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ゴーン元会長との共謀否定 元側近、役員報酬隠し公判
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
日産のゴーン元会長の一連の事件の内、「金融商品取引法違反罪」容疑については、後払いの合意があるのであれば「未払い報酬」として、会計処理しなければならないとの会計ルールを逸脱したというもので、事実であれば違法ですので罪には問えるでしょう。 しかし、高額報酬とは言え個人への役員報酬の話で、かつ、本件のみにより株式市場に与えた影響は大きいとは思えません。また、この案件をケリー被告が「認識していた」とするなら、取締役会で決議がなされていることが前提のはずで(ケリー氏独断では実施不可能)、その場合はこの件を知り得た取締役会メンバー全員の違法行為になるはずのものだと思われます。 一方、取締役会で決議していないとするなら、未決定事項として、「金融商品取引法違反罪」には問えないと思われます。 ゴーン氏、ケリー氏以外の当時の全取締役が司法取引に応じているため、当時の他の取締役が刑事訴追されていないことが推測されますが、ケリー氏にしてみれば当容疑で自分だけが刑事訴追されることについては、不公平感が大きいでしょう。 上記のことについて、裁判で明らかにされることと思いますので、注目に値します。今後、司法取引のあり方にも議論が及ぶかもわかりません。
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ゴルフ場経営のPGM系、57億円申告漏れ 国税指摘
朝日新聞デジタル
高橋 義仁専修大学 商学部教授
法人税法上の組織再編税制によれば、税法が定める適格な組織再編(適格組織再編)の場合、移転させた負債を簿価で引継げることとなり、結果的に利益を上げている新会社の課税を減少させることができます。しかし、今回の場合、法人税法132条の2に定める、税務署長が権限を有する「租税回避に対する行為計算否認規定」を適用し、課税計算をやり直させたと思われます。 「租税回避に対する行為計算否認規定」は、「合併等に係る法人の法人税につき更正をする場合において、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われたときに、税務署長がその行為又は計算にかかわらず法人税額等を計算することができる」といった内容です。 PGMプロパティーズ4(PGMP4)やPGPAH6は、企業の名称から推測できるように資産管理目的として設立されたと思えます。PGM系としては、前回(PGPAH6との7年前の合併)でも組織再編税制を利用しているので、今回も「できるはず」と思っていたのではないでしょうか。 PGM系は、課税処分の取り消しを求め、2021年4月に東京地裁に提訴していますが、「回避既定の不当利用」か「否認規定の乱用」かが争点になっていると思われます。 専門家の間では、組織再編税制が適用される「適格組織再編」と適用されない「非適格組織再編」の線引きは曖昧との指摘があるようです。
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緊急宣言、12日から6都府県に 外食が休業、百貨店は営業拡大
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
百貨店は、12日から臨時休業を掲げながら、(例外開業対象の)「生活必需品」の範囲を見直し、宝飾品などを除く多数の商品(食品、化粧品、婦人服、紳士服)を販売するとのこと。 スーパーが同じフロアでシャツなども売っているなら、百貨店も見直してしまえということのようですね。基準を作るほうも、基準に「従う振り」をしなくてはならない方も大変な事情が垣間見れます。 百貨店で感染するなら、公共交通機関での通勤やオフィスワークは同等以上に感染するはずで、先に百貨店を止めようとするため、素直に従う気持ちが失せているのでしょう。 飲食は、適切な対策をしていれば大丈夫な気がします。しかし、飲食店でマスクなしの会話をやめない方は必ずいるので、ここへの対策が優先されるはずですが、今回「外食へ禁止措置」と強く打ち出した背景が、「政府が把握するこれまでとは違う恐ろしさ」があるかもしれず、警戒はしています。 大学においては、文科省の「対面授業実施率遵守」の通達が現時点で有効と考えられているようで、オンライン授業への全面移行の指示ができない状況にあります。大学内は、百貨店より感染発生しやすい環境にあると思わざるを得ませんし、現実に5月に入ってからかなり感染者は増えています。ただ、それでも授業は安全で、運動部の活動や学生アルバイトやレジャーの影響の方が大きいと思える部分もあります。(運動部については大学スポーツ協会などが通達すればよいと思われるところ、ここからも明確な方針は出されていないようです) あいまいな指示やちぐはぐな対応をしていると、実効性が減弱するので、よろしくないはずです。
