場での生産遅延のため、海外分に遅れが発生することが読み取れます。日本への影響は、スイスのロンザ・グループとスペインのラボラトリオス・ファルマセウティコス・ロビの分が供給されているならあり得ると思います。
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感染急拡大で都がコロナ病床確保を要請 通常診療制限も
TBS NEWS
高橋 義仁専修大学 商学部教授
感染者の継続的な増加の要素と、検査再開のタイミングと重なり一気に数字が跳ね上がっているように見えますが、明日以降も減少の要素がほとんどないように思われるため、しばらくの間増加し続けるのではないでしょうか。 多くの小規模な民間医療機関(有床民間病院でさえ)は、実際コロナ診療に対応できるような設備や技量が備わっていませんので、いくら受け入れるように要請をだしても、(病院での蔓延のリスクを下げるために)以前にも増して「受け入れ拒否」を続けるだけだと思います。ただただ、中等症以上の方を入院で受け入れている病院がてんてこ舞いするだけです。 一般の民間病院に要請を入れるためには、医療関係の資格を持つ方にのみ(就業内容の自由を制限する)徴兵制のような制度(=就ける診療科への制限、免許を有する人が他業種に就くことへの制限)を設けないといけないので、日本では無理な話のように思えます。この制限下では、タレント業や医療ベンチャーの起業、無業などはよろしくないことになり、職業・職種の強制(=憲法違反)との折り合いをつけないと実現しません。医師会からの働きかけは、活動の内容からみて医業労働組合的性格が強く、指導力には期待できないように思えます。(医師会は会員の様々な要望を政府に伝えることが仕事です。そうでないと、任意に会員が会費を支払う動機は生まれないでしょう) 感染の爆発的拡大は、これまで入院できていた方が入院できないことを意味しますので、残念ながら、自宅で悪化する方や死亡者が増加することになると思います。若い方は、もともと入院の適応が非常に厳しいので、これからは高熱程度では入院させてもらえないようになるかもしれません。「若いから大丈夫」ではなく、「若いから危険」と考える必要があると思います。 大学で仕事をしている立場からすると、今年はほとんどの大学で定期試験は予定通り実施されています。コロナ感染が疑われると受験拒否がなされ、追試があってもこれも受験できないと単位認定されないことを意味します(気の毒ですが、本人に帰する責任として処理されます)。 これまで、気を付けていればほぼかからないような環境が作れましたが、状況が変わってきました。見ていてもわかるように、国や都道府県では根本的な対策はできませんので、「かからないように個人が気を付ける」しか対処する方法はないと思います。
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ワクチン廃棄の企業名公表 職場接種で厚労省
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
職域接種は、接種予定者名簿、接種する医療従事者、会場の都合を企業(実施者)がつけることができると、ワクチンの希望数が入手できる仕組みでした。早く接種してもらう機会を従業員に与えるために早急に手配し、余れば返せばよいとも考え、多めに手配する傾向があったようです。 自社分確保優先の行動が、「隠れ余剰」を大幅に出していると思われます。制度設計で防ぐ手段があったはずですが、なぜ二重、三重予約が可能なシステムにしてしまったのか、いまさらながら悔やまれます。 ワクチンは、いったん企業に持ち出された分は、温度などの品質管理の保証ができないことから、信頼できる記録が備わっているもの以外は、他会場では使われず、残念ながら廃棄されると思います。 厚生労働省が、「ワクチンを廃棄した場合の企業名を公表する」と事後に決めたことに対してはまったく寝耳に水で不満をもつでしょう。当初は、ほぼノーリスクで実施できる「福利厚生」と考え、企業イメージの向上にもつながることから飛びついていたわけで、企業にはよいことづくめの福利厚生施策でした。 これがいまになって「廃棄した企業」などと実名を出されることにより、逆効果になるわけですから「当初からそういうことがわかっていれば、参加しなかった」と思う企業は少なからずあるかもしれません。 ワクチン自体の費用だけで考えると、1回あたりの価格は約3000円ほどといわれており、廃棄分については企業に費用負担させてもよいのではないでしょうか。大半は、「廃棄企業」のレッテルを張られるより、払った上で、公表されないほうを選ぶでしょう。 もちろん、有効活用を考える上では、金銭保証をしてもらったところで、意味はありません。当初より考えることができたこのようなリスクの回避方法は十分にあったはずですから、繰り返しになりますが悔やまれます。しかし、一時的な接種スピードアップには貢献してはいますし、使えなくなったワクチンはもう戻ってこないので、割り切って次の方法を考えるしかないでしょう。
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