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大阪市が独自の大規模接種会場設置へ 歯科医に協力要請方針
毎日新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「接種者」の拡大は朗報ですが、報道等からの情報を総合すると、実効性に係わる問題も残っているように感じます。 日本の現行法上で、ワクチン接種を歯科医が行うことはできませんでしたが、「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射の歯科医師による実施について」(厚生労働省 2021年4月26日付事務連絡)が発信され、「接種担当者と認める」との「事務連絡」が出されていました。 現状、歯科医師がワクチン接種を行った場合、「医師法違反」が問われますが、新型コロナワクチン接種に対し、これを歯科医師が行っても、「違法性に問わない」ことへの担保ですから、歯科医師にとっては極めて重要です。 違法行為から外す条件は、「予防接種の実施主体である自治体の長が、看護師等の確保に取り組んだ上で、それでも必要な看護師等の確保が困難と判断し、地域の医師会等の関係者とも合意の上で、地域の歯科医師会等に協力を要請する」場合のみとのこと。この形で実施するには、地域ごと「地元医師会」に同意をとる必要がありますが、大阪市については、「地元医師会が同意した」ことが伺えます。 今回、「特例的に歯科医師がワクチン接種を行うのは、集団接種のための特設会場に限り、歯科医師がワクチン接種のための筋肉内注射を行うに当たっては、特設会場にいる医師の適切な関与の下で行う必要がある」とされ、歯科医師には看護師同等の「接種担当」以上の権限はありません。「歯科医師によるワクチン接種のための筋肉内注射の実施について被接種者の同意を得ること」、「予診やアナフィラキシー時の症状が発生した場合の対応については、(歯科医師の対応は禁止で)特設会場にいる医師が行うこと」など規定もされています。 日本歯科医師会は、「違法性を問われないこと」の確認をもって接種業務への協力を表明しましたが、形式的にとどまっており、喜んで接種に協力しようと考える「歯科医師」は限定される可能性があります。(現実には「待遇・条件」によるでしょう) 厚生労働省 https://www.jda.or.jp/jda/release/cimg/2021/20210427_coronavirus_wakuchin.pdf 日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_144.html
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ワクチン特許放棄巡る問題、12月までの解決望む=WTO事務局長
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
すでに報道されている主な記事は以下にあります。 「米、コロナワクチン特許の放棄を支持 バイデン大統領が表明」https://newspicks.com/news/5822379?ref=user_1310166 「ワクチン特許放棄、EUも検討の用意 モデルナ『供給増えず』」 https://newspicks.com/news/5825110?ref=user_1310166 このほか、フランスは反対表明をしているとのことです。 「特許放棄」という言葉が本来意図するところは、「特許」取得した部分の使用を他社が技術利用した場合で、その使用料を請求できないということを指します。 一方、特許出願すれば技術が公開されるため、企業は戦略上、意図的に特許申請内容からキーテクノロジーになる技術を外したり、あえて特許出願をしない場合があります。特許が完全な知財保護になるとは企業は考えておらず、あくまでも使い方により価値が出ると認識しています。 特許放棄しても、完成したワクチンの特許を保有する企業が、他社にワクチン製造に関するすべての技術を公開し、他社が製造できるように手助けすることは意味していません。 特許が一時的に放棄されても、製薬企業が製造プロセスのすべてについて認可された技術で工場を立ち上げるお手伝いまでしないと、製造まではできません。これをすることは、製薬企業に何のメリットもないためやらないと思いますが、先進国が資金を出し合って工場を作るならあり得ます(しかし、これはCOVAXで実施するとの報道がすでにありました)。 現実的な解決には、「完成品の妥当な値段での提供」が早期の解決の方向性を示していると思えます。特許放棄は早期解決にならないため、WTOの意図を測ることは困難です。(安価での提供を引き出すための交渉術かもしれません) なお、比較的長期に見れば、特許放棄は特許を無償利用できる側の利益になり、また早期開発にもつながりますが、そこで開発された医薬品は他メーカーが開発した「新規医薬品」との扱いになり、物質としては出来上がっても、新規にステップを踏んだ臨床試験が必要になるため、かなりの時間と費用が必要です。このことによる利益は、発展途上国よりも「日本など先進国の企業」にあると思われますが、これを認めると企業は基礎研究への情熱を失うでしょう。
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米FDA、ファイザーのワクチン接種対象年齢を12歳まで引き下げ
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国での「緊急使用許可」の適応対象が、12-15歳に拡大されたとの報道です。この緊急使用許可を得る為に、当該年齢に対する大規模な臨床試験が米国で実施されていました。この許可により、当該年齢に対するワクチン接種が可能になり、米国において、さらに防疫体制が拡大するという朗報です。 (学校での調査ではありませんが)米国のビジネススクール出身者の方の働き方の変化について簡単なアンケートを実施しました(n=12)。米国では、もともと日本より在宅勤務が進んでいたと思われますが、コロナ禍後には急増しています。(ここではデータはお見せしていませんが)ルーチンワークの生産性は上がり、クリエイティブワークの生産性は大幅に下がっているとの結果でした。 オフィス勤務:自宅勤務、コロナ前(%)、コロナ後(%) 5:0、25、0 4:1、33、8.3 3:2、8.3、8.3 2:3、8.3、25 1:4、16.7、8.3 0:5、8.3、50 米国の教育では、クラスディスカッション(討議)を中心とする授業内容が構成されており、学校もオンラインのところが多いはずですが、オンライン授業や会話制限付きの授業ではこれに悪影響を与えるとのことが危惧されていました。米国は、ワクチン接種により、通常の形態の授業を拡大すると思いますので、待ちわびていたことだろうと思います。
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高齢者1万人「接種センター」 日本旅行、人材派遣会社に約37億円で自衛隊が“丸投げ”
AERA dot. (アエラドット)
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「丸投げ」というのは、私の理解では、入札等で仕事をとってきた業者が自らの利益のためにそのまま業務を再委託すること・・・のはずです。この仕事に関して、自衛隊の利益はどこにあるのでしょうか。 私の理解では、予防接種業務は、自衛隊がとってきた仕事ではないはずです。自衛隊の最高指揮官は首相であり、その命令に対しては、自衛隊は一切の拒否権を持っておりません。首相は、自衛隊に命令を発する限り、物事はすぐに進むことから、命令を発していると思われます。 予防接種が自衛隊の本来業務と思えない方は多いはずです。私もそうです。そういう弱い立場の自衛隊に対して、「丸投げ」とは失礼すぎませんでしょうか。(記事タイトルだけにしても) 当初からの、この枠組みで接種することが前提だったのでしょう。自衛隊には看護師資格を持つ自衛官(看護官)を約1000人擁していますが、接種に関連して、試算(私算)では、大阪会場には200名くらい、東京会場には400名くらいの看護師が必要なはずですが、これを自衛隊から出すと、自衛隊中央病院(500床)ほか、ほとんどすべての自衛隊関連病院の機能がストップすることになります。そのようなことはできないはずでした。 「大阪の接種会場、最大1日5千人 政府、東京は1万人にめど」 https://newspicks.com/news/5831576?ref=user_1310166 これを、人材派遣業(?)の「日本旅行」、「東武トップツアーズ」ほかが受けるという内容については、どういう経緯なのか、興味深いです。
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塩野義のコロナワクチン、条件付き承認で年内実用化も
産経ニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
現在、塩野義製薬のワクチンは、臨床第1/2相試験の途中で、まずはこの臨床試験成績を世に出すことが必要です。このステージでの検討症例数は多くありません。ここでの成績が良かったとして、次のステップである臨床第2/3相試験に移れます。 ファイザー社製の新型コロナワクチンの場合は、緊急使用許可を得るために、感染抑制効果のデータを得やすい欧米で、3万例以上の有効性・安全性のデータが臨床第2/3相試験実施途中でそろっていました。ただし、有効性と安全性を2カ月という短期間で評価していたために、この時点では「緊急使用許可」であり、現在は、米国でも正式な薬事承認を目指していると報道されています(日本ではすでに特例承認医薬品として正式承認されています)。 先例と同数レベルの臨床試験が出来れば、安全性の検証は同レベルでできますが、有効性の検証は日本の感染率の実態を踏まえると不十分と思われるため、これへの対応をどうするのか、企業の戦略手腕が問われると思います。 これまで、日本には、汎用される医薬品に対し、簡略的なデータのみをもって「緊急使用」できる法規がなかったため、まず政府にこの法規を整備してもらい、その上で緊急使用の道筋が出来れば、接種に使用できるようになる期待がもてます。 ただし、緊急使用とは「代替療法では代えられない」医薬品を、ある程度のリスクを許容しても早期に認める制度です。米国では、ファイザー社、モデルナ社、J&J社までは緊急使用許可をしていますが、続くアストラゼネカ社には現時点で「緊急使用許可」を与えていない理由はここにあります。 今後、日本で「緊急使用許可」の法規がつくられたとしても、「真に代替が効かない場合」にとどめないと、リスクがベネフィットを上回る恐れがあります。少なくとも「緊急使用許可」の適用は、(途中段階であっても)臨床試験成績次第になるはずです。
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ワクチン治験「見直しを検討」と首相
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事には「より速やかに承認できるような制度の見直しを検討する必要がある」としかなく、内容、時期ともに不明ですが、改善の検討はすべきだと思います。 日本には緊急使用の制度がないため、「承認前の医薬品を使用しての臨床試験を兼ねた公的な予防接種が実施でできなかった」ということを指しているのでしょうか? もしそうだとすると、今回の場合、ファイザー社など欧米企業などとの新型コロナウイルスワクチンにおける臨床開発力の実力差は圧倒的に存在しており、仮に日本に「緊急使用」の制度があったとしても、日本での使用に関して、欧米勢のワクチンについてはその適応が出来るレベルにありましたが、日本企業にはその適応はできなかったと思います。(今後のために備える必要はあるという議論ならわかります) これまでの日本勢のワクチンの「臨床成績」がほとんど公表されておらず、どの程度の効果が期待できるかの判断材料がありませんが、仮にかなり効果があるものならば、今回の場合は、欧米での臨床試験を早期に実施することで、ある程度解決可能だったと思われます。(事業開発の柔軟性と用意できるバリエーションの差が出ています) 欧米企業の場合、臨床試験の認可は科学的・論理的な枠組みを使って、最適国で承認の壁を突破しようと考えており、米国企業がブラジルで臨床試験を実施したり、英国企業が南アフリカで臨床試験を実施したりしていました。(コロナウイルス感染症の蔓延を考慮に入れずとも、日本は、欧米が考える「実施しにくい国」だと思います) 日本勢のワクチンにだけ症例が少なくとも「緊急使用」を認めると、当然にリスクの検証レベルが低い状態での使用になりますし、海外からみた「日本の医薬品」への信頼性がなくなります。海外での承認対象にはなり得ません。この選択肢はありえないはずです。 本来必要な改善の方向は、日本の医薬品産業の「産業化」であり、現状「医療費の抑制対象」として毎年公定価格が下がる産業環境の見直しも含め、基礎開発力を重視した教育・研究支出などの軸が必要だと思います。(即効性はありませんが)
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コロナ治療薬めぐるインサイダー疑惑 社長が否定
テレ朝news
高橋 義仁専修大学 商学部教授
医薬品のような研究の成否が関係する企業の株式は、その内容が公表されると株価が大幅に変動することがあります。インサイダー(内部者)取引は、その事実が「公表」される前に、会社関係者からの情報を受領した情報受領者が株式の取引をすることを指し、「取引の事実があれば、利益が上がらなくても」罪に該当します。 会社関係者には、上場企業の役員、社員、非正規雇用の方と許認可権限を有する公務員や守秘義務契約を結び情報を知り得る立場にあるコンサルタント業者なども含まれます。 情報受領者には、会社関係者を通して重要事実について知った本人のほか、家族、その他会社外部の方も該当します。企業役員本人が売買しなくても、その情報を知った「誰か」が売買すれば罪に問われます。企業の株価に影響を及ぼす「内部情報」を知る方の、「高いレベルの守秘義務」が強く求められます。 「公表」とは、金融商品取引法166条の4で以下のように定義されており、どれか1つでも該当すれば公表済みとなります。(『インサイダー取引規制の概要』金融庁) ・2以上の報道機関に対して公開され、12時間経過したこと ・TDNet等(東京証券取引所の運営する適時開示情報伝達システム)により公衆の縦覧に供されたこと ・有価証券届出書等に記載し、公衆の縦覧に供されたこと 市場外取引の場合でも、「インサイダー取引」に該当しますが、市場外での相対取引のうち、売買等の当事者双方が同一の未公表の重要事実を知って売買等を行う場合は、規制の適用除外に該当となる場合もあります。(日本取引所グループ https://www.jpx.co.jp/regulation/preventing/insider/index.html) コロナ治療薬の開発については、有名人やその領域の研究者の名前を借りて「研究」や「事業化」への着手を発表するだけで株価が上昇するような「おかしな市場」に見えます。このような領域は、「インサイダー取引」に狙われやすい性質がありますので、発表の意味するところや不確実性を踏まえた投資が望まれると思います。 ※ 当コメントは一般論を述べたもので、記事にある企業に対するものではありません。
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国内も変異株ワクチン開発に着手 アンジェス、塩野義製薬
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
アンジェス、塩野義製薬ともに新型コロナワクチンの開発中と企業発表していました。アンジェスは臨床第2/3相試験中、塩野義製薬は臨床第1/2相試験中です。ともに臨床第3相試験までに、実際の患者で中和抗体の増加を示すだけではなく、感染抑制効果を適切な対照群との比較において、承認に値する成績を示さないと日本および世界での承認は困難です。 アンジェスはDNA型のワクチン、塩野義は組み換えタンパク型のワクチンの開発を行っています。両社は、日本国内をメインに(あるいは日本国内だけで)臨床試験中ではあるものの、日本国内での感染症の少なさとあいまって必要な症例数を日本国のボランティアでの臨床試験で実施することに困難が伴っているとみられています。 ワクチンの開発が遅れると、他のワクチンで接種が進むことになり、「勝ち組」のワクチンが使用症例を蓄積し、ますます選好されることになります。そのワクチンで重篤な副反応の頻発が見られると他のワクチンへの切り替えがあり得ますし、そのための開発継続は必要ですが、現在アンジェスよりも「開発中」で先行する製品が約5社、塩野義よりも先行する製品が約10社あります。 そのため開発のベースとなるウイルスを、「従来株」に代え、危惧される「変異株」を用いて製造し、世界での需要に備えるという動きだと思いますが、世界のワクチンメーカーも同様の開発をしています。 2021年4月7日の朝日新聞の報道では、「新型コロナウイルスの変異株に対応するワクチンについて、国内で承認済みのワクチンと製造方法などが同じ場合は審査を簡略化する方針を、医薬品を審査する医薬品医療機器総合機構(PMDA)が決めた」とあります。(世界的に安全性を担保するために必要と考えられている手順と同様です) これに該当するのは、現時点ではファイザー社の変異株用ワクチンのみです。そのためアンジェス、塩野義とも、まずは数万例以上の臨床試験で良好な成績を残し、承認を受ける必要があります。 それでも、従来のワクチンが今後の変異株に無効となり、かつ承認済み他社のワクチンの「変異株用」も無効であれば、必要性が高まります。その時、世界で「緊急使用許可」のワクチンとなる可能性はあります。現実には使用までのハードルは高いのですが、リスクマネジメントの視点から、研究開発に参加することは有意義だと思います。
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接種後に死亡、報告悩む医療機関…遺族は「国に伝えて」
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事にある、ワクチン接種翌日、発生した大動脈解離による心タンポナーデ(血管が破裂したことによる血液の貯留で心臓を圧迫する病態)は、ワクチンと関係ないように思えます。しかしながら、この報告義務の根拠になっている「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(68条の10第2項)に基づき、医薬関係者が厚生労働大臣に報告することとなっていることからすると、報告は必要だったと思います。 同制度は、日常、医療の現場においてみられる医薬品、医療機器又は再生医療等製品の使用によって発生する健康被害等(副作用、感染症及び不具合)の情報を審査機関が収集し、発生傾向などを常時モニタリングし、副作用や製造の不備による被害を最小限に抑えようとするものです。 すべての医療機関及び薬局等を対象とし、薬局開設者、病院若しくは診療所の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師、登録販売者その他病院等において医療に携わる者のうち業務上医薬品、医療機器又は再生医療等製品を取り扱う方が報告者になります。 報告対象となる情報は、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の使用による副作用、感染症又は不具合の発生について、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止する観点から報告の必要があると判断した情報(症例)で、医薬品、医療機器又は再生医療等製品との因果関係が必ずしも明確でない場合であってもすべての報告が求められています。 2018年度の医薬品医療機器総合機構(PMDA)の集計では、医薬品副作用報告が企業から6万2110件に対し、医療関係者からは9931件にとどまっていると報告されています。「報告様式が難しく、多忙な医師には大変」な書類とされ、(副作用に遭遇して)書かなくてはならなくなった医療関係者にはその意味で気の毒とは思います。 接種後に死亡した場合でも、「因果関係が明らかに無関係」と根拠をもって言い切れなければ、報告しなくてよいケースには該当しません。医薬品(ワクチンを含む)の副作用報告の趣旨からして、「病院には副作用報告の義務があった」と解釈できます。
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大阪の接種会場、最大1日5千人 政府、東京は1万人にめど
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
都市部ではこの形態の接種が最も良いように思えます。日本での現行法における接種は、必ず医師が接種するか、看護師に接種を任せるにしても医師が最終段階の問診を直接行う必要があります。 「新型コロナワクチン予診票の確認のポイント」https://www.mhlw.go.jp/content/000760480.pdf 接種業務に係わる医師に伺った話では、1名の医師に対し数名の看護師、若干名の事務職員がチームを組み、接種を看護師が行う場合において、1時間あたり20名がおおむねの限界とのことです。この形態の接種チームのキャパシティーとして、8時間当たり160名程度が妥当な数字になります。5000名の接種会場であれば、31名の医師のチームが必要で、これが日本の現行法下・現状において、現実的に最も効率的な運用になりそうです。 これをより効率的に動かすためには、事前に問診をウェブ等で済ませておいて当日は確認のみとし、接種の意思確認が確実にできている方のみの接種会場への来場を可能にする、つまりは、問診結果により受けられない人は仕方がないにしても来場して受けない自由は認めない、また時間のかかるやり取りは受けないなどの特別なオペレーションを行うなどの対応が現実的に必要だと思われます。 この件に関し、すでに、医療法に関連する「厚生労働省医政局総務課事務連絡」が行われています。(2021年2月1日付)この「事務連絡」によると、診療所の事業として、コロナ感染症対応特例として、医療機関以外の会場等を活用して医療行為を行って差し支えないなどの内容を含む対応に関する内容です。これで、臨時の接種会場の設置などが可能になっています。 「ワクチンの迅速な接種 医療法上の臨時的な取扱い」 https://www.mhlw.go.jp/content/000744488.pdf 都心部は接種環境が良いと思うのですが、特に田舎では日々の買い物のエリアにさえアクセス困難な高齢の方が多くいらっしゃるため、これへの対応は、都市部と比べて相当に非効率な運営になると思います。 これ以上の効率を上げるためには、米国で従来行っているように薬剤師および他の医療従事者にも接種権限を拡大することなどを含む、臨時の対応ができるようにしないと、迅速な接種は難しいように思われます。
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抗原検査、大学や企業でも 西村担当相 モニタリング検査も拡大
産経ニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
検査はやらないよりはやったほうが有益だとは思いますが、陽性なのに陽性と出ない「偽陰性」のケースが問題との指摘があります。以下は、簡易抗原検査ではなく抗原検査よりも検出率に優れるといわれるPCR検査についての記述です。 東大保健センターの資料によると、PCR検査の感度(新型コロナウイルス感染症の方で、PCR検査が陽性となる割合)は「現時点では高くて70%程度とされており、10名中3名が陽性なのに陽性と出ない」とのこと。 http://www.hc.u-tokyo.ac.jp/covid-19/tests/ 葉山ハートセンターの引用論文(Annals of internal medicine 13 May 2020)からの資料によると、「暴露された当日では100%偽陰性になるという。だからコロナの患者さんと接触していたすぐには偽陰性ででてしまう。・・・(中略)・・・さらに8日目になると偽陰性は20%に減る」とのこと。 https://www.hayamaheart.gr.jp/naika/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%80%80%EF%BD%90%EF%BD%83%EF%BD%92%E5%81%BD%E9%99%B0%E6%80%A7%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84/ 簡易抗原検査で大丈夫だからと、感染拡大策を取らずに活動されることはかなり危険なことのように思えます。大学では、検査済みだからとして、人同士の接触機会の多い体育会や多いサークル活動を全面解禁のようなことをすると、本来優先すべき通常の学業に支障が出るほどの感染拡大が危惧されます。検査を大学内の特定の方を対象に実施するにしても、付随して正しい知識を啓蒙していただかないと、必ず大きな問題に発展するはずで、非常に危険だと考えます。
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ファイザー、正式承認の申請開始 FDAに16歳以上への使用
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
現在、米国で使われている新型コロナワクチンは、すべて同国内「緊急使用許可」の扱いであり、どのワクチンも正式承認されていません。米国の「緊急使用許可」は臨床試験成績が十分ではなく、平時であれば医薬品として使用が認可できる条件にはない場合でも、国家が危機に瀕した状況であれば、使用しながら常時モニタリングしていく条件のもとに「特例的に使用を認める」というものでした。緊急時は、安全性や有効性の信頼度が低くとも、使用が優先される(ベネフィット>リスク)との考え方に基づきます。 大規模な臨床試験の完遂を経ずに「緊急の使用許可」が出されているため、現時点では「未承認医薬品」です。したがって、米国でのパンデミックが終われば、当ワクチンは米国では使用できなくなります。 ファイザー社としては、正規の承認を得るための臨床試験データをまとめていましたが、現時点では承認要件を満たす状態になったと判断したと思われます。今回の場合、あらたに臨床試験をせずとも、臨床使用許可での接種者のモニタリングを通じて数万名の6カ月以上の試験成績が入手できていますので、別途行う必要はないものと思われます。 一方、日本では、米国での「緊急使用許可」の成績(あくまでも承認されているステータスではありません)をもって、日本で優先審査が行われ、ファイザー=ビオンテック社製は薬事承認されています。日本では、「緊急使用許可」の制度がなく、日本で使用するためには「正規の薬事承認」を与える以外の選択肢はありませんでした。したがって、パンデミックが終わっても日本国内の承認が取り消されることはありません。現時点では、承認ステータスの「ねじれ」が起こっている状態にあります。
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